part 1で少し触れた三六協定締結提案について、「提案書」の原稿棒読みでそもそも三六協定とは何か?なぜ、締結しなければならないのかについての前提をも説明せず、この違法残業実態が我が組合からの指摘によって明らかになったことは一言もなく、「顧問弁護士からのご指摘により」と平気で嘘をついているのには唖然とした。11・8協会前情宣行動でビラを撒かれているにもかかわらず、これまでの組合との団体交渉での経緯などなかったかのように取り繕う協会の姿勢は、見苦しいの一言に尽きる。
嗤える事態であったが、あまり揉めるつもりはなかったので、もう少し労働基準法第36条についてと労働者の過半数代表(労基則6条の2)選出の目的と具体的方法について、出席している職員に丁寧に説明しないと(我が組合のビラやブログを読んでいない者には)よく理解できないのでは?と大前提の質問をしようとしたところ、O常任理事からは語気を強めて「ちょっと、最後まで!」とか「今、日程の話をしているんです!」などと制止させられる始末。組合員には余計なことは言わせない、とにかく職員の理解を得るよりも誰かを過半数代表にして協定締結のハンコを押させたい、という労使で協議し協定書をもって合意するという本来の労使協定とは無縁な、単に手続きを早く終わらせたいという意図が見え見えだ。
協会側によると、12月12日(月)に協定案を職員に提示、意見があったら14日(水)までに書面で事務局長に提出、16日(金)10:00から労働者代表を選出するとのことだが、ちょっと待てよ。これはスタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合(ス労自主)のTさんにも指摘を受けたことだが、本来ならば労働者代表と使用者側が協議して協定書を作成するのであって、職員に案を提示して、意見があったら言え、しかしそれが反映されるかどうかはわからない、出来上がった協定書に署名捺印せよ、というのでは労使協定の本質を履き違えている。
過半数代表選出にあたっての説明にも怪しいところがあったので、過半数代表として選出される者の資格については団交時にも指摘していたから(例えば、労基法41条2項に該当しないものなど)はわかっていたようだが、知らないかもしれないと思い質問したら、やっぱり知らなかったのが、労働者の過半数代表を選出する分母となる労働者の範囲(労基法9条)である。三六協定においては労働基準法上明確な規定がないので、当時の労働省労働基準局長が疑義に応えて発する通達(昭和46年1月18日 45基収第6206号)によって、下記のような行政解釈がされている。
問一 疑義事項
法第36条第1項の規定でいう「当該事業場の労働者の過半数」について、次のような者を「労働者」のなかに包含して差し支えないか。
(一) 法第41条第2号の規定に該当する者
例えば、管理職手当又は役付手当等の支給を受け、時間外等の割賃金が支給されない者であって、労働組合との関係においては、非組合員として扱われている者。
(略)
二 当局の見解
前記一の(一)について
法第36条では、「労働者」について特段の規定がないうえ、労働基準法の他の規定、すなわち、第18条、第24条、第39条、第90条においても同一の表現が用いられており、第36条に限って、労働者の範囲を制限的に解する理由はなく、また、他の場合に法第41条第2号の規定に該当する者を除外する合理的な理由がないこと、法第36条の「労働者」から法律上あるいは事実上時間外労働又は休日労働がありえない者(例えば、年少者、女子等)を除外することは明文に照して無理があること等を考慮すると、法第9条の定義によるべきが妥当と考えられる。
(略)
答 労働基準法第36条の協定は、当該事業場において法律上又は事実上時間外労働又は休日労働の対象となる労働者の過半数の意思を問うためのものではなく、同法第19条、 第24条、第39条及び第90条におけると同様当該事業場に使用されているすべての労働者の過半数の意思を問うためのものであり、設問の(一)、(二)とも貴見のとおりである。
よって、協定内容にかかわらず、文字どおり臨時職員や管理職含む全労働者となる。後で組合から「無効だ!」と抗議されないように、協会顧問弁護士もちゃんと教えてあげなさいよ。
ある知的障害者施設の労働者代表の選出方法では、選挙管理委員会規程を労使協議の上、所轄の労働基準監督署にも相談し作成したとのお話も伺ったことがある。中途半端な知識のままやっつけ仕事をされてはたまらない。
「わからない」「知らない」なら、労基署に相談するか(違法残業させているので無理か? 笑)、組合から投下された問題なので組合側に相談すればいいものを、そういうことは絶対にしないのが彼ららしいところだ。専門的知識を持っている者に、自分よりも優位に立たれたくないと意地を張って、迂遠な仕事をするのはこれに限ったことではない。この三六協定の提案説明の最後にO常任理事が「事務局の体制が不十分で会員の皆様に迷惑がかからないように臨んでいきたいと思います」おっしゃっていたが、その通り。こんな卑小な態度が協会に不利益をもたらしていないか、よく考えていただきたいものだ。
さて、我が組合からの指摘にもかかわらず、そのことを職員に告げもしないとは、これまでのデタラメな労務管理、そして末吉事務局長の当該組合員への逆ギレ暴行・暴言事件(本人は「感情的になっていたので憶えていない」とのことだが)も含めて、協会が何も反省していないことは明らかであり、また、労働基本権である労働者の団結権侵害は看過できないので、協会に12月6日付で「三六協定締結手続きに係る貴協会の対応への要求及び抗議書」として抗議文を送付。
まともな対応を見せることは期待できないが、真摯に健全な労使関係を築いていきたいと思うなら、拙速な労使協定締結は慎み、組合や職員と十分な対話と協議の上で進めるべきである。■
…The end
「ある知的障害者施設」の日の出福祉園です。日の出福祉園では、労基署のパンフレットに載ってもいいくらいの模範的ま労働者代表選出を毎年行っています。
日本知的障害者福祉協会さんにしっかり理解して欲しいのは、ディーセントワークとはこういう地道な作業の積み重ねだという事です。
ゆにおん同愛会 林武文
仰る通りです。協会事務局の問題は構造的な問題なので、役員も事務局員も大きな意識改革が必要です。
事務局の管理職の立場にある者が、あいつは権利ばかり主張して、義務を果たさないなどと平気で口にするようでは、協会の未来は暗いですね。