2023年11月1日(水)の職員会議(協会では「事務局調整会議」と言っている)で、2024年1月からの時間外・休日労働に関する協定(所謂「三六協定」労基法36条に基づく)案への組合要求の協会からの回答書が職員に配布された。
我が組合が何を要求したのかは、こちらの記事をご覧頂きたいが、結論を言うと、協会は我が組合の全ての要求を撥ね付けたのであった。
誠に遺憾である。
さて、三六協定への組合要求の協会の回答書と一緒に「職場におけるハラスメントの防⽌に関する規定」の変更案も職員に配布され、何か意見があれば、11月17日(金)までに言え、との事であった。
どうして今、規定変更を協会が行なおうとしているのか、当該組合員以外の職員は解らなかったかもしれないが、実は、2024年の三六協定への意見・要望と併せて、協会の「職場におけるハラスメントの防⽌に関する規定」変更の要求書(「「職場におけるハラスメントの防⽌に関する規定」変更に関する要求書」)を2023年10月23日付で協会に送付していたからである。
2022年3月7日、協会は、internet上から拾ってきたどっかの規定例をコピペしただけのやっつけ仕事で、「職場におけるハラスメントの防⽌に関する規定」案を職員に開示した際に、我が組合はこの規定案について、より実効性のある規定にする為の改善要求を行なった*が、所謂、“パワハラ防止法”に照らしてもおかしな条項があった為、それを指摘したが全く歯牙にも掛けられなかった。
しかし、このままこの規定に基づかれて運用されては堪らないと思い、再度の検討を促す為に第16回団体交渉(2022年9月9日)・第17回団体交渉(2023年1月17日)で議題とした経緯がある。
* その時の報告記事は、本組合掲示板BLOGの「[職場闘争]過去の暴行・パワハラ事件も未解決のまま、「職場におけるハラスメントの防止に関する規定」制定?…はぁ〜!?」をご覧頂きたい。
上記の2回の団交の第16回団体交渉で、一般的な禁止事項の定義は、常識で考えても受け入れ難いことを指摘したところ、協会は“社労士の先生ガー”と言って譲る気配は無かったが、団交に同席していた協会顧問弁護士は「…確かに仰るとおりこれは限定的、極めて特殊なケースを記載してますね…」と言う事で、労使合意の上、変更する事となったのであった。
我が組合は早急に規定変更せよと要求したのだが、第16回団体交渉から1年以上も放置されたままだった為、今般の三六協定締結に合わせ、一部労使合意した箇所だけでも変更しろという事で、この度の変更要求に至ったのであった。
以下にパワハラの「過大な要求」「過小な要求」の現行条文と組合要求変更案を転載するが、この様なものであった。
現行条文:
(4)長期間にわたり、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下で、勤務に直接関係ない作業を命じるなどの過大な要求
(5)管理職である部下を退職させるため誰でも遂行可能な業務を行わせるなどの過小な要求
組合要求変更案:
(4)業務上、明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求
(5)業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えないなどの過小な要求
「長期間にわたり、肉体的苦痛を伴う過酷な環境」で「勤務に直接関係ない作業を命じ」られなければ「過大な要求」に該当しないのか?「過小な要求」は「管理職である部下を退職させるため」に限定されるのか?
