[職場闘争]協会「育児・介護休業等規則」改定案が示される part 2 〜肉屋を支持する豚になりたいか?〜

さて、2017年11月6日(月)に1週間後に就業規則(育児・介護休業等規則)のための労働者代表選出を行うとのことで、その通りに13日(月)に協会から最終的な改定案が示され、労働者代表選出が行われることとなった。結論から言うと、当初示された改定案と全く変わりがなく、いわゆる努力義務規定に関しては反映されなかった。しかし、なかなか、その理由が振るっているので本組合掲示板ブログの閲覧者に報告したい。

意見・要望書を提出したのは当該組合員だけのようで、末吉事務局長から当該組合員の個人名義で提出した「育児介護休業等規則改定への意見並びに要望書」に沿って、規則に記載されない理由を述べていたのだが(それはそれで良いことだ)、先ずは、育児休業等制度の個別周知(育児介護休業法21条)について。詳細は前回の記事をご覧いただくとして、概略、少人数な職場だからこそ、職員が育児・介護休業を取得できるように協会は努めるべきであることを、国の調査結果に基づいて主張した。しかし、末吉事務局長の説明はこうだった。

「今回こうして全員集まって周知しているので、こういう場で周知して奨励して行きたいと思っています」

だ・か・ら…少人数で仕事を回さなければならない職場だからこそ、いざ取得しようと思っても気兼ねしてしまい、職員が取得しづらい状況におかれてしまわないためにも、単に全体に周知するだけではなく、使用者側の義務として個別に周知し、取得奨励に努めることを規則に明文化せよと言っているのだ。それじゃ、意見要望に対する答えになっていない。
この条文はぜひ記載させたいところだった、次に述べる育児目的休暇とは違い、使用者側への負担にもならない規定であり、使用者側の取得奨励の責任を明確にさせるためであるからである。もちろん、拒否したのは使用者(管理職)の責任を明確にしたくないからとしか考えられない。口約束や場当たり的な対応では駄目だと言っているのが法改正の目的だ。

次に、育児目的休暇の創設(育児介護休業法24条)であるが、「義務化になった時に規則に盛り込みたい」と言うだけで、意見要望書に個別に挙げた論拠については無回答。確かに、新たな休暇の創設は実際困難を伴うだろうことは理解できなくもないのだが、もう一度言うが、育児目的休暇は利用する職員も利用目的も限定されたものであり、実質的な利用日数・時間もわずかなものだろう。それで、何か通常業務に大きな支障を及ぼすものではない。「義務化になった時に…」とは言うものの、往々にして、努力義務規定は後に再びの法改正で義務規定とされることが多い。これから育児に関わる若手職員のことを考えれば、創設に然程躊躇うことはないように思うのだが。

この末吉事務局長の説明に先立って、“躊躇う”理由がよくわかる前段の話がO常任理事からあった。それは概ねこういうものであった。

「11月1〜2日に開催された全国会長・事務局長会議で、神奈川県から会員事業所は法人で一箇所でいいという意見が出ている。会員も減ってしまっては会が成り立たない。『さぽーと』の購読者も減っている。そういう情勢も踏まえて欲しい。協会事務局の勤務条件を良くすることに越したことはないが、今でも十分良いのにモデル的に良くする必要があるのか、よく考えて欲しい。」

神奈川県の協会に聞いてみたいところだ。協会事務局職員に育児休業を取得奨励を規則で明文化せず、子育てをしながら勤務する協会事務局職員が数日の育児目的休暇を断念したら、協会会員が増え、『さぽーと』購読者が増えるのでしょうか?と。

