第1回都労委斡旋

東京都労働委員会(都庁38F)に掲げられた日本知的障害者福祉協会事件の掲示(2018年2月8日)
都労委斡旋の第1回が、2018年2月8日(木)13:30から東京都労働委員会審問室において行われた。
労働委員会の委員は光前委員(公益)・久保委員(労働者)・石川委員(使用者)である。これまで他の組合員の事務局斡旋には参加したことがあるが、当事者として三者委員斡旋は、当該にとっては初体験だったので、さすがに緊張したものの、南部労組の仲間2名が駆けつけ、立ち会ってくれたのは心強い。 控室から呼ばれ審問室に入り、席に着くと、協会側の出席者も入室してきた。協会側の出席者は協会顧問弁護士を先頭にO常任理事・古屋総務課長・三浦政策企画課長であった。案の定、末吉事務局長は斡旋からも逃亡。全く情けない。
労働委員会から斡旋で行うことなど事前説明の後、我々組合の主張を聴取。光前委員から「これだけ大部の詳細な申請書を出しているんだから、不当労働行為申立の方がいいのでは」というような発言があり、確かに当該も斡旋申請書も不当労働行為救済申立でも共用できるように作成したため、そう思われても仕方のないことであったし、まあ図星というところだった。正直なところ、準司法手続きとしての不当労働行為救済でも良かったのだが、当該としては、三者委員立ち会いの下、協会との団交での協議に一縷の望みをかけていたこともあり、労働委員会にその意図を説明し、一旦退室し控室で待機した。 その後、我々組合と協会が審問室に入り、双方の主張を聞いた労働委員会から、これだけ主張が異なると団交ルールを取り決め、調整することは難しいとの説明があった。呆れたことに協会は今後、末吉を団交に出すことはないというものだった。そして、2018年1月10日に組合宛に届いた2013年4月1日の末吉の暴行事件についての聞き取り調査回答についても(時系列的には前後するが、これについては可能ならば後に報告したい)、これだけ聞き取り調査で異なる証言が出されているにもかかわらず、協会としての結論は出ているという、自主団交となんら変わらない開き直りぶりであった。
第三者の下でならば、已むを得ないとしても協会としても誠実に対応をせざるを得ず、かつ面子も立つのではないかという温情を込めて斡旋団交での解決を目指した訳だったのだが、協会も引くに引けず泥沼でもがいている現状に、白蓮から一条の蜘蛛の糸を垂らし、現状を打破して不毛な協議にある程度の前進を、という思いにも拘らず、協会の姿勢は失望を禁じ得ないものであった。蜘蛛の糸がぷつりと断れたのである。
事実上、第1回のあっせんは不調に終わり、第2回期日も決めることなく終了した。
不当労働行為救済申立へ
その後、組合で協議した結果、協会が自主団交時と変わらずに強硬姿勢であることから、このまま斡旋で解決を図ることは困難と判断し、2月23日(金)に斡旋を取り下げ、不当労働行為救済を申し立てることを我々は決意した。
申立事由は、末吉事務局長の団交出席拒否を主な理由とした不誠実団交(労組法7条2)と水内事業課課長代理の当該の起案文書破棄の嫌がらせ行為を主としたこれまでの組合敵視言動、すなわち組合員への不利益取扱いと支配介入(労組法7条1及び3)である。
以下、申立書の「不当労働行為を構成する具体的事実-申立に至る経過」を抜粋(一部改変)し引用したい。
1)被申立人協会事務局長の団交出席拒否による不誠実団交
2016年7月20日の第3回団体交渉から、協会の末吉孝徳事務局長が団体交渉に出席せず、組合は再三の出席要求を行ったが、2017年12月6日の第8回団体交渉に至るも団体交渉出席を拒否している。第1回・第2回団体交渉には、協会は当然のごとく出席させていたにもかかわらず、である。
組合は、管理職の責任を棚上げした当該組合員への始末書の提出やこれまでの違法な就業規則変更、2013年4月1日に就業規則の違法な変更と周知義務違反に抗議した当該組合員(当時は組合未加入)に対して行われた末吉事務局長からの暴行・暴言、他職員の前での吊るし上げ行為等について、団体交渉の場での説明を求めるため、然るべき責任者の団交出席を要求し、2016年4月18日に第1回団体交渉、同年6月2日に第2回団体交渉を行い、当該団体交渉には末吉事務局長も出席していた。
しかし、同年7月20日の第3回団体交渉では末吉事務局長は出席せず、当初協会は「末吉事務局長は所用により団交欠席」と回答していたが、その後の団体交渉にも末吉事務局長を出席させずに、その理由を「団交は糾弾の場ではない」「(2013年4月1日の当該組合員への暴行暴言等について)本人は記憶がないと言っている」「会長の指示」などと的外れな弁解に終始し、正当な理由を示さないまま、末吉事務局長の団体交渉出席拒否を正当化してきた。組合は、実質的に職員の労働条件に決定権限を有する末吉事務局長が団体交渉に出席しなければならない根拠を、協会事務局規程他を基に、その都度、抗議申入書面及び団体交渉において示してきたが、協会は正当な理由を開示せず、その理由とされる「会長の指示」の具体的な内容についても「答える義務はない」などと居直りを図っている。
結果、末吉事務局長の団交出席拒否により、団体交渉では当該組合員への暴行・暴言・吊るし上げ行為の事実の擦り合わせ・確認が行えないばかりか、2016年6月に着任したO常任理事が現在、組合との団体交渉の対応に当たっているが、違法・不適切な労務管理実態を知悉していないため組合への回答もままならず、円滑な団体交渉の進展に悪影響を及ぼし、問題解決と労使関係の改善に無用な時間を費やさざるを得ない状態となっている。
