不当労働行為救済申立・日本知的障害者福祉協会事件 第14回調査が、2019年12月3日(火)15:00から東京都労働委員会審問室において行われた。協会側は協会顧問弁護士とO常任理事、古屋総務課長、三浦政策企画課長。我々組合側は当該組合員の他、南部労組の仲間5名が集まってくれた。
今回は前回から引き続き、水内事業課課長代理の支配介入・不利益取扱いの件についての和解協議についてである。これまで我々組合は「第三者非開示」「口外禁止」条項は認めない、その様な条項を和解協定書に記載することを前提とするならば、和解自体に応じる気は毛頭ないことは本事件審査の場で主張し続けて来た通りである。
そこで、今回はそれを踏まえた上での公開の在り方と和解文言の微調整を協議することとなった。
尚、今回は和解へ向けての大詰めの協議であることから、和解内容についての詳細な記述は控えるが、大筋の件はこれまでも本組合掲示板ブログで報告してきたことと然程変わらないので、気になる方は過去記事をご覧頂きたい。
それでも、今回、協会の和解協定書の公開の仕方と突然言い出した言い訳がましい詭弁と、後に都労委事務局とのトラブルについては若干触れたいと思う。
和解合意となったら和解協定書を作成し、労使双方が調印し、この件に関してはこれで問題は決着、申立人組合は支配介入・不利益取扱いの件に限って、申立を取り下げるという流れとなる。そして、和解協定書については我々組合は原則、公開範囲に制限を設けないことを主張している。
なぜ、我々が和解協定書の公開制限を認めないかというと、職場の問題解決に至る経過や結果は労働組合活動の一つの成果や到達点であって、広く公に共有されるべきものであるからである。
ところが、労働委員会の和解において「第三者非開示」「口外禁止」条項が付加される傾向があり、民事裁判ならまだしも、殊更、労働委員会においてその様な条項が当然に和解協定書に付加されることは、労働者の団結権を擁護すべき労働委員会が、団結を破壊し、労働組合活動へ不当な介入を容認し、後押しする本末転倒な事態で、非常に問題であると言わざるを得ないからである。
よって、真に明かせない箇所については、必要に応じて民・民相互の合意の上で配慮はあってもいいとしても、個別の事件を超えて、労働者・労働組合の権利を侵害する一切の介入・弾圧と闘うためにも、我々労働組合は“原則として”これを認めてはならないのである。
本事件では、和解の開示の仕方に制限を設けないことを前提として和解協議が進んでいるので、協会もそれを解っていると思うが、本組合掲示板ブログの書きぶりがどうのこうの…と言っているは前回・前々回にも少し触れた。
今回の調査では、久保労働者委員が言うには、協会は本ブログにどう書かれるか気にしているようで、どういう形で公開するのかということをしきりに聴いてきたので、「どういうことを書くかはこれから考えますが、お互い合意に至った部分*で和解したということについては、それを根底から覆す様なことは書きません」「但し、和解を契機として、今後の協会事務局の労働環境を正していくという視点で、それを評価なり批判するのは私の自由なので…」ということは伝えた。
* 合意に至っていない部分とは、前々回の記事で報告した、調査調書記載分の“なんちゃって”救済命令“っぽい”内容のことである。
さらに、協会が言うには、組合情宣ビラやWebで公開されるのはいいが、本組合掲示板ブログで色々と論評されることは嫌で、公開するなら和解協定書も調書記載もそのままの形で掲載すること、を言いたいらしい。どうやら、当該組合員が和解内容を歪めた形で公表することを危惧している様だ。
え、なんだ?それでいいの?そんなの当たり前じゃない? それにしても、協会は随分と失礼なことを言ってくれるじゃないの。久保労働者委員には「私はこれでも言論・出版に関わっている人間なんで、私の職業倫理観からもそんなことする訳ありませんよ」と伝えた。
こういう発想ができるのは、自分達が平気でそういうことをしているから、相手もそうだろうと思っているんじゃないかとしか思えないんだが、如何?
