[集会報告]12・23障害者労働組合・学習会 〜「最低賃金の減額の特例」は障害者差別ではないですか?〜

2017年12月23日(土)、今日はTwitterでfollowしていて、どんな活動、どんな取り組みをしているのか知りたかった障害者労働組合の学習会 “「最低賃金の減額の特例」は障害者差別ではないですか?”に参加した(会場は東京都障害者福祉会館)。参加者は自分を含めて10名+取材に来ていた『しんぶん赤旗』の記者さん1名と講師の清水建夫弁護士(銀座通り法律事務所)。
清水建夫弁護士による最低賃金法の減額特例についての大まかな説明の後、参加者(障害者労働組合の組合員の皆さん)による報告・意見が交わされた。

最低賃金については、自分があまり良く知らないこともあり、最低賃金法第7条第1号における「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者の最低賃金の減額の特例許可申請」は事業者による申請のみで許可され、労働者の合意が必要ないことに驚いた。労働条件の変更、特に賃金の引き下げ等不利益変更は、労働契約法第8条からみても、そんなことが認められていいのか?と思うのだが…。サービス利用契約書でも本人(又は代理人)と直接契約している訳なのだから(就労継続A型の場合、雇用契約がどのように締結されているのかにもよるが)と思い質問してみると、T書記長のお話によれば、そうすると合意が得られなくなり減額特例が機能しなくなるというのが行政の回答らしく、取り組むべき課題であるとのこと。

それでも最低賃金減額特例申請している事業所はまだ“良い”方で、最賃法無視の事業所もたくさんあるのは言うまでもない。
酷い例を挙げると、知的障害者を住み込みで週40時間以上働かせ、週給2,000円〜4,000円(時給50円〜100円!)しか払っていない事業所もあった(最賃法4条労基法104条違反で書類送検)。法令違反どころか、完全に障害者虐待である。

他の参加者からは「業務遂行に与える著しい支障とは?減額の理由や減額率の判断が不明確」「減額率70%なんてありなの?」「最低賃金減額特例の申請に対して許可率が高過ぎる*」「障害のない人との同等の権利を謳った障害者権利条約に反している」との意見が出された。

* 資料によると、知的障害の場合、2015年の最低賃金減額特例許可申請件数は4.324件、許可件数は4,277件で、そのほとんどが許可されている。

中でも印象的だったのは、ある就労継続支援A型事業所で、最低賃金を減額されるか労働時間を短縮されるかを事業所から迫られ、最低賃金を減額されることを避けるために已む無く労働時間を短縮することを受け入れたケースだった。そこで働いていた知的障害のある女性は、最低賃金を貰えていることが誇りであったとのことで、最低賃金が彼女の尊厳を支えている現実に胸が締め付けられた。

民間企業では実雇用率1.97%(厚生労働省「平成29年 障害者雇用状況の集計結果」)と障害者の雇用率が大きな伸びをみせる中、雇用の確保も大事なことではあるが、その陰で、働く障害者・障害のある労働者の生活保障と尊厳が守られているのか? 最低賃金減額特例を通して、雇用のあり方をあらためて考えさせられる学習会であった。

最後に、今年大きな社会問題となった就労継続支援A型事業所の閉鎖に伴う障害者の大量解雇が、来年また更に大きな事業所閉鎖によって起こる事態について、注意喚起と情報収集が呼びかけられた。

なお、障害者労働組合では最低賃金減額特例についてどう考えるかのアンケート調査を各団体に送ったとのこと。協会にも送ったそうだが、まだ回答はないらしい。回答しなさいよ…。

(2017.12.23追記)この学習会の『しんぶん赤旗』の記事はこちら

…The end

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