当然のことながら協会組織の強化発展、『さぽーと』購読者を増やすことは協会にとって喫緊の課題であり、事務局一丸となって取り組まなければならない。しかし、経営責任を職員の待遇の問題にすり替えられてはたまらない。良好な労働環境においてこそ、各事務局職員のmotivationを掻き立て、能力を存分に発揮して働ける場になる。でなければ優秀な人材など集まらないし、残らないのではないか? もっとも優秀な職員も結局は杜撰な協会事務局のガバナンスや一部の職員の協会私物化に嫌気が差して辞めていっているのが実態だ。そんなことも知らないO常任理事の言い訳は没論理のただの自己保身にしか聞こえない。それにしても、就業規則の作成・変更は使用者側が行うことであり、結論ありきにもかかわらず、あたかも職員に考える機会を与えているような言い方がいやらしい。事実、話のすり替えにムカッと来た職員もいたようである。
これと似たような話は今に始まったことではないし、例の出鱈目千万な協会の2013年4月1日の就業規則改定でも同様な議論があったらしい。それに協会事務局だけの問題ではないだろう。保護者会の手前、理事たちに最低基準な、いや、それすら守られていない労働条件下で働かされている障害福祉事業所の職員のことも知っている。望ましい労働条件があれば、労働者がそれを目指して要求を行うのは当然である。

話は変わるが、先に行われた全国会長・事務局長会議がどうだったのか、続けて行われた報酬改定要望院内集会についても、それに出席していなかった職員への報告はほとんどなされていない。ずいぶんバカにしたものだ。そのような職員の障害福祉の施策や会員動向など協会事務局職員ならば全てが知っていなければならないはずなのに、自分だけが知っていて威張れればいいなどと姑息なことを考えていないで、ただの形式的な報告になっている職員会議「事務局調整会議」ではなく、全職員への情報共有と意見交換、啓発、また、「組織の統制(?)・ハラスメント職員研修」*のようなものではなく、しっかりとした職員研修会・勉強会も行って欲しいものだ。

* 以前、第5回団交報告の中で少し触れたが、協会事務局で2017年3月24日に行われた故顧問弁護士による1時間の職員研修のこと。どんな内容だったかは諸事情により本組合掲示板ブログで記事にしなかったが、講師を務めた当時の顧問弁護士も亡くなったので、その概要と批判は後程UPしたい。残念ながら、研修にもかかわらず職場の状況は良くなっているとは到底思えない。

(2018.9.24追記)記事をUPしました。
[日々雑感]「組織の統制(?)・ハラスメント職員研修」について

さて、当該組合員が指摘した意見・要望書には続きがある。予想はしていたが、これには末吉事務局長は触れず終いだった。後述する話とも関連するのでここに引用し、なぜ答えなかったのかを想像しながら読んでいただきたい。


4. その他
改正法は2017年3月31日に成立公布され、10月1日施行であることは前もってわかっていたことであり、10月1日の改正法施行以前に就業規則含め規則を変更に係る変更案の職員への提示と労使での協議、職員からの要望を集約する時間はあったはずである。
11月6日の事務局調整会議では数名の職員から、速やかに改正法施行に合わせるため、配布された変更案の規則で止む無しとする主旨の意見も出された。改正法を速やかに規則に反映させ、職員の不利益を回避することを考えるならば、もっともな意見である。しかしながら、翻って言うと、規則改定に係る事務的な時間がない故に、改正法の趣旨に則った、より好条件で望ましい形での規則改定を、管理職・準管理職の不手際により、職員が諦めるざるを得ないという事態は、本来あってはならないことである。
末吉事務局長の失念により改定されずに1年間放置された職員退職手当規程の変更が、東京南部労働者組合・日本知的障害者福祉協会と協会との第1回団体交渉(2016年4月18日)において明らかになった経緯がある。その間退職した職員は不利益を被っているのである。今後改定されるであろう就業規則他諸規程においても、職員に不利益をもたらすことのないよう、協会及び管理職には注意と改善を求める。


ある意味この部分が一番重要だったのだが、三六協定締結の時の様に、今回も見事に無視されてしまった。不手際・不祥事を隠したいのは人間の性だからねぇ…。

また、当該組合員が意見・要望書を提出した後に、ある職員から妊娠・育児に関連して時差出勤・時短要求ができないものかという話が当該組合員にあり、改正法絡みの件とは別に要求に加えることができたのだが時間切れで残念だった。「なんだ、もっと早く言ってくれればいいのに」とも思ったが、十分な検討を与える間も無く、1週間でこれでいいか確認して返事をしろ、という方が無茶というものだ。

