[職場闘争]不当労働行為救済申立・日本知的障害者福祉協会事件 審問報告【速報】

不当労働行為救済申立・日本知的障害者福祉協会事件 審問が、2019年6月6日(木)9:30から18:00まで、丸一日、東京都労働委員会審問室において行われた。協会側は代理人弁護士の協会顧問弁護士と補佐人である古屋総務課長、三浦政策企画課長。我々組合側は当該組合員の他、東京南部労働者組合・南部地区労働者交流会(ス労自主)の仲間7名と連帯労働者組合・武蔵学園、ゆにおん同愛会全労連全国一般東京地本・連帯白梅分会、JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)、元全日本手をつなぐ育成会の事務局職員で NPO法人せたがやガチャバンともに生きる会の仲間、6名が集まってくれた。

尚、今回の報告は当該組合員の当事者の主尋問と反対尋問、そして、水内事業課課長代理の反対尋問を当該組合員が行い、詳細にメモを取ることが困難だった為に、飽く迄、当該組合員の印象に残った箇所や関連するエピソードを中心とし、詳細な補足的報告記事は後程、都労委から審問調書が出来上がり次第、それを基に再度検証したいと思う。今回は簡単に全体的な流れと当該組合員の個人的感想を速報(短報)として報告したい。

午前中は南部労組の執行委員Aさんの主尋問と反対尋問、そして申立人である当該組合員の主尋問。そして午後からは申立人である当該組合員への反対尋問。そして、協会証人であるO常任理事の主尋問と反対尋問、同じく水内事業課課長代理の主尋問と反対尋問が行われた。

申立人(組合)の証人尋問

南部労組A執行委員への主尋問・反対尋問30分。1回団交から8回団交に出席し、主に進行を担当してもらったので、その事と成り行きは熟知しており、協会答弁書の事実無根な主張とそれを根拠とする恣意的で不当な判断、協会の労働基本権への根本的な無知・無理解と不誠実団交の実態を多角的な視点から突っ込み、これまでの長年の組合活動から堂に入った証言は貫禄を感じさせるものであった。

当該組合員への尋問は主尋問・反対尋問60分。不誠実団交の実態、取り分け、事務局長末吉の201341日の当該組合員への暴行パワーハラスメント行為の真実を詳らかにし、協会によって歪曲捏造された虚証を暴き出した。
この暴行パワハラ事件の真相は、協会がいくら「無かった」と強弁しようが、協会の関係者(現管理職)等の証言は末吉との口裏合わせの虚証と当該組合員への悪印象操作の産物であり、彼らの証言は信用に足るものではないこと【甲44号証】、そして、勇気を持って真実を証言してくれた関係者等から、最早結論は明らかとなっていることを証言した。規程上「ハラスメント防止管理者」でもある事務局長の末吉の団交から逃亡は、不誠実団交であることは言うに及ばず、事務局組織を統括する“事務局長”として在るまじき、職責放棄の恥知らずな行いである。
又、水内事業課課長代理の支配介入・不利益取扱いは、単に職場の“嫌がらせ”や“虐め”に留まらない、職場からの組合員の追い出しを図る悪意を持った攻撃であり、それは彼女だけの問題ではなく、協会の労働者の団結権無視の実態・思惑ゆえの行為に他ならないことを、証拠を基に証言させてもらった。

協会の代理人弁護人からの反対尋問は、あたかも1回団交で“騙し討ち”の様に、組合が末吉の暴行パワハラ行為を議題に挙げた様に言われたが、今後、就業規則の違法な変更を行わせないように、過去の出来事の反省も踏まえて議題に挙げたことであり、1回団交で末吉が素直に非を認めていれば、ここまで拗れる様なことでは無かったし、拗らす気も無かったのである。
又、協会は我が組合掲示板ブログについて、結構気にしている様子で、A執行委員の反対尋問でも、当該組合員の反対尋問でも尋ねられた。いや〜、書き続けている甲斐があったというもんだぜ。(笑)
但し、現場でのビラ撒きだろうがインターネット配信だろうが、組合の情宣行動への不当な介入は許され無いことは言うまでも無い。

被申立人(協会)の証人尋問

ohtaO常任理事への主尋問・反対尋問は其々たったの20分で、審問計画作成時から、こんな短時間で何が証言できるのかと疑問を感じていたが、豈図らんや、O常任理事の陳述書も証言も取り上げる価値の無い、煮ても焼いても喰えない代物であった。それも当然、要となる12団交には彼は出席しておらず、当初の会長ガーの判断にも彼は直接関わっていないのだから。自ずと(末吉からの)伝聞情報と第3回以降の団交で屢々見られた“結論ありき”の“思い込み”でしかなく、団体交渉とは何かについて基本的な理解も欠如しているし、不誠実団交の実態を自ら吐露している様なものであった。しかも、宣誓により行われる審問の場ですら、これまた団交の時と同様に、良く知らないのにテキトーな思いつきの言い訳・嘘をついているのだから、開いた口が塞がらない。

mizuuchi#2水内事業課課長代理への尋問は主尋問・反対尋問(敵性証人への主尋問)60分。お話にならないO常任理事とは違い、当事者ならではの陳述書・証言であったので、なかなかやり甲斐があった。何よりも、見苦しく逃げ隠れする事務局長の末吉とは違い、ちゃんと出て来て証言をしたのは立派である(褒めるべきところは褒める)。しかし、普段とは違い、しをらしい態度で「不良職員を部下にしてしまった為、不本意にもこんなところに呼ばれてしまっています」とばかりにクサい演技で労働委員会にアピールしていたのは、此れ又、なかなかの女優ぶりだ。(笑)

