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[閑話休題]『さぽーと』2017年11月号 今月の切り抜き「労働契約を結ぶということ」

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『さぽーと』2017年11月号

『さぽーと』2017年11月号の特集は「働き続けるために必要な制度と支援―就労定着支援のあるべき姿とは―」2018年施行の就労定着支援について。就労定着支援の事業の実際は未だ不明な部分がある中で、現状の就労支援事業所や就業・生活支援センターで障害者の就労支援、職場定着に取り組んでいる現場からの報告が中心であったが、一般企業での職場定着や就労生活における支援はさておき、いざ福祉的就労に目を向けてみると暗澹たる気持ちにさせられる事件が起こっている。
昨今の就労継続支援A型事業所で経営難から利用する問題障害者の大量解雇問題である。2017年に入って岡山で224人、香川県で59人、愛知県で69人、埼玉県で53人、そして、最近では広島県で112人の大量解雇だ。

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[閑話休題]『さぽーと』2017年8月号 特集「津久井やまゆり園事件から1年が経過して─障害者の安心・安全を守るために─」を巡って

『さぽーと』2017年8月号 特集「津久井やまゆり園事件から1年が経過して─障害者の安心・安全を守るために─」

雑誌編集者稼業をしているとゴールデンウィークとお盆休み、年末年始の休みは印刷所や取次も休みになるため、休日があるのは嬉しいことだが、編集作業の日数が減り、タイトスケジュールにいつも頭を悩ませる。8月号は10日に納品・発送となったので、15日前後には全国の読者諸氏の手許に届くだろう。

そんな業界ネタの内輪話は兎も角、津久井やまゆり園での殺傷事件から1年経った。事件については、史上稀に見る凄惨な事件であり、忌むべき出来事であったことは今更説明を要しないだろう。1年が過ぎた今、各障害福祉団体の機関誌では事件を振り返る特集や記事が組まれている。各論者の観点も然る事乍ら、其々の団体の主張や編集方針が伺えて興味深い。
そして、協会でも『さぽーと』2017年8月号で「津久井やまゆり園事件から1年が経過して─障害者の安心・安全を守るために─」として特集を組んだ。津久井やまゆり園は協会の会員施設であり、協会は事業者の団体であることから、編集方針にも団体の特徴がよく表れている様に思う。

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[閑話休題]『さぽーと』2017年7月号 レポート「いのちのバリアフリーをめざして〜すぎなみ障害者人間ドックの挑戦〜」

『不平等な命−知的障害の人逹の健康調査から−』

日本知的障害福祉連盟(現・日本発達障害連盟)が1998年に発行した、有馬正高先生編集の『不平等な命−知的障害の人逹の健康調査から−』という調査研究報告(三菱財団研究助成「知的障害をもつ人達のライフステージに応じた保険・医療対策のあり方に関する研究」他)を基に編まれた書籍をご存知だろうか。
一般的な生活習慣病である糖尿病や高血圧症、動脈硬化など、障害の有無にかかわらず“平等”に、中高年が罹りやすい病気であるが、知的障害のある人たちの場合、このような日常的な病気であっても、家族が付き添えず診断や治療が困難であったり、また、医療機関から診療を拒否されたりなどの理由で、手遅れになってしまう事例が散見されることから、健常者とは異なる理由で高率に死亡しているのではないか、果たして、知的障害者は健常者と同様に基本的な生存する権利が保障されているのかを目的として、長く障害者医療に携わってきた有馬正高先生らによる調査研究が此書である。
今から20年前の研究報告書であるが、知的障害者は健常者に比して、有意に死亡率が高く、その死因も突然死が多い。また、診療する病院の受け入れ体制への不信や対応する職員の困難さなど、現在でも左程変わってはいないのではないか。
『さぽーと』2017年7月号のレポートでは、そのような十分とは言えない知的障害のある人への検診機会を確保するための民間法人の取り組みが紹介されている。

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[職場闘争]7・22社会福祉士養成所 東京スクーリング緊急情宣行動〜団交から逃亡中の末吉事務局長を直撃!〜

2017年7月22日(土)〜24(月)の3日間、日本知的障害者福祉協会社会福祉士養成所の第28期生の東京スクーリングが、東京・有楽町の東京国際フォーラムG棟で開催された。

それに先立って、7月19日(水)に我が組合と協会の第6回団体交渉が行われ、相変わらず協会側は暴行暴言事件の当事者であり、これまでの違法デタラメな労務管理の責任者である末吉事務局長を団交に出席させず、O常任理事は全く誠実さを欠いた道理の通らない説明に終始した。また、団交会場も協会会議室を使用せず、こそこそと他の事務局職員に知られないように別会場で行うなど、「組合嫌悪・組合敵視などしていません」とこれまで宣っておきながら、協会の組合敵視姿勢の実態はまるで変わっていない。その他の協議事項も含めて、第6回団交報告は後ほど本組合掲示板ブログにUPするとして、我々組合はいつまでも末吉事務局長の団交からの逃亡を許しておくつもりはない。
協会のこれまでの労基法違反や労働者の権利を蔑ろにした行為、その責任逃れ・責任者隠し、不誠実団交、不当労働行為発言等々は、人権と社会正義を基とするソーシャルワーカーの拠って立つ礎「ソーシャルワークの定義」にも悖るものである。歴史ある社会福祉士養成所を運営する、このような協会の実態を、未来の社会福祉士のみなさんに広く知っていただき、協会の現状を反面教師として、善きソーシャルワーカーとなっていただきたいという強い思いから、急遽、いつもの協会事務所前ではなく、初の出張情宣、東京スクーリングの会場である東京国際フォーラム前で緊急情宣行動を決行した。

