前回取り上げた就業規則改定案に引き続き、細則である育児・介護休業等規則改定案はさらに大きな問題を抱える変更が加えられている。法改正による育児・介護休業や子の看護休暇、介護休暇の弾力的な運用は法に準じた最低基準を満たすもので、概ね妥当な変更であるが、ハラスメント防止措置を読んで驚いた。なんと、ハラスメント防止責任者を事務局長にし、窓口担当者を課長代理にしているのだ!
本組合掲示板(本ブログ)の記事を読んでいただいている方ならご存知の通り、現在、我が組合が主要議題として追及しているのは、2013年4月の末吉事務局長(当時は事務局次長)の当該組合員への暴行暴言・パワーハラスメント事件である(本人は感情的になっていて覚えていないとのこと)。しかし、この出来事に対して当事者であり事務局責任者である末吉は協議に応じようともせず、2016年7月20日の第3回団交から逃亡、居直りを決め込んでいる。そして、末吉事務局長の代わりに、のこのこと団交に“書記”として出席しているのが課長代理連中である。その中でもかつて不当労働行為(労組法7条1)発言を平気で行い、組合敵視著しい水内事業課課長代理もその窓口担当者に含まれるとはどういうことか?
以下、長文だが、付け加えられた「第10章 育児休業等に関するハラスメントの防止」を全て挙げる。(太字強調は当該による)
(禁止行為)
第17条
すべての職員は、職場内において次の各号に掲げる行為をしてはならない。
1 部下の育児・介護に関する制度や措置の利用等に関し、解雇その他不利益な取扱いを示唆する言動
2 部下又は同僚の育児・介護に関する制度や措置の利用を阻害する言動
3 部下又は同僚の育児・介護に関する制度や措置を利用したことによる嫌がらせ等
4 部下である職員が1〜3の行為を受けている事実を認めながら、これを黙認する上司の行為
(制裁)
第18条
前条の言動を行ったとみられる職員に対しては、就業規則第52条及び第53条に基づき、厳正に対処する。
(相談及び苦情への対応)
第19条
1 育児介護休業等に関するハラスメントの相談及び苦情処理の相談窓口は事務局で設けることとし、その責任者は事務局長とする。窓口担当者は各課課長または課長代理とする。事務局長は担当者に対する必要な研修を行うものとする。
2 育児休業等に関するハラスメントの被害者に限らず、すべての職員は育児介護休業等に関する就業環境を害する言動に関する相談及び苦情を窓口担当者に申し出ることができる。
3 相談窓口担当者は相談者からの事実確認の後、事務局長へ報告する。報告に基づき、事務局長は相談者の人権に配慮した上で、必要に応じて行為者、被害者、上司その他の職員等に事実関係を聴取する。
4 前項の聴取を求められた職員は、正当な理由なくこれを拒むことはできない。
5 事務局長は、問題解決のための措置として、第18条による制裁の他、行為者の異動等被害者の労働条件及び就業環境を改善するために必要な措置を講じる。
6 相談及び苦情への対応に当たっては、関係者のプライバシーは保護されるとともに、相談をしたこと又は事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いは行わない。
(再発防止の義務)
第20条
事務局長は、育児休業等に関するハラスメント事案が生じた時は、周知の再徹底及び研修の実施、事案発生の原因の分析と再発防止等、適切な再発防止策を講じなければならない。
噴飯物である。よくもこんな厚顔無恥な防止措置を加えられたものだ。
暴行暴言・パワーハラスメント事件の当事者で現在事務局責任者の末吉事務局長を団交に出席させず、直接当事者間での話し合いを団交議題とは認めないなどの不誠実団交を行っている協会が「育児介護休業等に関するハラスメントの相談及び苦情処理の相談窓口は事務局で設ける」など、こんな防止措置が機能するわけがない。少なくとも現在の事務局長や課長代理の下では、防止措置どころか、うやむやにされて一層ひどいハラスメントが職場に蔓延しかねない。いや、職員からのハラスメントの訴えを揉み消して、なかったことにするための防止措置(予防策)としては機能するかもしれないが。
何も現在その役職に収まっている事務局長や課長代理たちの資質の問題にとどまるものではない。この規程は改正法の法令にも抵触する構造的な欠陥を抱えているのだ。改正育児・介護休業法(「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)の第52条には下記のように明記されている。
(苦情の自主的解決)
第52条の2 事業主は、第2章から第8章まで、第23条、第23条の2及び第26条に定める事項に関し、労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない。
各ハラスメントは立場や職位の優位性の下に行われるものがほとんどである。それをハラスメントを行う可能性が高い者をハラスメント防止責任者にしたり、窓口担当にしたら実質的に機能しないからこそ、このような職場の職制下とは別の苦情処理機関を定めているのである。改正法の趣旨に従い、第三者機関や労使双方で構成される委員会組織を創設して、各ハラスメントの相談窓口とし、公正な場で解決・裁定されることが望ましいことは言うまでもない。