又、課長代理は管理職じゃなくてヒラ職員だから名前を伏せよ、という協会の主張には驚いた。これまで、偉そうに管理職として振る舞っておきながら、この段になってそういう思いつきの言い訳を言い出すとは!…というか、団交でも本事件調査でも、協会は「通常の業務の流れ」だの、「病院や警察に行かなかった」だの、「ヒゲ生やしている」だの、団交に末吉を出さないのは「謝罪要求をしたから」(O常任理事の陳述書【乙7号証】)だの、協会は突然珍奇な主張を言い出すのが常だったので、この程度で驚いてしまったのは、まだまだ自分も協会を甘く見ていたのかもしれない。(笑)
一応、次回の協議事項になってはいるが、こんな協会の詭弁は相手にする価値もなく、我々としては受け入れるつもりもない。
そんなやり取りがあり、2時間程して労使双方が審問室に呼ばれた。
審問室のテーブルには、都労委事務局が作成した「和解協定書(案)」が置いてあった。
次回は公開の仕方、水内事業課課長代理の名前を和解協定書に入れるかどうか等を協議することが金井公益委員から告げられ、次回期日の調整を行なった。

新宿夕景 2019.12.3
「第三者非開示」条項は前提として和解協定書の雛形に記載されているのか?
配布された「和解協定書(案)」は、次回協議となっている箇所にしか、その場では目が行き届かなかったが、協会の会長の名前が前会長の名前になっていたのには気付いたので、それを都労委事務局の担当者に指摘し、そのまま持ち帰った。
ところが、家に持ち帰ってよく読んでみると、この間の和解調整で合意していない、というか、我々組合が断固として拒否していた「第三者非開示」条項が勝手に付け加えられているではないか!
「組合及びxx組合員と会社とは、 本協定書の成立及び内容をみだりに第三者に公表しないことを確認する。
ただし、本協定書の条項、協定締結に際しての三者委員による言及内容及び「組合及びxx組合員が協会を被申立人として申し立てた不当労働行為救済申立事件の一部について、 令和元年 月 日、東京都労働委員会において、 労使双方が納得できる水準で解決しました。」との趣旨の文章を公表することを除く。」
あれだけ「第三者非開示」「口外禁止」条項は認めない、それが付加されたなら和解は受け入れられない、と何度も言って来たにも拘らず、である。
「なんじゃこりゃー!!」と一気に頭に血が上ったが、はは〜、さては過去の事件の和解協定書をコピペしやがったな…と思い、ここは冷静且つ穏やかな口調で、“単にお間違えじゃありませんか?”と、12月5日に都労委事務局に訂正・再提示の文書をファクシミリで送付した。
ところが、1週間以上経っても都労委事務局からは「梨の礫」。12月16日に南部労組のA執行役員が別件で都労委事務局に訪れた際に、この件について確認したところ、担当者は何やらあたふたした様子で対応していたとのことだったが、当該条項が削除された訂正版が申立人に届いたのは12月18日であった。
それにしても、直ぐに対応しなかったということは、都労委が準備している和解協定書には最初から「第三者非開示」「口外禁止」条項が入っているということの証左ではないか? 当該組合員も参加した、9月27日の労働法連絡会・東京地労委対策会議の都労委交渉・申し入れでも、この疑惑を追及した。しかし、交渉に応じた審査調整課長は言葉を濁しつつ、否定していたが「やはり…」といったところであろう。これについては再び労働法連絡会・東京地労委対策会議で抗議し、申し入れを行なっていかなくてはならない。
こんな余計なことに労力を割きたくないのだが、都労委事務局職員のみなさん、しっかりしてくれよ、とだけは言っておく。
本調査の報告が遅れたのはこんなトラブルがあったためだった。
次回、第15回調査は、2020年1月10日(金)15:00からである。■
…The end