[職場闘争]「働き方改革」関連法施行後の三六協定他労使協定の締結 part 1〜相変わらずの協会の拙速且つ横暴な対応〜

2019年12月2日(月)9:40から協会事務局の月例の職員会議「事務局調整会議」が開催され、その中で、ちょうど2019年12月31日で期限を迎える「時間外・休日労働に関する協定届」、所謂「三六(さぶろく)協定届」と「年次有給休暇の時間単位付与に関する協定」の各労使協定案が職員に配布された。

三六協定「働き方改革」関連法に伴う改正労働基準法が施行されたことから、時間外労働の上限規制が設けられ、届出書も新様式となり、特別条項も専用の届出書になって真に必要な場合のみとされ(一応)、時間数や割増賃金率も各項目毎に記載する様に変わっているのは、協会事務局職員以外の本組合掲示板ブログをご覧の方々なら既にご存知のことだろう。
因みに協会の前回の経過措置の三六協定の締結経緯はこちらをご覧いただきたい。

さて、今回はそれに加えて、「年次有給休暇の時間単位付与に関する協定」も締結すると言う。年次有給休暇の時間単位付与については、実は問題の”201341日の公益財団法人移行に伴う就業規則改定前の旧就業規則にもあって、さらに、年次有給休暇の時間単位年休取得制度ができた2010年の労働基準法改正以前から、協会には独自の有給休暇制度としてあった。しかも、2010年改正・現行法の様に「5日以内」という制限はなく、かつて鬱や過敏性腸症でまともに午前中出勤できなかったりした時は(単に遅刻や早退した時も)その制度で結構救われたこともあった。
そういう過去の事情もあるし、既に就業規則にも記載されていることから、労使協定が必要なことは既知ではあったものの、今更協定を結ぶことはないだろうに…と思ったが、おそらく協会顧問社会保険労務士に言われたのだろう。

当日、古屋総務課長から、

「三六協定届についてはこれまでと同じ事項ですが、新しい様式になり、1日5時間を超える時間外労働の特別条項は労働者代表との事前協議が必要となります。また、年次有給休暇の時間単位付与に関する協定も必要となりますので、12月6日(金)までに書面で提出してください。併せて、12月16日(月)に労働者代表の選出を行います。」

との説明があった。

労使協定締結に際して、職員に意見聴取を行うのは丁寧な対応なので評価に値する(筆者註:褒めるべきところはちゃんと評価します。笑)。
し・か・し、法改正の趣旨は何で、新様式の届出で何が変わり、現状の勤務実態にどういう影響を及ぼすのか等、労務管理や労働法令に詳しくない職員(管理職自体の知識も怪しい)には十分な説明とは言えず、しかも、各職員業務多忙の中、1週間足らずで意見を言えとは幾ら何でも無茶だろう(筆者註:ダメなところはテッテー的に批判します!)
前年の法改正以前の様式の三六協定届でさえ、12月末で期限を迎える協定を11月頭初の職員会議で協定案が周知され、意見や要望の提出は11月15日だったのだ。こんなギリギリで労使協定を締結させようなど労務管理上の怠慢以外の何物でもないばかりか、どうせ誰も(当該組合員は別にして)何も言わないだろうと高を括っているんじゃないか?

他の職員も解っているのか解っていないのか、どうしていいか…という顔をしている中で、当該組合員は「いくらなんでも1週間足らずで意見を言えというのは無理があるだろう。この間、協会も行事が入っている。せめて2週間くらいの時間的余裕を与えないと…」とその場で要求したところ、「じゃあ、9日(月)で」と言い、「え?ちょっと待ってよ(大して日数増えてないでしょ… – -#)」というやり取りになった。

