[職場闘争]改正男女雇用機会均等法、改正育児・介護休業法に伴う就業規則改定案が示される〜就業規則編〜

改正男女雇用機会均等法、改正育児・介護休業法が2017年1月1日に施行された。それに伴い、協会の就業規則も改定されることが2017年2月の職員会議「事務局調整会議」で予告され、4月3日の職員会議で事務局職員に就業規則改定案と育児・介護休業等規則改定案が提示された。
法改正で何が変わったのかはすでにご存知の方も多いかと思うが、詳しくは厚生労働省のweb siteのこちらこちらをご覧いただきたい。また、日本労働組合総連合会(連合)のweb siteに簡単な改正のポイントが示されている。

別件だが、協会事務局職員の給与は国家公務員の給与に準じている。以前、「国家公務員退職手当法の一部を改正する法律」(平成26年法律第107号 平成27年4月1日施行)により、協会事務局職員の「職員退職手当規程」も変更されるはずであったが、なぜかほぼ1年経過した後に“密かに”変更されていた。たまたま、当該組合員が事務局規程を閲覧していて見つけ、2016年4月18日の第1回団体交渉で追及したところ、そのときはまだ団交に出ていた末吉事務局長が「そこの改正がわかって取り急ぎ変えたんですけども、そこは完全に失念してましたので、すみません。」と正直に認めていた(本当に失念していただけなのか疑問は残るが…)。これについても労働基準法に則った就業規則変更(労基法89条・90条)はされていないので、どのような手続きを経たのかはこれからの団交議題としていくが、それはさておき、今回は失念しなかっただけ良しとしよう。
しかし、この度の就業規則改定案も、これまた“?”が付くものであった。

まず「就業規則」に関して言えば、禁止行為の条項である、第27条10が変更された。

セクシャル、パワーハラスメント及び育児休業等に関するハラスメントとみなされる行為

これは、上述の法改正により、いわゆるマタハラ・パタハラ防止措置が義務付けられたためであり、妥当な変更と言える。
しかし、制裁の条項である第52条に次のような文言が付け加えられた。

(6)セクシャルハラスメント、パワーハラスメント及び育児休業等に関するハラスメントにより、他の職員及び本会に不快感又は不利益を与えたとき

…ん? なんだこれは?

まず「不快感」とあるが、確かに各ハラスメントは他者に不快感を与えて職場環境を悪化させる行為と言え、他の機関・団体のハラスメント禁止規程にも挙げられている文言だが、制裁処分の規程としては具体性を欠き曖昧だ。
そして、まったく理解できないのは、「他の職員…に」はわかるが「本会に不快感」とはどういう事態を指しているのか?
例えば、「本会」が誰かにセクシャルハラスメントされて不快になるのか? パワーハラスメントを受けて「本会」が不快に思うのか? 「本会」がマタニティーハラスメント(笑)されて不快感を抱くのか?! …ありえない。(笑)
こんな意味不明な条項に基づいて戒告や減給、出勤停止、降職、諭旨免職、懲戒免職など制裁を加えられてはたまらない。事務局職員の諸君、黙っていてはおかしな処分をされかねないぞ。

職場におけるハラスメントは端的に言うと人権侵害に他ならず、人権の享有主体は自然人である。法人には法人格(権利能力)があり、自然人における人格権と同様の人格権も自然人に比して極めて狭い範囲ではあるが存するという民法解釈もあるようだが、それにしても自然人ではなく法人がハラスメントの被害者になるなど聞いたことがない。
もちろん、法律に疎い当該組合員が聞いたことがないだけかもしれないので、法人も上記のようなハラスメントの被害者になり得るという事例なり、判例なり、法理があり、本組合掲示板(本ブログ)をご覧の方でご存知の方がいらっしゃったならば、後学のためにもぜひご教示いただきたい。

この辺の文言は3月24日に協会顧問弁護士を講師として開催された「組織の統制(?)・ハラスメント職員研修」の影響が感じられるが、まあ、最大限協会側の意を汲んで解釈すると「他の職員に不快感を与え、本会に不利益を与えたとき」の間違いだろうな、たぶん。そうでないならば、意味不明な条項は付け加えるべきではない。

また、以前の記事でも取り上げた、2013年4月の就業規則改定で職員に説明なく、勝手に付け加えられた第39条も削除されるべきである。この第39条についても第5回団交で当組合が指摘し事実経過の説明を求めたところ、3月10日に協会から不可解な回答が来たので、これも次回団交報告の中で取り上げる予定である。

なお、職員会議で就業規則と育児・介護休業等規則の改定案について意見があれば、4月10日までに意見を寄せよとのことだったので、南部労組で要求・意見集約する時間がなかったため、当該個人名義でこれらの疑問や不要な条項の削除を求める意見書を提出している。就業規則に関しては以下の通りである。

(就業規則)
1. 第5条・第17条・第18条・第21条・第24条・第27条にある任命権者とは誰のことか。2013年4月1日改定の就業規則において任命権者の条項が削除されている(旧就業規則第4条)。
2. 2013年4月1日の改定において職員に説明なく密かに付け加えられた第39条は削除されるべきである。
3. 今般加えられた第52条(6)にある「不快感」は意味が曖昧である。また、この条文では「他の職員」を除くと、各ハラスメントにより、本会に不快感を与えたときとの意に読めるが、ハラスメントを受ける側は自然人ではなく法人も対象となるのか。意味不明な条項は付け加えるべきではない。
4. 前項3に加えて、各ハラスメントの苦情解決については、協会事務局の職制下とは関わりのない別な第三者機関または労働者側と使用者側で構成される委員会組織等を創設し、公正に裁定されるべきである。

次回は、さらに問題あり育児・介護休業等規則編へ続く。

To be continued…

[職場闘争]改正男女雇用機会均等法、改正育児・介護休業法に伴う就業規則改定案が示される〜就業規則編〜」への2件のフィードバック

  1. H

    改正育児介護休業法の施行が今年の1月1日。事業所側は本来ならば、改正法成立を受けて就業規則変更手続きに取り組み、法施行日には就業規則も施行できるようにしておくべきだと思います。

    日の出福祉園では、育児介護休業規程は変更しないのかという職員の問い合わせに対して、園は「変更の必要なし」と回答。私たちは有志で青梅労基署に訴えに行きました。ゆにおん同愛会結成前の話です。法施行後に就業規則変更案を提示するという我が法人の後手後手の対応は今でも変わりませんが、少なくとも「本法人に不快感を与えたとき」などという意味不明の文はありません。

    客観性の担保されない曖昧な規定は、労働組合活動への干渉への足掛かりではないかという疑念を生じさせます。不当労働行為にもつながるそんな規定は、福祉協会の悪宣伝になるのではないでしょうか? ゆにおん同愛会 林

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    1. jaidunion

      施行前にやれと、そんなことを気にしていては、日本知的障害者福祉協会の事務局職員は務まりません。(笑)笑えない冗談ですが。
      すでにおわかりのように、ハラスメントは個人の尊厳を侵害する行為であるのに、基本的人権や労働者の権利など考えたことがないような人間たちが作るとこういう意味不明なものができるんですね。
      協会会員に対しても恥だと思わないんでしょうかね。

      もっと困った育児介護休業規則編もご覧ください。
      https://jaidunion.wordpress.com/2017/04/24/201704-changing-the-childcare-and-familycare-leave-rules/

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