職員への就業規則の周知不履行に抗議した当該組合員へ暴行、他職員がいる中での吊るし上げ等のハラスメント行為の当事者であり、違法な就業規則変更や三六協定未締結の問題、その他職員の労働条件に係る実務的な管理責任者である末吉事務局長を団体交渉に出席させず、組合からの団交出席拒否理由の開示要求についても協会が誠実に回答を提示していないことは、労働組合法第7条第2号:正当な理由のない団体交渉の拒否の禁止及び不誠実団交に該当する。
2)被申立人協会事業課課長代理の組合への支配介入、並びに組合員への不利益取扱い
2016年4月18日の第1回団体交渉の翌日19日に、当該(事業課主任)組合員が組合加入・団体交渉を行ったことをもって、当該組合員が退勤後、協会の水内xx事業課課長代理が事業課の職員を会議室に呼び、「(当該が)組合に入って、会長や事務局長に迷惑をかけたことに怒り心頭である」「あなたは組合に入っているのか?」、職員の名前を挙げて「○○(職員名を挙げ)は組合に加入しているのか?」「このことを知っているのは誰か?」「(当該の)態度は許せない。これからは厳しくあたる」等の発言を行った。
この水内事業課課長代理の組合敵視・支配介入言動については、組合は2016年7月20日の第2回団体交渉でも取り上げ、今後このような組合に対する支配介入としか言いようのない不当労働行為を行わないように協会に抗議し、水内事業課課長代理に指導するように促していたが、協会はその後も本件について具体的な対応を取ることはなく、組合嫌悪・組合敵視を改める姿勢も示していない。また、その後も水内事業課課長代理の組合敵視や当該組合員に対する敵対的態度は改められてはいない。
2017年2月24日、当該組合員が作成した機関誌購読案内の起案文書を、水内事業課課長代理が破棄し、同一内容の起案文書を作成し直し、上職者の決裁を得ていたことが判明した。当該組合員がなぜ起案者の印章を押印した起案文書を破棄したのかを水内事業課課長代理に問いただしたところ「(当該)さんの印はいりません」というだけであった。これまで当該組合員は協会に20数年勤務しているが、起案文書を稟議・決裁の過程において勝手に破棄されるなどということは一度もなかった。この件は当該組合員の業務遂行妨害並びに嫌がらせ行為であるばかりでなく、組合員であることを理由とした不利益取扱いに他ならない。なぜならば、日常的な職場での当該組合員に対する態度・対応においても、業務遂行に必要な業務連絡を当該組合員には伝えない、業務担当外しなどの露骨な嫌悪・敵視があからさまに行われているからである。
2017年7月19日の第6回団体交渉において、協会及び水内事業課課長代理の組合敵視・不当労働行為を改めるよう交渉を行った際にこの事例を挙げ、口頭で調査を要求、その後、あらためて書面により次回団体交渉前までに事実を調査し、回答するように要求したところ、同年10月4日の第7回団体交渉においても協会は調査を行わず、組合からの再度の抗議と要求により、11月15日に本件調査が行われ、11月21日の協会からの回答とそれを団交議題とした12月6日の第8回団体交渉において、協会は概ねその事実は認めたものの、「時間が経っているので覚えていない」「通常の業務の範囲内の行為」という弁解を行った。
このように協会は、水内事業課課長代理の組合敵視・支配介入言動への抗議についても真摯に受け止めることはなく、水内事業課課長代理による当該組合員の起案文書破棄の嫌がらせ・不利益取扱い行為の対応においても、徒らに回答を引き延ばした挙句、交渉による合意達成の努力義務を放棄した組織防衛の論理を強弁するばかりであった。これまでも、2013年の違法な就業規則変更や三六協定未締結の問題が組合との団体交渉によって判明した事実を職員に隠秘し、協会事務所での団体交渉や組合掲示板の設置要求を頑なに拒んでいる。また、2017年12月6日の第8回団体交渉では、就業時間外に行われている団体交渉に管理職を「ボランティア」として出席させていると発言するなど団体交渉の位置付けを曖昧なものにし、労働基本権に基づく集団的労使関係、労働組合及び団体交渉に対する協会の誤った認識や無理解が窺われるものであった。これらの事実にもみられるように、協会の組合嫌悪・組合敵視は顕著であると言わざるを得ない。
前述した当該組合員の組合加入・団体交渉要求直後の水内事業課課長代理の組合敵視・支配介入言動の他、協会の組合対応からも明らかなように、協会及び水内事業課課長代理の言動・行為は日本国憲法第28条で保障された労働者の団結権・団体交渉権への侵害行為であり、本件は労働組合法第7条第3号:支配介入と、当該組合員の業務遂行妨害、職場における人間関係の切り離し、排除を企図した労働組合法第7条第1号:不利益取扱いに該当する。
その後の書証作りでは、証拠書類が斡旋時にも増して膨大な量になったが、読み込む労働委員会側の負担、我々の複写作業も大変だということで、内容を見直し、当面必要なものだけに留めても結構な量となった。
初っ端からしんどい作業ではあるが、新たな局面における闘いの火蓋は切られた。不当労働行為救済申立はその道程において長期戦・持久戦は避けられない。挫けることなく、最終的勝利を目指して、不当労働行為救済命令を勝ち取るZO!■
…The end