さて、毎度の事乍ら、会議等で当該組合員が何か発言すると突っかかってくる、現在、東京都労働委員会で組合に不当労働行為(支配介入・不利益取扱い)の張本人として申し立てられている水内事業課課長代理が「私は9日で十分です」とのこと。まあ、あなたはいいかもしれませんけどね。当該組合員は彼女を除く職員のことも慮って「この間、46日にリスクマネジャー研修会なんかのイベントも入ってるじゃない?」と言ったところ、水内事業課課長代理は担当若手職員に「イベント入っている人はどうなの?」と尋ね、彼は「私は別に問題ありません」と答えた。う〜ん、本人が正直どう思っているのか解らないが、隣で職制上優位に立つ者が睨みを利かせてとまでは言わずとも、そーゆーこと言ったなら、そこで心理的圧力を感じてそう言わざるを得ないんじゃないか? 古屋総務課長も「じゃあ、研修会場で確認して」ということを言っていたが、真面目に考えようとするなら、そんな仕事の隙間できちんと検証なんてできるはずねーだろ、と苦笑してしまった。事実、part 2でも述べるが、当該組合員以外の職員は誰も意見など出していない様だった。
その他の職員も誰も期限について意見が出なかったこともあり、そんなこんなで結局、12月9日(月)まで、たった3日だけ延びただけであった。

提示された新様式三六協定届を見た瞬間、後述する当該の要求・意見書に記した様に、これまでのおかしなところは正されていないし、実態としての時間外労働と休日労働の必要性にも疑問を感じるものであったので、形式的には改正法に準拠しているとしても、要求や意見を出すことは当該組合員には訳ないことであったが(一応、“闘う”労働組合の役員なんでね)、他の職員も丁寧に検証しようと思えば、自分の部署の残業や休日勤務の状態、他の部署の職員の残業や休日出勤の実態などを把握せねばならず、こんな短期間ではどう検証し、意見を言っていいかわからないだろう。結果として、労使協定を正しく理解し、労使対等での己の権利の主張も放棄せざるを得なくなってしまうのだ。

さらに組合員の立場から言うと、時間的余裕が無い所為で組合内での討議も要求の意思統一もできない。よって、已む無く2016年の三六協定締結(これまで違法状態だった協会事務局に初めて労使協定を締結させた)時の様に一事務局員としての要求・意見とせざるを得なかった。これでは使用者と労働組合の集団的労使関係が有名無実化してしまう。協会もそれを狙って、拙速に労使協定を締結させようとしているのではないかという節がある。幾度もこの様な不当な対応を看過する訳にはいかない。

…と、この様に本来であれば組合要求とすべきものであったが、しょうがない。組合からだろうが、一職員の立場だろうが、意見を言えというなら…いや、言えと言わなくとも、思う存分言わせてもらおう。この意義については、part 3で考察する。

協定案を仔細にチェックし、不備・疑問箇所を指摘し、併せて当該組合員の要求を3,000字を超える字数に認め、12月9日の期限を厳守し、当該組合員の個人名義で「三六協定他に対する要求並びに意見書」を提出した。以下に、ほぼその全てを掲載する。


.三六協定届について

1.三六協定届の「休日労働」の「労働させることができる法定休日の日数」の欄には、「法定休日のうち1箇月に3日以内」とあるが、就業規則上には休日勤務(第37条)・振替休日(第38条)の規定はあっても休日労働に関する規定はない。又、職員給与規程上も休日労働割増賃金に関する規定がない。さらに、就業規則上、職員の休日(第36条)のいずれが法定休日となり、いずれが法定外休日となるのかも不明である。

2.特別条項の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」の事由は、三六協定届の「時間外労働をさせる必要のある具体的事由」と然程違いのないものである。これら全てが、通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合とは言えない。又、1箇月の「限度時間を超えて労働させることができる回数」が全て「6回」とされているが、「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」などの理由から、恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められていない。「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」(平成3097日・厚生労働省告示第323号)を参照のこと。

3.三六協定届及び同特別条項の事由の一つとして、「自然災害の発生や関係者の人命にかかる緊急的対応」とあるが、労働基準法第33では非常事由による時間外・休日労働について規定されており、このような事態を想定して協定を締結する必要はない。

4.やむなく特別条項を含めて三六協定を締結しなければならないとしても、「限度時間を超えた労働に係る割増賃金率」は月45時間を超え60時間以内の割増賃金率を、現行の30%から35%に引き上げることを要求する。これに伴い、職員給与規程第15条の2も、「月45時間又は年360時間を超える超過勤務については、これに係る超過勤務の支給割合を100分の135として支給する。」とすることを要求する。

5.改正労働基準法の趣旨に則り、特別条項の「限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保するための措置」に、⑥のほか、④代償休日・特別な休暇の付与を加えることを要求する。併せて、就業規則第10条に「職員の勤務状況及び健康状態に応じ、その健康・福祉を確保するために、その都度必要と認める期間」等の規定を加えることを要求する。

