[集会報告]3・25白梅争議勝利集会報告〜連帯白梅分会の闘いの軌跡〜

2017年3月25日(土)、台東区民会館で全労連・全国一般東京地本主催「白梅争議勝利報告&昭和ゴムの闘いに連帯する ’17春闘勝利交流のつどい」が開催された。各職場での春闘報告と併せ、約100名の参加者が勝利の美酒に酔いしれ、白梅争議の勝利和解を祝った。
就労継続支援B型事業所・知的障害者の作業所である「白梅福祉作業所」を運営する特定非営利活動法人せたがや白梅(東京都世田谷区)において労働組合員に対する不当解雇・雇い止め・不当労働行為・ハラスメントなどが行われていることを元全日本育成会職員のO氏やM氏から聞き、経営側と闘っている全労連・全国一般東京地本・連帯白梅分会(以下、白梅分会と略)の組合員の方々と昨年から情報交換を行ってきた。
NPOせたがや白梅で起こった労働争議は以下のような経過であった。

白梅福祉作業所のU施設長による補助金の“過誤”請求指示を、職員で社会福祉士のK氏が拒否・批判したところ、U施設長がK氏に対して、職場の問題等のでっち上げの理由をつけて執拗に非難し、K氏は心身共に疲弊し休職を余儀なくされた。U施設長はK氏の復職後もその資格やこれまでの利用者支援の実績をも無視し、単純労働や雑務をさせるなど仕事外し・パワーハラスメントを行った。
このようなU施設長の職場の専横な私物化に対して、「仲間を助けたい、みんなで職場を風通しの良い働きやすい場所にしたい」との切実な思いから職員有志は2014年9月に労働組合を結成。組合結成直後からU施設長は露骨な組合敵視を行い、同年11月には、組合員でお菓子工房で製品の品質向上に寄与してきたパティシエでもあるN氏に対し「残業代詐取」などのでっち上げ理由で、12月には分会長であるM氏に対して「理事長批判を行った」などの理由をつけて不当な雇い止め・不当解雇攻撃を行った。白梅分会はN氏の解雇撤回を求め都労委にあっせん団交を申請したが、法人側は拒否。即東京地裁に労働審判申立を行い、2015年2月には、2回目で解雇無効の勝利判決を勝ち取った。また、分会長のM氏は2015年1月に東京地裁に解雇撤回を求め提訴。しかし、労働審判で解雇無効判決が出され、また地裁で係争中にもかかわらず、2月に法人側は再びの解雇通告を強行。その理由は「利用者虐待を行った」*「施設を乗っ取ろうとした」などデタラメなものであった。

因みに、障害福祉施設において「利用者虐待」と称して支援員・職員を解雇・退職勧奨する事例はよく見受けられ、その真偽はかなり怪しいものもある。例えば、市町村(又は都道府県)への通報義務がなされていないなど、使用者側が都合よく障害者虐待防止法の名を借りて首切りを行っているのではないかと思われる。これについては、いずれ事例を集めて調査してみたいと思う。

裁判と並行して、法人側が「解雇問題は団交議題として認めない」と主張し団交を拒否したり、解雇無効・賃金未払いの仮処分決定が下されたにもかかわらず職場復帰させないなどの不誠実団交、組合員への不利益取扱い、また、他の組合員への処分攻撃などから、白梅分会は2015年10月に都労委に不当労働行為救済命令の申立を行い、2016年8月2日付で団交拒否が不当労働行為に当たるとしてポスト・ノーティスの命令書が法人に対し交付された。
数度にわたる解雇攻撃に対し、M氏とN氏は「出勤闘争」で対抗、組合員の団結力もさらに強化された(素晴らしい!)。
その後、N氏も闘いの場を東京地裁に移し、M氏とともに解雇撤回・地位確認請求を闘う。2016年2月に人証調べが行われ、N氏の職場復帰とM氏の合意退職の和解協議となったが、6月に法人側が和解案を拒否。そして、8月9日に東京地裁で白梅分会側の完全勝利判決が下された。この日は(本ブログの)当該も地裁傍聴に訪れ、みんなと勝利を喜びあった。

