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[日々雑感]明るみに出た障害者雇用代行ビジネスの問題〜『愛護ニュース』2023年2月号「浜松町から」批判〜【後編】

「令和元年度 相談支援・就業支援セミナー」に障害者雇用代行ビジネス企業を講師として招いた協会は会員からの抗議・批判に答えたのか?

『愛護ニュース』2023年2月号(1面)

さて、ここから(株)エスプールプラスと協会の関係について、当該組合員知る裏事情を少し紹介し、『愛護ニュース』2023年2月号「浜松町から」で協会事務局長の末吉がこの問題について、どういうつもりなのか、他人事に様にいけしゃあしゃあと言及している事に苦言を呈したい。

正確な日にちは覚えていないが、或る日、協会事務局員の部会担当者から「xxさん(当該組合員のこと)。部会のセミナーの講師に協会紹介として資料を渡したいので、『さぽーと』誌を数冊ください。」と言われた。
そういう事はままあるので、その部会担当者に『さぽーと』誌を渡し、気になったので彼に「その講師って、誰?」と尋ねたところ、返ってきた言葉は「エスプールプラスという会社」との事だった。 続きを読む

[告知]2・18あきる野市中央公民館主催・市民企画講座「障害者権利条約をこの国で実現するために──国連障害者権利委員会は私たちに何を求めているのか──」のお知らせ

昨年、2022年3月12日(土)に開催されたあきる野市中央公民館主催市民講座、利光惠子氏(立命館大学生存学研究所 客員研究員)を講師に迎えた「優生思想とわたしたちの社会──強制不妊手術の歴史から考える──」に続き、同市中央公民館主催市民講座が、東京都あきる野市民・日の出町民有志により今年も開催される。今年も当該組合員もほんのちょっとだけ(お手伝い程度で)関わらせて頂いている。

今回は、2006年に国連で採択された障害者権利条約に、日本国の批准に向けて尽力された日本障害者協議会(JD)代表の藤井克徳氏を講師に招き、「障害者権利条約をこの国で実現するために──国連障害者権利委員会は私たちに何を求めているのか──」として、障害者権利条約とは何か、2022年8月に行われた国連障害者権利条約の対日審査(建設的対話)と、それを受けての国連障害者権利委員会からの日本政府への総括所見(勧告)によって、日本の障害者施策がどう変わっていかなければならないのか、について問題提起と展望を語って頂くこととしている。

東京都あきる野市民・日の出町民有志による、あきる野市中央公民館主催の市民講座だが、オンラインでの参加も可能なハイブリッド開催となっている為、全国何処からでも視聴が可能である。是非、多くの方に御視聴頂きたい。

2023年2月18日(土)に開催される講座の概要は下記を御参照ください。
障害のある人もない人も真に共に生きていける社会、エクスクルーシブではない、誰にとってもインクルーシブな社会を創造するために、興味・関心がある方は御参加頂ければ幸いです。まだ、定員には余裕があるようです。
当該組合員もオンラインで参加予定です。 続きを読む

[告知]社会福祉士資格取得 part 2 〜何故、人は人を助けるのか〜

最初の投稿からだいぶ時間が空いたが、part 1からの続きである。

労働相談における相談援助実践の現場から

part 1では当該組合員が社会福祉士を目指した理由を4つ紹介したが、もう1つは現実的な理由で、当該組合員は地域合同労働組合の役員をしている事から、屡々、職場での未払い賃金や解雇、退職勧奨、雇い止め、ハラスメント等々の労働相談への対応を行う場合があるからである。

労働相談に訪れる来談者は、個別な労働問題に併せて、ワーキングプア状態であったり、心身の健康上の問題を抱えていることが多い。実際に、本組合掲示板ブログを読んだ、一般就労している知的障害者の支援者の方からの相談も受けたことがあるし、障害者手帳を取得している精神障害当事者の組合員もいた。
障害者雇用枠で一般企業で就労しているが、使用者側が「過重な負担」とまでは言えない程度の合理的配慮にも欠ける場合や障害者への差別的言動が著しい等、使用者側との団体交渉を行ってきた経験がある。
仮に本来の労働問題が使用者側との団体交渉や争議によって解決したとしても、その後の生活課題を労働組合としてどのように支援して行けるかが課題となる場合あり、福祉の現場での実践とは異なるものの、来談者と面接・相談を行い、相談者の要求からニーズを共有し、課題解決に向けて支援していく、その過程に於いてはソーシャルワークと共通の物がある。 続きを読む

