[職場闘争]不当労働行為救済申立・日本知的障害者福祉協会事件 第12回調査報告 & 第13回調査告知

不当労働行為救済申立・日本知的障害者福祉協会事件 第12回調査が、2019年9月30日(月)15:00から東京都労働委員会審問室において行われた。協会側は協会顧問弁護士とO常任理事、古屋総務課長、三浦政策企画課長。我々組合側は当該組合員の他、南部労組の仲間4名が集まってくれた。
前回の第11回調査報告では、“おそらく次回で労組法7条1号不利益取扱い」と3号「支配介入」の件は和解になるか決裂となるかが決するだろう”と記したが、結論から言うと、再び今回も和解調整で終わってしまった。特段、進展がなかったため、何をどう書こうか?と悩んで、1ヶ月も報告記事が遅れてしまった。

当日は、2019年9月26日付で、事前に都労委(労働者委員)に提出した我が組合の「30不15 日本知的障害者福祉協会事件 第11回調査(2019/8/27) 都労委-和解文言案への組合修正案」(以下、「組合修正案」と略)を提出したが、一方、協会側は前回都労委から示された「和解文言(8/7案)」に対して、修正意見等を提示していない様で、組合修正案を基に労働委員会三者委員が協会含めて協議を行なっていた模様。前回同様、我々組合は長時間、労側控室で待機となった。

当初の和解への条件に、我々組合は、2019年7月29日付「都労委平成30年(不)第15号事件に係る申立人の和解条件について(3)」において、

「③和解協定は公開とする(第三者非開示としない)こと。」

としていることから、「第三者非開示」「口外禁止」条項等が入った場合は、それをもって和解するなど、到底考えられないことだ。よって、和解の本質的な部分について、これまでも都労委闘争の経緯・経過を報告していることもあり、ここで公開しても差し支えないと考えるので、2019年9月26日付「組合修正案」を以下に転載し*、当日示された都労委提案(後述)も一緒に明らかにしよう。

1.協会は、平成29年2月24日、水内課長代理が、xx組合員(以下「xx組合員」という。)が作成した起案文書に代えて、起案文書を作成し直して決裁を受けたことにつき、担当者であるxx組合員に伝わらなかったことについて、適切ではなかったことを認める。

2.協会は、組合に対し、平成28年4月19日の水内事業課課長代理(以下「水内課長代理」という。)のxx係長(当時)に対する言動により、組合をして本件申立てにつながる疑念を抱かせたことにつき遺憾の意を表明し、今後、このようなことのないよう留意する。

3.組合と協会とは、今後、適正な労働環境の確保及び円滑な業務遂行実現に向けて、真摯に協議を重ねることを、相互に確認し誓約する。後者について、組合と協会とは、事業課の業務指示伝達と各職員の上席への報告・連絡・相談の改善に留意する。

* 付番し、一部伏字。打ち消し線赤字は組合修正箇所。

我々組合が待機している労側控室に、久保労働者委員から三者委員での話し合いの結果を伝えてもらった。どうやら、協会は、2.にある「遺憾の意の表明」は受け入れがたいということだった。協会が誤りを認めず、開き直りを崩さない官僚的な態度に固執しているのも呆れるが、何としてでも和解させたい労働委員会三者委員は実にアクロバティックな…というか、よくそんなことを思い付くなぁ…と或る意味感心する提案を示して来た。それは、

「担当三者委員は、本件期日において、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■した。」

という文言を、和解協定書には記載しないものの、本事件調査調書に記すというものであった。

(2019.11.9追記)投稿時(2019.11.1)は、2019年11月7日(木)に行われた第13回調査で、ほぼ和解決裂が確定するものと思っていたので、それを前提に全文公開していたのだが、もう一度和解調査が入ることになり、公開範囲を含めて継続協議となったため、主要な箇所は伏字とした。

「謝罪」は協会としても受け入れ難いだろうから、「遺憾」という言葉に置き換えて提案したのは、我々組合なのだが(都労委第3回調査記事参照)、そもそも「遺憾」という言葉は何とも“曖昧”な言葉ではある。政治家に「お詫び」的な文脈でよく使われるが、本来は「心残り」「残念」の文語表現で、謝罪や反省という意味合いはなく、せいぜい、結果としてそういう事態に至り「残念」な気持ちで一杯だという程度だ。
協会は謝罪や反省どころか、「残念な事態」であったことも示せないのは、無反省の極みだが、悪あがきで、頑として自らの失態を認めようとはしないものの、調査・審問から水内事業課課長代理の組合への支配介入の実態の主張は理解できるということが、労働委員会として判断したと解せるものではあり、“なんちゃって”救済命令“っぽい”内容であった。
当該組合員である私は「変な文章だけど、これはこれで面白いかも…(笑)」と思ったが、第三者が読んでこの意味するところを理解できるかというと、とても変な文言であったため、他の組合員の意見は「このままじゃマズイだろう」等、様々だった。

暫くして、労使双方審問室に呼ばれ、協会は、上述組合修正案の 1.の「伝わらなかった」を「伝えなかった」への変更を受け入れるか否か? 2.の「遺憾の意の表明」を文言に入れずに、労働委員会の判断を調査調書に残すことを認めるか否か? 3.の協会が文言として入れたがっている「後者について、組合と協会とは、事業課の業務指示伝達と各職員の上席への報告・連絡・相談の改善に留意する」を残すか、文言の言い換えも含めて、組合で受け入れるかどうか、を検討するということとなった。
不安なのは、和解文言に入らない上述の労働委員会の見解の公開範囲をどう考えているのかということだった。当該は「第三者非開示・口外禁止条項を受け入れないことは、和解条件として当初からこちらが言っていることなので、組合情宣ビラやインターネット配信において、その経緯・経過の公開を妨げないということでよろしいですか」と念押しした。

ついでに、労働委員会三者委員には、前回の当該組合員への業務連絡からの排除とその後の協会事務局の相変わらずの実態、それを鑑みるに「事業課の業務指示伝達と各職員の上席への報告・連絡・相談の改善に留意する」等という文言など、実態にそぐわず、和解文言として相応しくないばかりか、協会の今だ無反省な態度そのものを増長させることにしかならないこと。そして、組合の言論活動への敵対的行為、つまり、こちらの記事の件でやり合っていること伝え、協会の組合嫌悪・組合敵視姿勢は全く改まっていないことを訴えた。
本事件の不当労働行為性は本より、本事件とは本質的に異なる職場のコミュニケーション改善云々についても、協会の和解への本気度はかなり疑わしいことは言うまでもない。

終了後、控室に来ていただいた久保労働者委員の話では、協会は本組合掲示板ブログでの情報発信に神経質になっているということ。そうだろうねぇ。影響力があることは願ったり叶ったりだ。敵対を跳ね除けつつ、当該は決して文章書きは得意ではないのだが、それでも頑張ってやっている甲斐があるというもんだぜ。

次回、第13回調査は、11月7日(木)10:30から。
この時は『さぽーと』2019年11月号の進行の見通しが立っていなかったから、この日になったが、現在の進行状況では、当日は『さぽーと』2019年11月号の色校正・製版プルーフ(所謂「青焼き」校正)の最終チェックになってしまった。しょうがない。事務局ベテラン編集者Iさんにお任せするしかない。

shinjuku20190930

新宿秋望 2019.9.30

“お互い歩み寄る”ことが和解協議の前提だが、事実でないことで和解することはできないし、労働組合として引くことのできない一線はある。さて、どうなることやら…。

…The end

コメントを残す