4月3日の職員会議では本就業規則改定に当たって、社会保険労務士に見てもらい、協会顧問弁護士の指導を受けたらしいが、前回2013年の就業規則改定だって確か社労士に見てもらっているはずだし、作成には現事務局長と現課長代理連中が関わっていたはずだ。これまでの経緯を考えれば、協会顧問弁護士の指導は言わずもがな、労使にとってまともなものができるとは到底思えなかったが、案の定こんな結果だ。
しかも、第6回の団体交渉にも今般の就業規則改定を団交議題として取り上げて、候補日を挙げて開催要求書を送ったが、明確な理由も示されずに拒否られた。これについては再度開催要求書を協会に送付している。
就業規則同様、当該個人名義で以下の様に疑問点や抗議・撤回を求める意見書を提出している。
(育児・介護休業等規則)
1. 第16条 介護のための所定労働時間の短縮措置は法改正により、介護休業とは別に利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能となったため、「2回まで」とせず「2回以上」とするべきである。さらに、改正法にある他の選択措置(フレックスタイム制度の導入など)も検討すべきである。
2. 第10条2・第11条2 子の看護休暇と介護休暇は時間単位で取得できるとあるが、事務局様式7「〔子の看護休暇・介護休暇〕申出書」には半日単位で取得できるとある。時間単位で取得できるとするならば1時間単位で取得できるのか、それとも半日単位で取得できるのか。
3. 第17条 「すべての職員は」とあるので、各号の「部下の」「部下又は同僚の」は不要である。
4. 第19条 相談及び苦情対応は事務局の職制とは関わりのない別の第三者機関または労働者側と使用者側で構成される委員会組織等で行うべきである。各ハラスメントは職制等立場の優位性の下に行われるものがほとんどであり、この条項にいう責任者である事務局長や窓口担当者の課長(代理)は管理職で、事務局組織内で職制上優位な立場にある。現に、現在労働組合から2013年4月1日の事務局調整会議での現事務局長の暴行・パワーハラスメント行為を議題として団体交渉が行われており、事務局長は組合との協議を拒否するなど不誠実な対応を行い、当該問題は解決をみていない。このようなことから、ハラスメントの加害者が事務局長・課長(代理)になることは容易に想像され得るし、相談及び苦情対応を事務局長・課長(代理)が行った場合、公正な対応が行われるとは考え難い。改正男女雇用機会均等法、改正育児・介護休業法における事業主が講ずべきハラスメント防止措置を含め、これでは職場のハラスメント防止措置とはならない。
この他、雇用保険による以外の休業補償について要望もあるのだが、それはさておく。
事務局職員の諸君!基本的人権や労働者の権利を知らなかったり、鈍感であったりする者らにハラスメント防止策を委ねていいのか?
こんなヘンテコな規程を許してはならない。何かあったら、まずは我が組合にご相談ください!
まぁ、それにしても、窃盗団が警備会社をやって誰が信用するかね?! ■
ハラスメント担当者が管理者となっているのはわが法人も同じです。
職員がハラスメントの申立てをしても、その審査が果たして客観性、合理性をもってなされるか、何も担保がない状態です。「申立て事案は審査の結果、ハラスメントとは認められませんでした。」となった場合、その判断に客観性、合理性が担保されていないハラスメント規程自体が法人の社会的評価を下げることになるでしょう。
きちんとした規程を作ることは組織のリスクマネジメントの観点からも重要なはず。これはわが法人の課題として、福祉協会の場合は組合員と協会の間でパワハラ問題をめぐり労使間が対立しており、にもかかわらず一方の当事者である事務局長さんが団体交渉に出席されていません。その客観的事実の上で、事務局長さんをハラスメント相談窓口、責任者とすることは、ハラスメント対策の客観性、合理性を担保する姿勢が認められませんから、日本知的障害者福祉協会の社会的評価を下げることになるのではないでしょうか? ゆにおん同愛会 林
これじゃ、当該組合員を除いて、誰もハラスメント被害なんて申し立てないでしょう。仮に申し立てたとしても、そんなことしたらよりひどいいじめや嫌がらせが待っているんじゃないかな?と協会職員なら誰もが思うでしょう。
となると、後は刑事や民事、労働審判で、ということになって、いきなり訴訟リスクを抱えることになるんですが、協会は保険屋と組んで法人役員損害賠償保険(例えば、セクハラ・パワハラ訴訟対策)を売り出しているので、それで対応しようということかもしれませんね。もしそうだとしたら、それは80余年の歴史を持つ福祉団体がやることでしょうか?
おっしゃるとおりで、一度失ってしまった社会的評価を取り戻すことは容易なことではないでしょう。労使共に自主的に客観的で公正な苦情解決システムを知恵を絞って考えなければなりません。
この記事を書いた後、就業規則変更の再説明会が開かれ、当該の意見書に対する回答書なるものが手渡されました。これが協会管理職の文書作成・管理能力や説明責任、職員の就業環境をどう考えているのかが窺える面白いものなので後で本ブログでご紹介します。