[集会報告]3・12あきる野市中央公民館主催・市民企画講座「優生思想とわたしたちの社会──強制不妊手術の歴史から考える──」と高裁勝訴判決その後

2022年3月12日(土)13:30〜16:00、東京都のあきる野市中央公民会主催・市民企画講座として、利光惠子氏(立命館大学生存学研究所 客員研究員)によるオンライン講演が開催された。

以前、本組合掲示板BLOGで本講座の告知をした時にも述べたことだが、この企画は東京都の知的障害者入所施設の施設の職員の方が、利光惠子氏執筆による、月刊誌『さぽーと』2020年8月号から12月号に5回に亘って連載された「優生思想と現代──強制不妊手術から考える──」を、障害福祉関係者に限らず、一般市民にも知ってもらいたいという熱意から、施設のある地域のあきる野市・日の出市民有志と共同で企画し、あきる野市中央公民館主催の市民企画講座として開催されたものであった。

当該組合員も月刊誌『さぽーと』のこの連載企画に関わっていたことから、市民企画講座の趣旨に賛同し、利光惠子氏と企画者との繋ぎ役をほんの少しだけ担わせてもらい、「優生思想を考えるあきる野・日の出市民の会」の尽力により、この度この講演が実現の運びとなった。 続きを読む

「障害者を雇うことがなぜ社会にとって重要なのか」〜ビデオニュース・ドットコムより〜

前回記事で取り上げた問題が、インターネット配信専門のニュースサイト「ビデオニュース・ドットコム」の中の番組「マル激トーク・オン・ディマンド」で取り上げられ、放送されました。ゲストは日本障害者協議会(JD代表の藤井克徳氏です。実に時宜を得た企画です。
無料視聴できるのはダイジェスト版ですが、それでも中央省庁・地方公共団体の障害者雇用「水増し」問題や障害者雇用、障害者の普通に暮らせる社会への氏の見解の一端を窺い知ることができる良番組ですので、ぜひ(できれば有料会員登録して全編も)ご視聴ください。

“そもそもこの人たちは、障害者を雇うことがなぜ社会にとって重要なことなのかを本当に理解しているのだろうか。

中央省庁の8割が、雇用している障害者の数を水増ししていたという。

去年の段階で、国の行政機関の障害者雇用率は法律で定められた2.3%をクリアしているとされていた。しかし、厚生労働省は8月28日、去年6月1日時点で国の33行政機関の障害者雇用率が実際は1.19%にとどまっていたことを公表した。実際に雇っている障害者の数が、法律が要求している数よりも3,396人分不足していたことになる。水増しは地方自治体、立法府、司法にまで拡がっていた。

42年前に障害者の法定雇用率が定められてから、民間企業は雇用率を達成するために努力を続けてきた。制度が導入された当初の雇用率は1.5%だったが、去年の実雇用率は1.97%まであがってきていた。一定の規模を超える民間企業に対しては、法定雇用率が達成できない場合、不足分に対して「障害者雇用納付金」の名で一人あたり5万円のペナルティまで課されているが、行政機関については、性善説が前提にあるため、ペナルティは設けられていなかった。そもそも率先して障害者雇用を推進する立場にある行政機関で不正が行われていたことは想定外のことであり、障害者たちに一様に大きな衝撃を受けている。

日本障害者協議会代表で自らも視覚障害がある藤井克徳氏は、中央省庁が水増しをしてきたことで、障害者の雇用機会が奪われてきた現実があると指摘する。実際、公務員試験で上位の成績を修めながら採用されなかった障害者もいる。

藤井氏はまた、政府がこのような不正を行っていると、政府が発表するデータが信用されなくなることも懸念する。結果的にここまでの日本の障害者の雇用をめぐる政策は、水増しされたデータを元に実行されてきたことになり、その正統性さえ揺らぎかねない。また、民間企業を指導する立場である省庁がこのようなことをしていては、民間企業も本気で障害者雇用を進めようとしなくなることが危惧されると、藤井氏は語る。

