[職場闘争]2023年三六協定締結に向けて、意見・要望を出そう!

2022年12月31日で、時間外・休日労働に関する協定(所謂「三六サブロク協定」労基法36条に基づく)の有効期間が終了する為、2022年10月28日(金)の職員会議(尚、協会では「事務局調整会議」と言っている)*で、2023年1月からの新しい協定届案と協定書(協定届に記載されない事項を補足する任意の協定書)案が配布された。

* 尚、この会議の席上、当該組合員は、中小企業では猶予されていた月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が、2023年4月1日から中小企業でも25%から50%に引き上げられることを指摘したのだが、協会は特別条項で月60時間以上の時間外労働については協定を締結していなかった。
本組合掲示板BLOGをご覧の中小企業で月60時間以上の時間外労働を労使協定で締結している労働者のみなさんはご注意されたい。

2022年の協定と比べ、特別条項の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる回数」に変更があり、これはこれまでの我が組合の要求と協会との団体交渉によって、漫然と毎年同じ様な時間外労働・休日労働の労使協定にせず、実態に即して精査されている様なのでこれは良いのだが、それ以外は従来と変わらず。これまで撥ね付けられていた組合要求は相変わらず反映されていない。
とりわけ、労使協定等に係る労働者代表選出については、2022年9月9日に行われた第16回団体交渉(後日、報告記事UP予定)でも団交議題となったが、おそらく今回も従来通りの挙手による選出を行う腹づもりであろうことから、職場民主主義の根幹を為す投票による労働者代表の選出については、断固として拘り、しつこく協会に要求していくつもりだ。

協会は三六協定締結に際して、11月11日(金)までに全職員に意見を求めている。折角の機会なので、期日は過ぎてはいるが三六協定締結まで時間はある。是非、時間外労働・休日労働について、言いたいことや改善して欲しいことを協会に伝えようではないか。

以下、今般の三六協定締結について、2022年11月11日付の当該組合員及び我が組合の「三六協定締結に関する意見書」を転載する。
昨年の本組合掲示板BLOGの記事「[職場闘争]2022年三六協定締結に向けて、意見・要望を出そう!」に掲載した内容とほぼ同じものもあるが、変更や追記箇所もある。


Ⅰ.時間外労働・休日労働全般について

1. 前回の「三六協定締結に関する意見書」(2021年11月17日付)でも記したことであるが、三六協定は法定労働時間を超えて働かせるための使用者の免罰的効力のための労使協定であり、労働者が締結を拒否すれば使用者は時間外労働・休日労働を命じることができない。よって、時間外労働・休日労働を行わせようとするならば、法定労働時間を超えて労働しなければならないこと、さらに特別条項に記載される特別な事情が時間外労働の上限を超えて必要か否かを判断できるよう、職員に現状の時間外労働・休日労働の実績が具体的に示されなければならない。

2. 前項1.と関連して、特定職員への業務過多・業務偏在により、恒常的な超過勤務を余儀なくされたり、ましてや、労働基準法違反である賃金未払残業・超過勤務(所謂、サービス残業)があってはならない。職員の健康維持と安全配慮並びに法令遵守の観点から、なるべく時間外労働・超過勤務・残業が生じないような各担当部署・職員の業務の見直しと適正な労働時間管理、職員と労働組合によるチェック体制の確立、労使による職場風土の改革によって、労働時間の短縮や賃金不払残業・超過勤務の根絶に向けた取り組みを行うべきである(⇒「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針について」平成15年5月23日 基発第0523004号 都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)。

Ⅱ.三六協定届及び特別条項並びに協定書について

1. 現状(2022年における)の特別条項に比して、この度配布された特別条項の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる回数」を減少させたことは、昨年の三六協定締結の際の当組合の意見書やこれに係る団体交渉での協議を反映させたものとして評価できるが、今後の業務の見通しを含めて、やむなく特別条項を含めて三六協定を締結しなければならないとしても、三六協定届の「時間外労働をさせる必要のある具体的事由」と然程違いのない事項は省くべきである。
「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」などの理由から、恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められていない(⇒「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」平成30年9月7日 厚生労働省告示第323号)。

2. 特別条項にある月45時間を超え60時間以内の時間外労働の割増賃金率は、最低基準である25%を超えてはいるものの、使用者にはこれを引き上げるよう努力義務が求められている(⇒平成21年5月29日 厚生労働省告示第316号)。
よって、「限度時間を超えた労働に係る割増賃金率」は月45時間を超え60時間以内の割増賃金率を、現行の30%から35%に引き上げることを要求する。これに伴い、協定書の第3条の「1年に420時間まで延長することができる。1ヶ月45時間を超えた場合または1年360時間を超えた場合の割増賃金率は30%とする」も「1年に420時間まで延長することができる。1ヶ月45時間を超えた場合または1年360時間を超えた場合の割増賃金率は35%とする」に変更することを要求する(⇒厚生労働省労働基準局監督課「モデル就業規則」令和3年4月版)。