ここで、1週間前の11月6日(月)の職員会議「事務局調整会議」に話は戻る。

末吉事務局長からの育児・介護休業等規則変更に関わる説明が終わった後、意見を求められた。2名の職員からも意見があり、当然、当該組合員も核心的な発言させてもらった。もちろん、努力義務規定とはいえ、規程に盛り込む様に努力するべきだ、という内容である。
そうしたところ、これも三六協定の労使協定締結時と同様、“あいつ(当該組合員)の意見を潰せ”と言われたのかどうなのかまでは聞こえなかったが、三浦政策企画課課長代理に耳打ちされた職員Y(組合情宣の際の偵察係)や水内総務課兼事業課課長代理の隣に座っていた職員N(K)、組合敵視著しい水内総務課兼事業課課長代理が「施行日過ぎているから、早く改定するためにも、努力義務の箇所はいらない」という意見が“すぐさま”出された。
職員Yはまさに育児中で小さな子供がいるし、職員N(K)は結婚したばかりでこれから出産・育児も経験することになるかもしれない。自分たちに恩恵を受ける好条件を規則に盛り込むことができる機会や権利をむざむざ放棄する始末だ。要するに、協会というか末吉事務局長様に“文句”を言う組合員の意見など何が何でも潰してやれ、批判的意見を言う人間は許さない、という全体主義の恐怖(気に入られない職員は排除される)支配がこの職場に覆っているからである。そもそも、「早く改定するために」が理由ならば、内容はともかく改正法の施行日過ぎてから、職員に改定案を示す方が非難されるべきだろう。上司にいい顔して、忠誠を誓うのも処世術だが、君たちは“肉屋を支持する豚”か?
さらに、古屋総務課課長代理は、会議に職員のN君がいないにもかかわらず、「では、ここでこれでいいか決を取りましょうか? どうせ、1人いてもいなくても変わりないんだから」(呆!)と勇んで言い出したので、「N君がいないのに、彼に周知もしないで、彼の意思を聴取せずに労働者代表選出していい訳ないだろ」と阻止した。下手をしたら、この場で検討する時間もなく、意見書のための労働者代表選出までされかねない状況だったが、そんなこんなで1週間後となったのだった。

たとえ就業規則は使用者側が作成・変更するものだとしても、一方的かつ短期間で規則変更をするのではなく、法改正が伴うならばその資料も添付した規則改定案を職員に配布し、施行日の数ヶ月前から準備して、労働者に十分に検討する時間を与えよ。そして、民主的な方法を偽装した管理職連中が睨みを利かせている場ではなく、秘密選挙で労働者代表選出は行われるべきであることをさらに強く感じた。

…The end

[職場闘争]協会「育児・介護休業等規則」改定案が示される part 2 〜肉屋を支持する豚になりたいか?〜」への2件のフィードバック

  1. H

    「早く改定するためにも、努力義務の箇所はいらない」という意見には驚きました。
    「どうせ、1人いてもいなくても変わりないんだから」と労働者代表を決めようとするのには驚きを通して呆れました・・・。公益法人でしょう?

    社会福祉法人同愛会もまだ施行日を過ぎても改定されていません。私たちも新規定に努力義務を反映させるよう要望書を法人に出しました。理事会の結論はどうなるやら・・・。自分の法人は福祉協会ほどひどくないと思いたいですが。

    ゆにおん同愛会 林武文

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    1. jaidunion
      jaidunion

      自ら改定案を施行日過ぎてから示しておきながら「時間がない」など、何をか言わんやですが、協会も12月21日の理事会承認を得なければ施行されないんですね、実は。時間をかけて熟議しようと思えばできなくはないのです。

      1週間で何か言えなど、どうせ職員の意見などないだろうし、自分たち(協会管理職ら)に逆らう職員などいないだろうと高を括っている傲慢な態度の表れですね。
      さらに、「1人いてもいなくても…」などと民主主義を鼻でせせら嗤っているのですから、そんなのが福祉協会の(準)管理職になっていること自体協会会員は知っておくべきですね。そんな組織が自己決定だ意思決定支援だのと言っているのですから。

      実は本記事、本当はもっと早くUPする予定でしたが、意外にもこのブログが協会外の経営側にも読まれているようで、各方面に影響があるかと思い、しばらく保留にしていました。しかし、まともな職場ならば経営側もいくら何でもこんな程度の低いやり方はしないだろう、協会の実態を示すにはちょうどいいと思い公開することにしました。

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