具体例として、こういう事も有り得るだろうが…何がパワーハラスメントに当たるのかを定める条文としては全く理解に苦しむ。とてもこのままにしておくことはできない。
ヘンな条件を付け加えないで、フツーでいいだろ…。
その他、組織防衛と自己の保身に汲々とする協会の管理職(特に事務局長の末吉)が責任者とあっては、ハラスメント被害者の訴えが握り潰されることなど、火を見るよりも明らかである為、対応窓口や裁定については第三者機関や労使による裁定委員会を設置するように要求したが、これは団交では合意に至らなかった。
兎も角、少なくとも労使合意に至った箇所は、済し崩し的に放置させず、実行されなければならない為、上記の要求書を併せて提出したのだった。
以下にその内容を転載する。
第16回団体交渉(2022年9月9日)と第17回団体交渉(2023年1月17日)において、現行の「職場におけるハラスメントの防止に関する規定」(以下、規定という。)を議題として交渉が行われましたが、ハラスメントの定義(第2条)と相談体制等の整備(第5条・第6条・第7条)を除き、一部労使で合意した下記の条項の変更について、いまだ変更が行われておりません。
早急に規定変更を行うこと(例えば、2024年の三六協定締結に併せて行う)を要求します。
記
第16回団体交渉(2022年9月9日)に基づき、規定第3条の2の(4)及び(5)について、以下の様に変更すること。
(4)業務上、明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求
(5)業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えないなどの過小な要求
以上
これを受けてだろう、配布された協会の「職場におけるハラスメントの防⽌に関する規定」変更案、第3条は組合要求が反映されていた。
加えて、第17回団体交渉で協議したが完全に合意には至らなかったものの、組合から要求した第三者機関を含めた相談窓口の体制整備について、該当する第5条も次の様に変更するとのことであった(変更箇所は太字、一部伏字で表記)。
(相談及び苦情への対応)
第5条 職場におけるハラスメントに関する相談及び苦情処理の相談窓口は総務課とするし、通報受付窓口としてxxxxx xxxサポート株式会社(TELxxxx-xxx-xxx)も含めるものとする。総務課長は、担当者に対する対応マニュアルの作成及び対応に必要な研修を行うものとする。
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3 対応マニュアルに沿い、総務課長は相談者のプライバシーに配慮した上で、被害者、行為者から事実関係を聴取する。また、必要に応じて当事者の上司、その他の職員から事情を聴くことができる。ただし、総務課長が行為者であった場合については事務局長が対応を行うものとし、事務局長が行為者であった場合については常任理事が対応を行うものとする。
組合要求とは異なるが、上述した2回の団体交渉で労使で協議した事は反映されているので、それは評価できるから、取り敢えず「う〜む、まぁこれでもいいか…」と思ったのだが、「対応マニュアル」というものがどういうものなのか判らないし、“最後の砦”(?)である常任理事がハラスメントを行なわないとは限らず、これまでの経験上からしても公平・中立な対応を行なえるのか、かなり怪しい。
…と言う事で、折角、意見があるなら言えと言っているので、従前のその他の条文にも異論はあるのだが、特にこの第5条ついて、改めて組合としての意見を提出することにし、11月17日付で「職場におけるハラスメントの防⽌に関する規定変更案に対する意⾒書」を末吉事務局長宛に送付した。
以下に転載する(xx組合員とは当該組合員の事である)。
公益財団法人日本知的障害者福祉協会
事務局長 末吉孝徳 殿
2023年11月1日に配布された、2024年1月1日付改定「職場におけるハラスメントの防止に関する規定」(以下、本規定という)について当組合及びxx組合員の意見を申し述べます。
記
1.本規定第5条第1項は以下の様に変更した方が理解しやすいのではないか。
職場におけるハラスメントに関する相談及び苦情処理の相談窓口は総務課とし、総務課長は担当者に対する対応マニュアルの作成及び対応に必要な研修を行うものとする。また、外部の相談機関・窓口として、xxxxx xxxサポート株式会社(TELxxxx-xxx-xxx)を設ける。
2.本規定第5条第1項に定める担当者及び対応マニュアルにおいて、セクシャルハラスメントの被害を受けた職員が相談しやすいように、同性が対応できる体制を整備すること。
