12.7 東京都労働相談情報センター大崎事務所と南部労組との情報交換

昨年末のお話ですが、我が組合(東京南部労働者組合 以下、南部労組と略)のかねてからの懸案であった、南部労組事務所にほど近い東京都労働相談情報センター大崎事務所(旧・大崎労政事務所)との情報交換が、2021年12月7日(火)、不当労働行為救済申立・日本知的障害者福祉協会事件 第28回調査が終わった後に行われました。出席者は南部労組側が私を含めて4名、大崎事務所側は相談調査担当のY氏とK氏が対応してくださいました。

大崎事務所ではこれまで、当事務所の労働相談を受けて、その紹介により南部労組加入に至った組合員もあり、また、労政事務所による斡旋によって紛争解決に至った組合員もいます。
このように職場に労働組合がない、労働組合を結成したいという労働者にとって、労政事務所は重要な相談・紛争解決機能を有した公的機関です。我が組合も定期的に駅頭情宣を行い、新たな組合員の獲得・組織化に努めていますが、なかなか実を結ばない現状にあり、労政事務所との連携を図ることが我が組合の組織強化の課題とされているところでした。

情報交換の内容は、大崎事務所の労働相談の現状と課題、労働組合との連携について、が中心でした。担当氏の話によると、電話(東京都下に限らず全国から)や来所による相談件数は年間約10,000件あり、労働問題の解決事例は約400件とのことでした。相談のきっかけは、昨今ではパワーハラスメントに関する相談が多いとのことでしたが、実際にその内容を聞いてみると、実は賃金の切り下げや配置転換等の旧来からある労働問題であることが多いといいます。

しかも、相談者の大半は心身共に追い詰められ、体調の悪化もあることから、労働組合を結成、または地域一般合同労働組合に加入し、使用者側と闘う気力・体力も維持できない状態にあり、結局は自主退職という選択をせざるを得なくなるとのことです。
また、昨今のコロナ禍による外的な影響はさほどなく、急増している非正規雇用*よりも正規雇用労働者からの相談が多いという意外なお話も伺いました。

* 「「非正規雇用」の現状と課題」厚生労働省資料(2021年6月29日)

確かに、私が個人的に関わっているSNSのFacebook(Meta ©2022)のパワハラ被害者のグループでも、パワーハラスメントで悩み苦しんでいる方の投稿を読んでいると、明らかに使用者側の労働基準法違反の事例が含まれており、「それは会社と交渉し、闘えば改善できる事案ですよ」とアドヴァイスをしても、もう辞めたい!辞めてやる!という方が多いのは事実です。
労働者の権利侵害・雇用契約違反・労働法令違反とは労働者の権利の主張を以って対抗できるんだ、という啓発活動や労働者教育が必要であることを痛感していたところです。

大崎事務所との情報交換は、約1時間程度の短い時間ではありましたが、実に有益な話し合いでした。

労働組合の組織率は漸減**しているものの、労政事務所の労働相談件数が決して減ってはいない今日的状況で、職場の労働組合結成を促し、それが適わない場合は一人でも加入できる地域の合同労働組合との連携が、労働者保護行政を担う労政事務所(東京都労働相談情報センター)に求められます。我が組合は組合機関紙組合の新リーフレット、組合情宣時に街頭で配布しているポケットティッシュ付きチラシを担当氏に渡し、近年の労働相談や解決事例の活動を紹介しました。

** 政府統計「令和3年労働組合基礎調査の概況」厚生労働省(2021年12月17 日)

我々地域合同労組も、企業の都合で使い捨てられ、孤立し悩んでいる労働者に対して、労働者教育と組織化、次代の労働運動を担う人材育成へとつなぐために、地域情宣と併せて労政事務所との緊密な連携に継続的に取り組んでいかなければならないと感じたところです。

…The end

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