…と、このタイトルに尽きるのですが、1926年10月21日に公布された「国葬令」が1947年12月31日に失効したので「国葬」という言葉は使えないけど、「国葬儀」と言い換えて*、やることになったその「国葬儀」とやらが本日になってしまったため、急遽この「国葬儀」と銘打った実質的には内閣葬(?)がいかにおかしいか、少しだけ当該組合員の感じたことを述べてみます。
*「この秋に国葬儀の形式で安倍元総理の葬儀を執り行うことと致します。」岸田内閣総理大臣記者会見(2022年7月14日)より
そもそも、「国葬儀」ってなんだ?ということなのですが、岸田文雄首相は当初こう言っていました。
「故人に対する弔意と敬意を国全体として表す儀式を催し、これを国の公式行事として開催し、その場に各国代表をお招きする形式で葬儀をすることが適切であると判断したところであります。」岸田内閣総理大臣記者会見(2022年8月10日)より
いやいや、ちょっと待て。「国全体として」って何?これが日本国民を含むという意味ならば、弔意も敬意も表す気が全くない当該組合員は国全体の中には含まれないのか?それとも、日本国民を含む国全体ならば、当該組合員は弔意や敬意を表さなければならないのか?
弔意や敬意は内心の自由に属することであって、私の自由意志を無視して勝手に弔意や敬意を表明したことにされては堪りません。
これは日本国憲法第19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」に反し、憲法違反に他ならないでしょう。
この様な憲法違反の疑いのある「国葬儀」に対して、2022年9月13日、立憲民主党は松野博一官房長官に対して「国葬に関する質問書」を提出。なぜ国葬儀なのか、次の様に質問しています。
「内閣葬とせず国葬儀としたことの説明が全くなされていない。 政治家の評価は歴史が決めるものであり、また安倍元総理に対する国民の思いも様々である。国民の思いが大きく分かれるなかでの国葬儀は不適切。」
9月14日に故安倍晋三国葬儀事務局は「国葬に関する質問書に対する回答」をしており、その回答には以下の様なものでした。
「(前略)…などの状況を踏まえ、我が国としても、故人に対する敬意と弔意をあらわす儀式を催し、これを国の公式行事として開催し、その場に海外からの参列者の出席を得る形で葬儀を執り行うことが適切であると判断し、安倍元総理の国葬儀を閣議決定したものです。」
おや?いつの間にか「国全体として」が無くなっています。
これじゃあ、ただのお葬式じゃないの?ただのお葬式をなんで公式行事にするんだ?公式行事の開催を閣議決定だけで決めていいのか?という新たな疑問が生じるし、公金を支出する根拠も不明です**。
** これを内閣府設置法第3条に求めている様だが、この条文は事務の取り扱いを定めたものであって、公式行事としてやるかどうかを内閣府が決めるということではない。
安倍晋三元首相の業績の評価はともかく(私は全く評価しないが)、国内外から弔意が寄せられて、非業の死であったなら、国の公式行事として「国葬儀」になるのでしょうか。
そんな人は安倍晋三以外にもたくさんいるんじゃないの?そういう人達も今後は国葬儀にするの?と誰もが思うことではないでしょうか。
事実、NHKが2022年9月に行なった世論調査では、政府の「国葬儀」実施について「評価しない」が57%、「国葬儀」の説明について「不十分だ」が72%です。
加えて、統一協会(現・世界平和統一家庭連合)問題の自民党の対応について「不十分だ」と答えた人は65%です。
多くの人民は当該組合員同様に「国葬儀」を閣議決定し、実施することに納得していないのです。
さて、こんなデタラメかつバカバカしく、さらに税金の無駄遣い以外の何物でもない「国葬儀」ですが、葬儀委員長の岸田首相が国内の各界代表に「故安倍晋三国葬儀」招待状を送っている様で、当該組合員は見ていませんが、おそらく公益財団法人日本知的障害者福祉協会にも送られてきているでしょう。
協会会長の井上さんは出席するのかしないのか…たぶん出席するんだろうと思いますが(問題の「桜を見る会」にも行っていたようだし)***、世論の半分以上が反対していて、霊感商法で社会問題になった統一協会の広告塔にもなっていた安倍晋三の、如何わしい「国葬儀」に、社会福祉全国団体の代表として出席すべきかどうかをよく考えて欲しいものです。
*** (2022.9.27追記)案の定、出席した。しかも、協会事務局職員のお供を従えていたようで、いやはや…。
2022年9月27日(火)当日は、我が組合(東京南部労働者組合)も賛同に名を連ねている「9.27国葬当日集会&デモ」(主催:国葬反対!安倍元首相の死を悼まない!共同行動)が行われます。
政府の説明も迷走、人民の半数以上は反対、G7首脳級の弔問客もいないという、しょぼい「国葬儀」になってしまって、敢えて反対しなくても現政権が自滅の道を辿るのは目に見えていますが、「国葬儀」当日に反対の意思表示をしたい!という方の結集をお待ちしています。■
…The end
† 本記事はビデオニュース・ドットコム「結局国葬の何が問題なのか」(2022年9月23日配信)を参考にしています。ぜひ、ご視聴ください。†