3.本規定第5条第1項に定める貴会の指定する外部相談機関・窓口の「xxxxx xxxサポート株式会社」の業務内容や相談・対応の流れについて、職員に資料を配布し周知していただきたい。
4.本規定第5条第3項は下記の様に変更し、第3項に追加された箇所を第6項として下記の様に変更、併せて第6項を第7項とする。理由を以下に記す。
職場のハラスメントは職制等立場の優位性の下に行われるものがほとんどであり、「育児・介護休業等規則」及び本規定のこれら条項にいう責任者である事務局長や窓口担当者の課長(代理)は管理職であり、事務局組織内で職制上優位な立場にあることから、ハラスメントの行為者が事務局長・課長(代理)になることは容易に想像され得る。また、当組合は2013年4月1日の事務局調整会議での貴殿のxx組合員への暴行・パワーハラスメント行為を議題として団体交渉を行ってきたが、貴殿はこの議題での交渉を忌避した挙句、組合との団体交渉を拒否し、さらに、貴会は貴殿の暴行・パワーハラスメント行為について関係者の聞き取り調査で得られた結果からは考えられない様な欺瞞的な回答を行う等々不誠実かつ不公正な対応を続け、いまだ当該問題は解決をみていない。この様な経緯を鑑みても、相談及び苦情対応を事務局長・課長(代理)並びに貴会の組織的利益を優先させる立場にある常任理事が行った場合、ハラスメントの被害者である事務局職員に対して公平・中立な対応が行われるとは考え難い。よって、ハラスメントの行為者となる可能性がある者を排除し、利益相反の可能性を回避できる外部の相談機関・窓口での対応が望ましい。
かつて、当組合及びxx組合員が2022年3月14日付「就業規則等変更案に対する意⾒書」を提出した際にも上記と同様の意見を記したが、同年3月17日付での貴会の書面による回答は、現在の事務局長に対する意見であって規定の制定とは無関係であるとの趣旨であった。本来であれば事務局長職にある者が必要な対応を行うことは当然であり、貴会の回答も首肯し得るものである。しかしながら、本規定施行日である2024年1月1日に貴殿が事務局長職にあるか否かは不明だが、不当労働行為申立・日本知的障害者福祉協会事件(都労委平成30年不第15号)争点1の東京都労働委員会での和解協定締結後も当組合との団体交渉にも出席しない等、貴殿が本規定に係る事務局長としての職務を遂行できるのか甚だ疑問であり、現状、貴殿が事務局長職にある限りにおいて、本規定の当該条項は機能し得ないものと言わざるを得ない。
3 対応マニュアルに沿い、総務課長は相談者のプライバシーに配慮した上で、被害者、行為者から事実関係を聴取する。また、必要に応じて関係する職員から事情を聴くことができる。
6 育児・介護休業等規則及び本規定に定めるハラスメントに関する相談及び苦情への対応者・責任者である課長及び事務局長等、職場で優越的な関係にある者が行為者である場合は、第1項に定める本会指定の外部相談機関・窓口の他、ハラスメント被害者の要望・申し入れにより当該被害者の所属する労働組合を含む他の外部相談機関に対応を依頼することができる。
7 相談及び苦情への対応に当たっては、関係者のプライバシーは保護されるとともに、相談をしたこと又は事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いは行わない。
以上
国際労働機関(ILO)第108回総会において、2019年6月21日に”Convention concerning the elimination of violence and harassment in the world of work“(仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約)が採択され、2021年6月25日に発行された(但し、日本は未批准)。
繰り返し行なわれようが1回限りであろうが、decent workに悖る暴力や嫌がらせ・いじめ等ハラスメントを一切許さない、職場やその周辺における包括的な初めての国際的ハラスメント禁止条約である。
職場のハラスメントは人権侵害そのものだ。
人権侵害を許さない世界規模での機運が高まる中、労働基準法違反を平気で犯し、それに抗議する職員を暴力と暴言によって人格を蹂躙し、黙らせようとし、尚且つ、それについて未だ謝罪の意も反省もない示していない協会の実態を忘れてはならない。
自分自身の人権を護る事ができずに、協会のmissionである障害の有る人達の人権がどうして護られようか。
協会事務局職員諸君! ハラスメントは「ダメ。ぜったい。」の要求を協会に突き付け、実効性のあるハラスメント防止規定を勝ち取ろう!■
…The end