今年4月から、障害者の法定雇用率は民間企業2.2%、国・地方公共団体等は2.5%に引き上げられた。しかしこの数字は現在、日本の人口全体に占める障害者の割合が7.4%であることを念頭に置くと、依然としてかなり低い水準にとどまっていると言わざるを得ない。藤井氏はその背景には、効率や生産性を理由に障害者を排除する考えが根強く残っていると指摘する。

障害者雇用は、障害者にとっての安定した収入の場を保証するだけではなく、職場環境をより働きやすいものに変え、仕事の内容に豊かさと幅を持たせる効果がある。障害者が生きやすい社会は当然、健常者にとっても生きやすい社会になるからだ。ことに政策を立案する立場にある政府機関では、政策決定過程に当初から当事者である障害者が参画していることが、実効性のある政策を作成する上でとても重要になる。

障害者がともに働くことにどういう意味があるのか。なぜ、障害者を雇うことが社会にとって重要なことなのか。障害者問題に長年取り組んできた藤井氏と、社会学者の宮台真司、ジャーナリストの迫田朋子が議論した。”

──「障害者を雇うことがなぜ社会にとって重要なのか」マル激トーク・オン・ディマンド 第909回(2018年9月8日)より

…The end

[閑話休題]『さぽーと』2018年5月号 今月の切り抜き「優生手術の被害者の救済を」から考える〜協会と優生学・優生思想・パターナリズム〜【後編】

敗戦後、戦前戦中の「産めよ、殖やせよ」人口政策への批判と一転して戦後の人口抑制政策、そして、女性の権利として、日本社会党の衆議院議員の加藤シズエ(女性解放運動家)・福田昌子(女性医師)・太田典礼(男性医師)らが不妊・中絶・避妊の自由を求めて法案を提出し、1948年に「優生保護法」が成立した。
優生保護法が果たして本当に女性のReproductive Health and Rights(生殖の健康と権利)を護る法律だったのかについても批判があるが、国民優生法に代わり誕生した優生保護法は戦前の旧法以上に障害者差別を助長し、彼らの生殖の権利を侵すものであった。

 優生保護法 第1条 この法律は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とする。
第2条 この法律で優生手術とは、生殖腺を除去することなしに、生殖を不能にする手術で命令をもつて定めるものをいう。

第4条 医師は、診断の結果、別表に掲げる疾患に罹つていることを確認した場合において、その者に対し、その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要であると認めるときは、前条の同意を得なくとも、都道府県優生保護委員会に優生手術を行うことの適否に関する審査を申請することができる。 続きを読む

[閑話休題]『さぽーと』2018年5月号 今月の切り抜き「優生手術の被害者の救済を」から考える〜協会と優生学・優生思想・パターナリズム〜【前編】

戦後の1948年に成立した「優生保護法」によって、強制不妊手術を受けた宮城県の知的障害のある女性が国を相手取り1,100万円の損害賠償請求の訴訟を起こし、2018年3月28日に第1回口頭弁論が仙台地裁で行われた。国は請求棄却を求めているが、優生保護法(障害者団体他の運動により1996年に「母体保護法」に改正)による優生手術の違法性を問う初めての訴訟であった。そして、その後、5月17日には優生保護法による不妊手術により優生手術を受けた北海道・宮城県・東京都の被害者が一斉に提訴した。旧優生保護法を巡る国賠訴訟の第2弾である。
わかっているだけで、優生手術の実施件数は、本人の同意によるものが8,516件、優生保護審査会の審査によるものが16,475件だ。「本人の同意」とは言うものの、知的障害・精神障害のある人が、果たして、その手術の意味を本当に理解し、同意していたかは大いに疑問であるし、その他の障害であっても、何のための手術か本人に知らされないまま不妊手術が行われた事例もあるという。このような優生思想に基づく障害者差別・人権侵害を放置した国の不作為は糾弾されて然るべきあり、今後、この動きは全国に広がっていくのは当然のことであろう。