主尋問では明らかになったのは、当該組合員が何の仕事をしているのか何も把握していない(!)とのことで、彼女の言い分だと「何も報告がない」からとのことだが、参加していた南部労組の補佐人組合員からは休憩時間に「管理職が課員の仕事を把握してない組織なんてありえるのか?」と言われてしまった。いや、全くその通りで、「福祉協会ってそんなところなんですよ…」と言わざるを得なかった。恥ずかしい限りである。

反対尋問は当該組合員が行ったのだが、自ずと当事者間での直接対決となり、下手するとただの口論になりかねなかったので、弁護士になったつもりで、なるべく客観的に尋問に徹する様に努めた。
初期に組合対策に関与していた事実2016419日の組合への支配介入言動に関する協会準備書面と水内の陳述書の矛盾、当該組合員のこれまでの実績を無視した不当な評価、それに関わっていた末吉の判断、2017224日の起案文書破棄の不自然な後付けの言い訳等々に尋問が及んだが、時間が押してしまい、予定していた全てを尋問できなかったが残念である。最後の「(当該組合員)の業務遂行上の成果である起案を無断で滅失・破棄したことは、非礼かつ悪意を持って行ったことの表れではないのですか?」との質問には、「業務上の成果?それは事業課として行ったことであって、(当該組合員)個人の成果ではない」との発言には、ついTBSドラマの「半沢直樹」に出て来る「部下の手柄は上司のもの、上司の失敗は部下の責任」というセリフを思い出し、あんたは大和田常務(香川照之)か?! とツッコミを入れたい衝動に駆られたが、尋問者としてここはグッと我慢した。- -#
成る程ねぇ。末吉含め協会管理職が平気で職員個々の成果である“他人の褌”で相撲を取って恥じず、何食わぬ顔で仕事をしている理由はこれだったのね。これでは水内、いや協会管理職の下で働く職員は可哀想だなぁと嘆息すると同時に、人材育成や活用もまともに機能していないことがよ〜く解る証言であった。

審問の進め方を巡って

当初、金井公益委員からA執行委員の主尋問中に、公益委員から時間がまだあるにも拘らず、「再主尋問の時間を考慮して、早目に切り上げてください」と言われたのには、南部労組の補佐人(ス労自主)のT組合員から抗議の声が上がった。その様なことは事前に作成・配布された尋問計画には記されていない。抗議のお陰もあってか、その後の尋問時間は若干延長されたが、抗議すべき時にはちゃんと抗議すべきである。

当事者・証人全員の尋問が終わった後、組合から都労委事務局へ証人採否と審問日程を巡って、何度か抗議申し入れを行っていたが、相変わらず、公益委員は然るべき証人、即ち末吉の証人の採用について、8回調査及び此れ迄の数度の申し入れと同じ回答があり、組合は「Oさんの証言では何も明らかにならない。やはり、末吉事務局長を証人尋問すべきではないか?」との申し入れを再びその場で行い、後日検討してもらうことになった。
審問調書が出来上がった後に、再度調査を行う為に日程調整を行い、次回期日は2019年7月10日(水)13:30からとし、長い審問を終えたのであった。


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審問を終えて、都庁38Fから望む東京の夕景

いやはや、それにしても丸一日、当事者として尋問され、証人尋問するのは疲れた…。
前夜は資料作りや書証類の整理、争点に関わる尋問事項と証言を頭に叩き込む為、1時間程仮眠を取った程度でほぼ徹夜であった。
労働委員会は準司法機関であるのは間違いないが、本来は労働者の団結権擁護を旨とする機関であり、労使間での紛争解決の公正な調整を行わなければならない(労組法19条の2 2)。お金持ちの使用者側は弁護士を雇えるかもしれないが、ビンボーな労働組合・労働者は書面作成から尋問まで自力でやるしかなく、民事裁判の様な「集中証拠調べ」(民訴法182)は知力・体力共に結構キツい。普段の職場の仕事もこなしつつ、空いたプライベートな時間を可能な限り割いて取り組むことが出来たのは(取り敢えず此処迄)、職場の民主化・改善の為の気概がなければできないことだ。その辺の情熱が労働委員会にも伝われば良いのだが。

尚、この日は久しぶりに1日のストライキ通告を行い、審問に臨んだ。

無事に審問をやり抜いたのは偏に、長丁場の審問にも拘らず、御参集くださった仲間のお陰です。最後に改めて感謝申し上げます。又、組合側だけでなく、協会役員の方々にも当該組合員が何を訴え、事務局の何が問題であるのかを聞きに来て欲しいものだ。管理職らの自分達に都合の良い報告ではなくてね。

傍聴支援に駆けつけてくれた仲間、協会事務局職員の為にも、断固として職場闘争を闘い抜くぞ!…という訳で、取り敢えずの報告とします。

…The end

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