2016年11月23日(水)、今日は東京都下の地域合同労組の会合があり、会議終了後、板橋区立ハイライフプラザいたばしで一橋大学の鵜飼哲教授の講演があると知り、急遽参加聴講することにしました(なんせ家の近所なもので)。講演は主に次のような内容でした(なお、私のメモと先生の講演資料のダイジェストを羅列したものなので、少々わかりづらい点はご勘弁ください… m _ _ m)。

講演中の講師・鵜飼哲教授(一橋大学)
0)はじめに−韓国人留学生の不安
朴槿恵政権の支持率の低下(報道では5%だが、若者の支持率は0%!とのこと)。日米韓合同演習へのイギリスの参加による戦争への危機感が徴兵動員される南朝鮮・韓国の若者に広がっている。2016年7月から、南朝鮮・韓国人民の反対にもかかわらず、高高度防衛(THAAD: Terminal High Altitude Area Defense)ミサイルの配備、そして、さらに韓国世論の反対の多い日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA: General Security Of Military Information Agreement)の調印など、人民民意無視の朴槿恵政権へ抗し、南朝鮮・韓国人民と連帯し、朴槿恵来日阻止闘争を!
1)沖縄闘争の質的転換
機動隊員の「土人」「シナ人」発言に象徴されるように、日本(ヤマト)の植民地主義が現在進行中であることが表れている。
また、米の「エアシー・バトル戦略」から「オフショア・コントロール戦略」への転換は、対中戦略における戦場を沖縄・日本列島の限局的な戦闘で終結させることを想定している。
2)「反テロ」戦争以後の時代
近代以前においては職業軍人(戦士)での戦争が、フランス革命以後、軍隊が国民軍化される中で、誰しも「テロリスト」となる時代に。戦争(内戦)の続く社会の中の「平和」しか知らない人々は、見込みのない国家建設のために現在享受しているわずかな社会的資源、すなわち(準)軍事的な組織により供給されるものの放棄を望まない。
安倍政権の「積極的平和主義」、集団的自衛権行使容認、自衛隊の南スーダン派兵「駆けつけ警護」は、国連常任理事国入りを目指すための布石であり、それは対米のみならず、近年NATO加盟した仏との密接な関係に表れている。
3)反五輪闘争の組織化に向けて
近代オリンピック提唱者のクーベルタン男爵(Pierre de Frédy, baron de Coubertin)の思想は戦争に勝つための体育教育が目的だった。オリンピックは戦争と本来的に無縁ではない。
「復興五輪」という欺瞞:これまでの東京オリンピックもすべて復興の名の下に行われてきた。幻の1940年の東京オリンピックは関東大震災からの復興であったし、1964年の東京オリンピックも戦災からの復興、そして2020年の東京オリンピックは東日本大震災からの復興である。東日本大震災被災地の復興復旧のための物的人的な資材・資源の不足もそのままに、東京の再開発が優先されている。
Jules Boykoffはオリンピックを「祝賀資本主義」と批判している(Celebration Capitalism and the Olympic Games, Routledge, 2014 )。
オリンピック憲章に反した国威発揚と五輪=非常事態、治安強化への恐怖社会、そして明文改憲への道を許してはならない。
パラリンピックとそれに関連して行われる文化的なイベント、実際、障害者の芸術文化活動の発展・啓発活動には仕事柄、関わることになるであろうし(それまでに解雇されたり、仕事剥がしでもされなきゃね…)、私自身、私生活でも競技スポーツに関わっていることから、競技者や若者に大会参加の機会を与えることには大賛成です。それが国際的な大舞台とあればなおさら。なので、オリンピック・パラリンピックのあり方に反対の声をあげるのは躊躇われるし、このような現状への反旗を翻したとしても、正直声を上げるのはとても勇気のいることです。
思い出してみよう。東京オリンピックを石原慎太郎元東京都知事が言い出した時に積極的に賛成した東京都民は少なかったはずです。それがいつの間にか誘致キャンペーンが行われ、大々的に2020年の開催地発表が行われたときのマスコミの報道から、知らない間にみんながオリンピック開催に賛成しているように世論誘導がされてしまったようにしか思えない。
スポーツ競技大会は結構なこと。しかし、知らず知らずに、まさに文字通りの禍々しい資本の論理、国家主義に絡め取られていることを絶対に忘れてはなりません。寺山修司が『死者の書』において、自身の体験した1972年ミュンヘンオリンピックでの惨劇から、反オリンピックに転じたことはその後のオリンピックのあり方を見事に予言したものでした(参考記事)。■
[告知]
東京オリンピックおことわリンク結成集会−多様な「おことわり宣言」が交差する新しい運動を目指して−
2017年1月22日(日)13:00〜 東京都渋谷区・千駄ヶ谷区民会館
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