[連載]“ひとり”でも闘う!! 労働者強靭化計画【肉体改造 編】その 2

“ひとり”でも闘う!! 労働者強靭化計画
肉体改造 編その 2

〜連帯労働者組合・大道測量機関紙『愛の讃歌』54号(2017年11月7日発行)から転載〜
前回転載した連帯労働者組合・大道測量機関紙『愛の讃歌』に書いたコラムがなぜか受けが良く、機関紙を手にした読者からお手紙を頂いたり、争議現場で「あのコラム書いた人ですか?」と声をかけられたりと、意外な反響に少々面映い思いをしました。それで調子に乗って今回の駄文を書いた訳ではなく(笑)、単に長かったので2回に分けただけです。という訳で、本ブログに「その2」を一部改変して転載します。一応これが最終回です。


前回からの続きに入る前に、強靭な肉体の基礎作りのお話を少ししよう。
肉体改造には筋力トレーニングはもちろん欠かせないが、もっと大事なものは食事である。どんなに筋トレしても筋肉の素になるたんぱく質を摂取しなければ筋肉増大は望めない。私が筋トレをガンガンやっていた頃は朝から400gの牛肉を食べていたし、お昼には茹でた鳥の胸肉と野菜だけを弁当箱に詰めて行ったし、お茶代わりにプロテインを飲んでいた。
こういうことを職場でもやっていると完全に変人扱いされる。“こいつに下手に注意すると恐い”という空気ができてきて、あまり干渉されなくなるし、孤立に耐える精神鍛錬もできるし、筋肉は増えるしで、 Kill-two-birds-with-one-stone である。

Jumping Side Kick

闘う労働者の必殺技、跳び横蹴り!

さて、入門したITFテコンドー道場では、初っ端からの容赦ない地獄のサーキットトレーニングとストレッチ(股割り)に入門したことを即後悔した。色帯になると今度は、フルコンタクト他流派との試合で相手をKO、病院送りにしてきた猛者たちのパンチやキックが待ち受けており、恐怖のスパーリングに道場に通う足取りのなんと重かったことか。
ITFテコンドーはスパーリングの際に手足に防具を着けるが、防具を着けていても実際やられるとかなり痛い。あざができて腫れるくらいはまだかわいい方で、顎を蹴られて、1週間以上固形物が食べられなくなったこともあったし、道場では鼻を骨折する者や肋骨を折る者、耳に打撃が加えられて鼓膜が破れた者なども目にしている。目にマンガのような青タン作って仕事していたこともあったっけ。フツウのサラリーマンがやることじゃないよなぁ…。ちなみに最近 のITFテコンドーはこんな激しい練習は行わないので、入門希望者もご安心を。しかし、このような過酷な練習のおかげで、30歳を過ぎても身体能力が向上して行ったことは確かだった。

ところで、みなさんは誰かと思い切り殴り合ったり、蹴り合ったりしたことがあるだろうか。『愛の讃歌』当該の戦闘的労働者は別にして、普通の一般市民は殴ったり・殴られたり、蹴ったり・蹴られたりなどしたことはほとんどないのではないだろうか。人を殴ったり人に殴られたり、人を蹴ったり人に蹴られたりするような暴力は、現代社会において禁忌だし、街中でやったら国家権力に怒られるだけじゃ済まない。道場の中でだけ許される非日常的行為である。非日常的行為は、労働者が強いられる職場と寝床の往復という疎外された日常に、痛みは伴うが一時の“生”の輝きを与え、人間性を取り戻させる。そして、鍛え上げられた肉体と対人攻防技術によって、問題解決の最終兵器“リーサル・ウェポン”を自分は持っているんだ!という自信をも与えてくれる。

かつて、私が職場の就業規則のデタラメな変更に抗議したときに、管理職に掴みかかられたことがあった。当時、このことを同じ道場の外国人に話したところ「その上司はよほど stupid に違いない。ITFテコンドー二段のお前に掴みかかってくるなんて!」と笑っていた。最終兵器のボタンをいつでも押すことができると思えば、精神的にも余裕ができるもの。そのうち、お巡りさんがいないところで決着つけてやるか…もちろん非暴力でね!(終)

…The end

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