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2016年8月9日、勝利判決を勝ち取る! 東京地裁前にて

その後、法人側は控訴したが、代理人弁護士を替え、2017年1月に東京高裁で当初の和解案を上回る内容で和解が成立、2月には中労委の和解勧告書を双方が受け入れ、白梅分会の全面勝利和解となった。
この経過については白梅分会の弁護人である平井哲史弁護士(東京法律事務所)のブログに詳しい。

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厚かましくも壇上でお祝いの挨拶をする(本ブログの)当該

このように当然といえば当然の、「正義は必ず勝つ」内容ではあるが、やはり、連帯白梅分会の組合員の団結と障害福祉にかけるPassionとMissionがなければ、もたらされなかった結果だろう。誰もが誇りを持って働ける職場、誰もが安心して働ける職場、そして、障害のある人たちに対する支援が最大限に発揮される職場にするためには、それを指を咥えて待っていても天から降ってくるものではない。自らの労働者の権利や人権をも主張できず、蔑ろにしてしまっていて、果たして本当に他者の人権と権利を擁護することができるのであろうか。白梅分会の闘いはそれを私たち障害福祉に携わる者に教えてくれる、勇気ある人たちの闘いの軌跡である。
勝利和解を勝ち取ったとはいえ、この争議の元凶であるU施設長の障害福祉サービス事業所・職場の私物化や専制支配は解決をみせていない。残された白梅分会の組合員、職員の方々の闘いはこれからも続いていくだろう。私にできることは限られてはいるが、引き続き情報交換を行い、連帯・共闘関係を築いていきたいと思う。
それにしても、有資格者で知識を持った職員を煙たがる、どうでもいいような瑣末な理由で退職に追い込む、組合嫌悪・組合敵視に汲々とする、理事長を抱き込んで自己保身を図る、うるさい人間(正当な権利を主張する者)をいじめて仕事干しをする…等々、どこぞの公益財団法人である知的障害福祉の全国団体の事務局もやってることが似ているなぁ…。- -#

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フルートを演奏する分会長のM氏に合わせて歌をうたう白梅分会のみなさん

さて、これまでの何度か職場闘争報告・討議、東京地裁で交流の機会はあったものの、分会長のM氏のご趣味がフルートだとは知らなかった。ご愛用のフルートは、Muramatsu GX・リングキー・C管。おお、なんと渋い笛!
この集会の壇上で、Diana Rossの“If we hold on together”を演奏された。そしてアンコールにも応えて1曲を披露。闘争勝利とともに、朗々と会場に響き渡るその美しい音色に心が震えた。さすが、闘う労働者はこうでなくては!
私もいつの日かM氏を見習って、勝利集会で自分のフルート演奏をご支援いただいたみなさんに披露してみたいものだ。職場闘争とフルートレッスン(?)、勝利に向けて団結ガンバロウ!(笑)

…The end

[集会報告]3・25白梅争議勝利集会報告〜連帯白梅分会の闘いの軌跡〜」への2件のフィードバック

  1. 野村克弥

    なかなか華やかな集まりですね。組合というと、もっと地味な会合を想像しますが。
    この白梅作業所、知的障害者のところですか。福祉協会さんも知的障害関連ですよね。昨年の障害者大量殺傷事件が起こったやまゆり園も同じ。知的障害者の施設での虐待事件も、よく報じられています。どうなっているのでしょうか。そこで働く職員の皆さんには、頑張ってもらいたいものです。

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    1. jaidunion

      華やかな集会でした。いろいろな産業で働く人たちの職場の闘いの報告もあり、有意義で楽しい時間でした。
      障害のある人と家族、支援者、働く人たちすべての権利、decent workとdecent lifeが保障され、その思想がみんなで共有されてこそ共生社会への歩を進めると思います。

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