3. 改正労働基準法の趣旨に則り、特別条項の「限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保するための措置」に、⑥のほか、④代償休日・特別な休暇の付与を加えることを要求する。併せて、就業規則第10条に「職員の勤務状況及び健康状態に応じ、その健康・福祉を確保するために、その都度必要と認める期間」等の規定を加えることを要求する。

4. 長時間労働を恒常的に発生させないためにも、協定書には任意の条項として、
「協定の有効期間中であっても、協会が本協定に違背した場合、労働者代表の破棄通告により本協定は失効する。」
を加えることを要求する。これは、労使協定の労働者側からの一方的な破棄通告ではなく、使用者側が協定内容に違背した場合を想定した付加条項である。また、
「本協定について変更が必要となった場合や疑義が生じた場合は、協会と被用者双方で協議を行い、協会は速やかに改善に努めるものとする。」
「協会は時間外労働並びに休日労働について、不断に削減の努力義務を負う。」
を加えることを要求する。

Ⅲ.労使協定等に係る労働者代表選出の在り方について

1. これまでも当該組合員及び当組合が指摘し、又、団体交渉で議題として協議を重ね、当該組合員からも詳細な労働者代表の選出方法を提案してきたところだが、労使協定締結における労働者代表選出は、労働者過半数代表になった者・なろうとした者への不利益取扱いの禁止事項(⇒労働基準法施行規則第6条の2 第3項)もあることから、使用者からの干渉が行われないよう、労働者個々人の自由意志が保障される代表選出方法でなければならない。
管理監督する立場にある者が労働者代表選出の議事進行を取り仕切ったり、関与したり、その場に立ち会うような挙手による選出は、選出過程における同調圧力や私交上の影響を排除できず、公平公正さを欠くため、労働者代表の選出は無記名の投票と投票の秘密が保持される秘密選挙が望ましい方法であることは論を俟たない。これは公職選挙等における投票の秘密(⇒日本国憲法 第15条 第4項)と同様、労使対等原則の下に締結しなければならない労使協定の場合でも、個々の労働者が各々の自由意志によって一票を投じるための選挙制度の基本原則であり、民主的で開かれた良好な職場環境の構築にとって枢要となるものである。
2016年に協会において初めて労働者代表選出が行われた際に、挙手による代表選出方法が採用されたのは、偶々当時の協会顧問弁護士の助言によるものに過ぎない。法令には挙手も例示されてはいるものの、投票も同様に例示されていることから、従前からの慣行に拘泥せず、より望ましい方法に改善すべきである。実務的な面からも、一定期間の時間的猶予を設け、労働者代表の立候補者を募り、その立候補の主旨や主張を周知させ、投票により労働者代表を選出する方法は、業務多忙の中で全職員が一堂に会することによって職員が物理的に拘束される挙手による選出方法の欠点も解消することができる。
労使による選挙管理委員会を設置し、投票の秘密が保障される労働者代表選出を行うために、業務多忙かつ限られた時間の中で、拙速に選出方法を職員に丸投げして判断させ、それで事足れりとするのではなく、使用者も必要な配慮と体制を整備すること(⇒「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成30年厚生労働省令第112号)による改正後の労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)」)を改めて要求する。

2. 以上により、今般及び今後行われる労使協定締結等に際し、当該組合員が貴会に提案した2020年9月9日付「公正・公平で民主的な労働者代表選出の投票方式の提案書」を再度添付するので、労働者代表選出方法を再検討いただきたい。使用者の意向に基づかず、集団凝集性の影響、集団規範による無意識の集団圧力の心理的影響のリスクを排した、民主的な方法による労働者代表の選出に向けて、使用者側が講ずべき環境整備を行う様、投票方式の労働者代表選出を実施することを要求する。


当該組合員もかつては散々“サービス残業”や“風呂敷残業”をやってきたし、他の職員もそうだった。しかし、業務過多・業務偏在を一職員に押し付けて、職員のワーク・ライフ・バランスを破壊し、健康を害する様なことがあってはならい。こういう事態が常態化するのは管理職の怠慢以外の何物でもないのだ。

協会事務局職員諸君! みなさんの意見・要望を協会に伝えよう!

…The end

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