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西谷敏「橋下市政と公務員・公務員組合」〜『月刊全労連』2012年10月号「特集 橋下政治の分析と批判」から〜

『月刊全労連』2012年10月号

かつて、「大阪都構想」を旗印に掲げ、大阪で躍進した「大阪維新の会」の首魁橋下徹は、2011年に大阪府知事の職を辞し、大阪市長に就任しました。
橋下が真っ先にやったことは大阪市職員とその労働組合への攻撃でした。大阪市の公務員の問題を市職員の労働組合の問題に転嫁し、市職員に対する数々の労働強化政策を打ち出してきました。橋下が行った公務員・労働組合への攻撃の違法性は言わずもがなですが、ここで問題なのは、それを支持する“市民”の存在です。橋下は“民意”を味方につけて、市職員組合を攻撃してきたのです。

橋下ような労働組合を敵視する使用者がそれに共鳴する“市民”の労働者観や労働組合観を共有し、公務員や公務員労組を攻撃している事態は大阪市に限ったことではありません。改革を旗頭に掲げて、公務労働者の人件費削減やリストラを図る首長が“市民”の喝采を持って迎えられることはマスコミで報じられることもあるので、いくつかの事例を思い起こされる方もいらっしゃることと思います。

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[集会報告]3・25白梅争議勝利集会報告〜連帯白梅分会の闘いの軌跡〜

2017年3月25日(土)、台東区民会館で全労連・全国一般東京地本主催「白梅争議勝利報告&昭和ゴムの闘いに連帯する ’17春闘勝利交流のつどい」が開催された。各職場での春闘報告と併せ、約100名の参加者が勝利の美酒に酔いしれ、白梅争議の勝利和解を祝った。
就労継続支援B型事業所・知的障害者の作業所である「白梅福祉作業所」を運営する特定非営利活動法人せたがや白梅(東京都世田谷区)において労働組合員に対する不当解雇・雇い止め・不当労働行為・ハラスメントなどが行われていることを元全日本育成会職員のO氏やM氏から聞き、経営側と闘っている全労連・全国一般東京地本・連帯白梅分会(以下、白梅分会と略)の組合員の方々と昨年から情報交換を行ってきた。
NPOせたがや白梅で起こった労働争議は以下のような経過であった。

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[閑話休題]『さぽーと』2017年1月号 特集「自分らしく生きたい-意思決定支援について-」

『さぽーと』2017年1月号の特集は「自分らしく生きたい-意思決定支援について-」。少々わかりにくい特集タイトルだが、実際に意思決定支援を福祉現場の具体的な支援に落とし込んでいく前段階として、今一度の概念整理をして考えたい方には有用な特集だったように思う。

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[日々雑感]2017年 仕事始めにあたって

今日1月5日は協会事務局の仕事始め。午前中の月例の職員会議「事務局調整会議」では一波乱があり、あまりに呆れた話なので、これに対しての組合対応が決まり次第暴露させてもらうことにする(というわけでこちらを参照)。
それとは別に午後3時から、1時間の時間を割いて、橘会長・菊地副会長・井上副会長(榊原副会長は都合により欠席)から年頭の挨拶と訓示があった。

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[閑話休題]「人は一人では生きられないということ」最首悟〜『さぽーと』2016年12月号「であい」より〜

2016年12月号の『さぽーと―知的障害福祉研究』の「であい」に元東大助手・和光大学名誉教授の最首悟先生に小論・随想をご執筆いただいた。ちなみに「人は一人では生きられないこと」という題名は、本文にもあったが、先生の著書『星子が居る』の中にある節にあった言葉ともかけて* 私が付け、先生のご了解をもらった。

*一七、一八の若者にある種の文章を課すとまず百パーセント「人間は一人じゃ生きられない」と書く。そういう文章を見る仕事をもう一◯年以上しているので、根は深いのだと思う。(同書所収:星子が居る「一人で生きる」という人間観)

「難解なお話や晦渋な表現は避けて、なるべく易しく書いてくださいねっ!」というお願いに「はい、わかりました」とご快諾いただき、1回だけ畏れ多くもダメ出しして書き直してもらったが、読み返すたびに、いい文章だなぁと初めて先生の著書『星子が居る』を読んだ時のような気持ちになった。お読みになられた読者諸氏はどのような感想を持たれただろうか。

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[職場闘争]職員会議で協会側が提案、三六協定締結へ向けて動き出す!? part 1 〜…と年齢超過児・者退所に関する報道についての私感(後編)〜

前編からの続き)1960年に精神薄弱者福祉法が制定される以前は、知的障害児(者)施設の法的位置付けは児童福祉法にある精神薄弱児施設であった。しかし、戦後制定された児童福祉法が施行される1948年以前からある知的障害児(者)施設は、戦前は法外施設であり、年齢の定めもなかったことから、日本で最初の知的障害児の教育・福祉施設の滝乃川学園は、児童福祉法が成立したことによって、早くも年齢超過児問題を抱えることになるのである。『滝乃川学園百二十年史−知的障害者教育・福祉の歩み』には、1948年当時ですでに定員の1/4が20歳以上であったと記されている。

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