[職場闘争]続・第16回団交報告〜綻びを見せた“警察や病院に行かなかったから暴行・パワハラは無かった”という協会の主張〜

前回、要点だけを記した第16回団交報告記事をUPしたが、ちょっと面白い遣り取りがあったので、団交記録から抜き出してみたい。

それは、我が組合が実効性のあるハラスメント防止規定にするには、第三者による調査・判定の為の委員会等を設置せよという要求の中で触れた、協会がこれまで団交や労働委員会で主張してきた、2013年の末吉事務局次長(当時)の当該組合員への暴行・パワハラについて、当該組合員が“暴行を受けたと主張しているが、警察や病院に行かなかったから暴行・パワハラは無かった”という珍論奇説に関してである。

遣り取りはこんな感じ。


(当該組合員) 私の過去のハラスメント問題もまだ未解決なもんですからね。協会の理由としては病院とか警察に行かなかったからハラスメントじゃないみたいなことを言ってる様ですけれども。
(南部労組A) 調査をして、その回答が、ハラスメントがなかったという評価だったんですよ。その理由はと言ったら、警察とか病院に行かなかった、ということで、私たちとしては呆れ返った回答だったんですが。
(当該組合員) なので、そう主張したいのなら、なんで今回この職場におけるハラスメント防止規定に警察や病院に行かなかければハラスメントとして認定しないという文言が入らなかったのかが非常に不思議だなと思うところなんですけどね。
(協会顧問弁護士) そこだけを取られている……あくまでもこちらでも聞き取り調査を行なった上で評価、そういった判断をさせていただいたっていうところなので*、別に警察とか病院に行かなかったからという理由では…。

* これは、こちらの記事にある以下の証言からのことである。
証言者A「当時、本当に暴行が行われたのであれば、警察に被害届を出すとか、病院で診断書をとるなどの対応をなぜ直ぐしなかったのか、数年経った後になぜこのような被害を訴えてくるのか疑問に感じている。」

(当該組合員) でも、そういう理由だったじゃないですか。
(協会顧問弁護士) 主張としてはですね。
(当該組合員) 労働委員会に出された書面の中にも。
(協会顧問弁護士) 主張書面ではそうなってしまいますけど、実態としてはこちらでもやらせていただいた案件を踏まえてということなので。
(南部労組A) だから、それはアンケートの結果にも、実際、ハラスメントがあったっていう様に言ってる方もいらっしゃったので**。それはそれでそちらがそういう風に判断したということであって、納得している訳ではないよね。

** これは、こちらの記事にある以下の証言のことである。
証言者Cxx氏(当該註:当該組合員のこと)が「失礼だ。」と発言した直後、その発言に対し末吉氏が声を荒げてxx氏に近づき、手を肩にかけたように思う。近くにいた職員がxx氏と末吉氏の間に半身を入れるような体勢で入ったが二人の距離はなかなか離れなかった。そのときの様子は、末吉氏が胸を張った姿勢で上方から睨みながら顎をしゃくり上げたり引いたりしており、相手を威嚇する態度をしていた。また、その態度とともにxx氏に対し、非難するような言葉をかけていたように記憶している。その後、緊迫した雰囲気から若干落ち着いた状態になったが、末吉氏のその後のxx氏に対する発言は、集まった職員を意識した上で、非難するような内容であったと思う。」

(協会顧問弁護士) そこは……。
(南部労組A) だから、そういうことが起こってしまうってことですよ。第三者機関を通さない場合にね。
(南部労組特別執行委員H) ハラスメントを根本的にどういう風に考えてるかって認識、基本的な認識に関わる問題だと思うんですね。今日(2022年9月9日)、ウクライナの人がアカギヘリコプターでパワハラを受けたっていって提訴したニュースに流れましたよね。顔を出して記者会見されてましたよ。彼女は警察に刑事告発した訳でも何でもないですよね。警察に相談した訳でもない。だけど、ハラスメントということで提訴している訳ですよ。ハラスメント受けた人たちはみんな警察に相談したり刑事告発したりする訳ではありませんので、そういうことを言ってくるっていうことは基本的なハラスメントに対する認識がおかしいと思いますので、それは撤回なさった方がいいと思いますけどね。根本的な認識に関わる問題だと思いますよ。
(協会顧問弁護士) あれは主張上の書面で一事情として挙げたことですので、それがなかったから必ずしもパワハラがなかったという風に認識しているわけではなく…。
(南部労組A) いや、でも、根拠に挙げたわけですから、それは。しっかり理由の文書で書かれてるので、判断基準として判断の理由としてね。
(南部労組特別執行委員H) 今日のウクライナの女性にも「あなた警察に相談してないじゃないか」って言えないじゃないですか。
(南部労組A) だから、それがなかなかできないのがハラスメントの実態になってるんですよね。それで泣き寝入りをしてしまう。
(当該組合員) この問題をやり始めるとキリがないし、一旦出した主張を引っ込めるっていうのは多分、嫌でしょうから、後でまたそれはやりますけれども、厚労省の平成28年度の職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書でパワハラ受けた被害者、パワハラされた後どうしたのか?40.9%は何もしてないんです。できないんです。警察に行くとか、病院に行くとか、そういう対応できないんですよ。だから、そういう世間に受け入れられないような主張は撤回することを考えてください。
(協会顧問弁護士) そこはパワハラの種類にもよると思うんですよ。例えば、ずっと指摘されてきたのは暴行のような刑事事件になり得るようなお話でしたので、こちらも事情の一つとして挙げさせていただいた。
(南部労組A) いや、そんなことじゃないでしょ。そんな水準の暴行じゃない。ただ肩を掴まれたとか、それはちゃんと書面もう一回、見ていただければわかると思いますけど、そんな刑事事件に上がるようなそんな傷害事件として訴えたわけじゃないですね。
(当該組合員) ない。というか、そういうつもりもなかった。
(南部労組A) それはハラスメントというよりも、傷害事件ですよね、そこまでいくと。刑事事件です。
(当該組合員) 訴えたら暴行罪になり得るようなことをしたっていうことな訳であって、警察に行かなかったからそれ暴行じゃないよって話じゃないです。


と、こんな感じで、じゃあ、協会の主張は何だったんだ?ということだ。
末吉の暴行・パワハラ行為を認めたくないばかりに、おかしな理屈を付けてその場を遣り過ごそうとした魂胆はわかるが、いざ、ハラスメント防止規定にそれを盛り込めないのは(当然だが)、無理のある主張であることを自ら暴露したようなものである。

因みに、今までそういう主張をしていたにも拘らず、卑劣にも協会管理職はこの件についてはダンマリであった。

それにしても、今考えても当該組合員も随分と優しい対応だったなぁ…。もっと、ぎゅうぎゅう問い詰めても良かったのだが、それは当事者の末吉が団交に出て来た時のお楽しみとして取っておこう。

…The end

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