『さぽーと』2018年5月号の今月の切り抜き「優生手術の被害者の救済を」では、旧優生保護法による強制不妊手術を取り上げているので、それに纏わる話題を幾つか記してみたい。
知的障害者福祉の歴史において、優生学・優生思想やパターナリズムとの関係を問うことは避けて通れない道である。そして、日本知的障害者福祉協会(日本精神薄弱児愛護協会)の歴史においても然りである。その当時に対する評価は読者にお任せするとして、当該の知る限り、戦前・戦後の論調を紹介してみたいと思う。 続きを読む

[閑話休題]『さぽーと』2017年11月号 今月の切り抜き「労働契約を結ぶということ」

『さぽーと』2017年11月号

『さぽーと』2017年11月号の特集は「働き続けるために必要な制度と支援―就労定着支援のあるべき姿とは―」2018年施行の就労定着支援について。就労定着支援の事業の実際は未だ不明な部分がある中で、現状の就労支援事業所や就業・生活支援センターで障害者の就労支援、職場定着に取り組んでいる現場からの報告が中心であったが、一般企業での職場定着や就労生活における支援はさておき、いざ福祉的就労に目を向けてみると暗澹たる気持ちにさせられる事件が起こっている。
昨今の就労継続支援A型事業所で経営難から利用する問題障害者の大量解雇問題である。2017年に入って岡山で224人、香川県で59人、愛知県で69人、埼玉県で53人、そして、最近では広島県で112人の大量解雇だ。

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[閑話休題]『さぽーと』2017年8月号 特集「津久井やまゆり園事件から1年が経過して─障害者の安心・安全を守るために─」を巡って

『さぽーと』2017年8月号 特集「津久井やまゆり園事件から1年が経過して─障害者の安心・安全を守るために─」

雑誌編集者稼業をしているとゴールデンウィークとお盆休み、年末年始の休みは印刷所や取次も休みになるため、休日があるのは嬉しいことだが、編集作業の日数が減り、タイトスケジュールにいつも頭を悩ませる。8月号は10日に納品・発送となったので、15日前後には全国の読者諸氏の手許に届くだろう。

そんな業界ネタの内輪話は兎も角、津久井やまゆり園での殺傷事件から1年経った。事件については、史上稀に見る凄惨な事件であり、忌むべき出来事であったことは今更説明を要しないだろう。1年が過ぎた今、各障害福祉団体の機関誌では事件を振り返る特集や記事が組まれている。各論者の観点も然る事乍ら、其々の団体の主張や編集方針が伺えて興味深い。
そして、協会でも『さぽーと』2017年8月号で「津久井やまゆり園事件から1年が経過して─障害者の安心・安全を守るために─」として特集を組んだ。津久井やまゆり園は協会の会員施設であり、協会は事業者の団体であることから、編集方針にも団体の特徴がよく表れている様に思う。

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[閑話休題]『さぽーと』2017年7月号 レポート「いのちのバリアフリーをめざして〜すぎなみ障害者人間ドックの挑戦〜」

『不平等な命−知的障害の人逹の健康調査から−』

日本知的障害福祉連盟(現・日本発達障害連盟)が1998年に発行した、有馬正高先生編集の『不平等な命−知的障害の人逹の健康調査から−』という調査研究報告(三菱財団研究助成「知的障害をもつ人達のライフステージに応じた保険・医療対策のあり方に関する研究」他)を基に編まれた書籍をご存知だろうか。
一般的な生活習慣病である糖尿病や高血圧症、動脈硬化など、障害の有無にかかわらず“平等”に、中高年が罹りやすい病気であるが、知的障害のある人たちの場合、このような日常的な病気であっても、家族が付き添えず診断や治療が困難であったり、また、医療機関から診療を拒否されたりなどの理由で、手遅れになってしまう事例が散見されることから、健常者とは異なる理由で高率に死亡しているのではないか、果たして、知的障害者は健常者と同様に基本的な生存する権利が保障されているのかを目的として、長く障害者医療に携わってきた有馬正高先生らによる調査研究が此書である。
今から20年前の研究報告書であるが、知的障害者は健常者に比して、有意に死亡率が高く、その死因も突然死が多い。また、診療する病院の受け入れ体制への不信や対応する職員の困難さなど、現在でも左程変わってはいないのではないか。
『さぽーと』2017年7月号のレポートでは、そのような十分とは言えない知的障害のある人への検診機会を確保するための民間法人の取り組みが紹介されている。

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