2022年4月26日に行われた南部春季統一行動の福祉協会の抗議・情宣において、福祉協会の団体交渉にも度々参加している、南部労組特別執行委員のH氏(三多摩合同労働組合・ゆにおん同愛会)から連帯挨拶を頂いた。
ゆにおん同愛会のBLOG「なんくるブログ」に当日の連帯挨拶の全文が掲載されているので、ここに転載させて頂く。
是非、公益財団法人日本知的障害者福祉協会にはこの連帯挨拶に耳を傾け、障害の有る人とその支援者・福祉労働者のdecent workの実現の為に、そして、social work実践の為に、社会福祉全国団体のその足元から、労働組合の役割と存在意義をよく理解して欲しいものである。
日本知的障害者福祉協会のみなさん、管理職のみなさん、職員のみなさん、おはようございます!私は三多摩合同労働組合ゆにおん同愛会の林といいます。三多摩合同労働組合ゆにおん同愛会から、みなさんに声を大にして訴えたいことがあります。
私の職場は、日本知的障害者福祉協会の会員施設である社会福祉法人同愛会日の出福祉園です。入所部の定員が80名の比較的規模が大きい旧都立施設です。入所部だけでも6つの棟、他に事務、医務、通所部などがあり、福祉協会の機関誌『さぽーと』は部署毎に配布されています。園全体で計8冊を毎月購入しています。お集りのみなさん、これです!この『さぽーと』は私の愛読書です。ゆにおん同愛会のブログにも、この10年間で計59本も書評を掲載してきました。
2011年11月号には厚労省の委託事業を利用してメンタルヘルス対策を行った事業所の記事がありました。日の出福祉園の労働安全衛生委員会でその記事を確認し、私たちもメンタルヘルス対策についてその事業を利用してスーパーバイズを受けたのです。『さぽーと』に記事がなければ、私たちはその事業を知ることはありませんでした。今の日の出福祉園の労働安全衛生活動の基礎を作ったのは、日本知的障害者福祉協会のみなさんのおかげだと言っても過言ではありません。
『さぽーと』には、ビギナー向けの記事がありますが、これも大変有意義なことです。人手不足が続く福祉現場では、資格、経験不問で職員を募集しています。これまでに障害を持つ人に接した経験が全くない人が入職してきます。入職時や入職後にしっかりした研修があればよいのですが、そんな職場ばかりではありません。でも、『さぽーと』を1年間読めば、知的障害福祉に縁遠かった人でもかなりの勉強になります。『さぽーと』には、新人職員、中堅職員、管理職や法人役員など、知的障害福祉にたずさわるあらゆる立場の人にとって、とても読み応えのある書物です。
ところが!ところがですよ。私の愛読する『さぽーと』を発行している日本知的障害者福祉協会が、なんと36協定を結んでいなかったのです。これには本当に驚きました。つい5年前のことです。東京南部労働組合の組合員として、職場の民主化、ハラスメントのない職場環境の実現を求めて闘っているMさんの組合ブログで知りました。日本知的障害者福祉協会って、いったいどんな組織なのか?興味をもった私は、南部労組の福祉協会との団体交渉にオブザーバーとして参加させてもらいました。オブザーバーは観察者ですから自ら発言することはありません。観察してみると、福祉協会側の姿勢は労働組合と誠実に向き合う姿勢にはとても見えませんでした。「いや、それは違うやろ!おかしい!何を言っとるのかこの人たちは!」積み重なるストレスに耐え切れなくなった私は、観察者ではなく組合側として発言したいという思いが強くなりました。そして、南部労組のみなさんに特別執行委員として承認していただき、2021年1月の第12回団体交渉から晴れて組合員として団体交渉に参加しています。
協会の姿勢の根本問題は、管理職のみなさんが労働組合に関する知識と経験がないことが原因だと思えます。しかし、そのような姿勢で社会福祉を語ることができるのでしょうか?いえ、できません!みなさん!障害者権利条約第27条には何と書いてあるでしょうか?
第27条 労働及び雇用
1 締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認める。…締約国は、特に次のことのための適当な措置(立法によるものを含む。)をとることにより、労働についての障害者(雇用の過程で障害を有することとなった者を含む。)の権利が実現されることを保障し、及び促進する。
(C)障害者が他の者との平等を基礎として労働及び労働組合についての権利を行使することができることを確保すること。
「労働組合についての権利を行使することができることを確保する」ですよ。でも、支援者に労働組合の知識も経験もなければ、どうやってそれを確保するんでしょうか?労働組合についての権利を行使したことがない人が、障害者がその権利を行使するためにどんな支援ができるのでしょうか?権利行使しない人が権利行使を保障なんて、まるで、投票に行かない人が選挙権の大切さを語るのと同じではありませんか!
日本知的障害者福祉協会が社会福祉を語る団体である以上、労働組合をネグレクトして良いはずがありません。福祉協会の職員のみなさん!みなさんの職場には労働組合があるのです。組合員は労働基本権を行使して、みんなが働きやすい職場づくりのために、粘り強く活動しています。福祉協会の労働組合はいったい何を問題にしているのか?自分は問題にどう関わるのか?管理職も一般職員も、社会福祉にたずさわる者として、しっかり労働組合に向き合ってほしいのです。
福祉協会では、今年からは2人の職員が社会福祉士資格を取得したとのことです。働きながらの資格取得は並々ならぬ意思と努力の賜物であって、誰にでもできることではありません。そして、大変な努力で資格を取得した一人は組合員のMさんです。社会福祉士の倫理綱領には、「すべての人々を、出自、人種、民族、国籍、性別、性自認、性的指向、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況などの違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する」こと、「すべての人々を生まれながらにして侵すことのできない権利を有する存在であることを認識し、いかなる理由によってもその権利の抑圧・侵害・略奪を容認しない」こと、「差別、貧困、抑圧、排除、無関心、暴力、環境破壊などの無い、自由、平等、共生に基づく社会正義の実現をめざす」ことが記されています。これはまさに労働組合の活動そのものと言えます。労働組合はこのような社会を作るために、職場や社会で労働者に対する権利侵害と闘っているのです。
日本知的障害者福祉協会で働くみなさん!繰り返します!みなさんが社会福祉にたずさわる者として労働組合に正面から向き合うことを心より願っています。日本の知的障害福祉団体のオピニオンリーダーとして、日本社会だけでなく国際的にも胸を張れるような団体になってほしい!このことを強く訴えて、三多摩合同労働組合ゆにおん同愛会からのアピールとさせてもらいます。ご清聴ありがとうございました。■
…The end
† 転載元:三多摩合同労働組合・ゆにおん同愛会 なんくるブログ「南部春季統一行動 三合労ゆにおん同愛会分会連帯アピール」†