6.前回の2018年12月10日に締結した三六協定では、労働基準監督署への届出書のほかに「協定書」があったが、今回は配布されなかったがそれはなぜか。前回の「協定書」には、任意の取り決めである「2 早出残業の取り扱い」の記載があったが、この取り決めに関してはこのたびの労使協定でどのように扱われるのか。

.年次有給休暇の時間単位付与に関する協定書について

1.(日数の上限)は以下の通りとすることを要求する。

(時間単位で取得できる年休の日数)
第2条  年次有給休暇を時間単位で取得することができる日数は5日以内とする。
2  時間単位で取得できる年休は、次年度に繰り越された場合においても、前年度からの繰越分も含めて5日以内とする。ただし、前年度からの繰越時における端数時間は、1日に切り上げて次年度の年次有給休暇の日数に加算する。

2.第6条の見出し「(時期変更権の行使)」は「(時季変更権の行使)」が正しい。

3.(時季変更権の行使)は以下の通りとすることを要求する。

時季変更権の行使)
第6条  届出のあった時間単位年休が、事業の正常な運営を妨げる場合、本会はその時季を変更することがある。
2  前項の規定によっても、本会は届出のあった時間単位年休を日単位年休に、日単位年休を時間単位年休に変更する時季変更権は行使できない。

4.年次有給休暇の時間単位取得に関する協定は就業規則第8条の2にも規定されているため有効期間の定めは本来不要であるが、将来的な協定の条項の見直しのためにも、本協定第9条(協定の効力)を以下のように変更することを要求する。

(協定の効力及び有効期間
第9条  本協定は、令和2年1月1日から効力を生じ、同年1231日までの1年を有効期限とする。ただし、本協定の有効期間満了の1ヶ月前までに、本会又は職員のいずれからも異議の申し出がないときは、本協定はさらに1年間有効期間を延長するものとし、以降も同様とする。

.その他

1.労働基準監督署に届け出る三六協定届をもって協定書に代えることは可能であるが、本要求並びに意見書Ⅰの6で記したように、届出様式に記載できない任意で特別な条項も記載できるよう、従来通り、時間外労働・休日労働に関する「協定書」も作成すること、並びに、長時間労働を恒常的に発生させないように、「協定書」には任意の条項として、「協定の有効期間中であっても、労働者代表の破棄通告により本協定は失効する」「本会は時間外労働並びに休日労働について、不断に削減の努力義務を負う」を加えることを要求する。

2.三六協定は法定労働時間を超えて働かせるための使用者の免罰的効力のための労使協定であり、労働者が締結を拒否すれば使用者は時間外労働・休日労働を命じることができない。よって、時間外労働・休日労働を行わせようとするならば、法定労働時間を超えて労働しなければならないこと、さらに特別条項に記載される特別な事情が時間外労働の上限を超えて必要か否かを判断できるよう、職員に現状の時間外労働・休日労働の実績が示されてしかるべきである。

3.全ての職員が労務管理や労働法令の知識を有しているわけではない。特に従前の様式から変更がある場合は新旧対照表を作成し、提示するなど、各職員への周知・理解を促す努力を行うべきである。

4.2019年12月2日に三六協定届と年次有給休暇の時間単位付与に関する協定書が各職員に配布され、各自業務多忙の中、12月9日まで(その場での交渉によりこの期限になったが、当初は12月6日までであった)に記載内容に関して意見を書面で提出せよという労使協定の進め方は極めて乱暴なやり方である。前項2と併せて、少なくとも1か月程度の時間的な余裕を持って各職員に協定内容を十分に精査し、検証する時間が与えられなければならない。法改正・施行からも十分な時間があり、不可能なことではない。

5.職員の一部が東京南部労働者組合・日本知的障害者福祉協会(以下、組合という)の組合員であり、日本知的障害者福祉協会(以下、協会という)と組合とは集団的労使関係にある。本来であれば、非組合員の職員らに提示すると同時に組合にも送付し、事前協議を行うべきである。このようなやり方はこれまでも組合からたびたび協会へ抗議が行われているにもかかわらず、このたびの労使協定も前項4に記したように、組合含め各職員に時間的猶予を与えず、拙速かつ強引に労使協定を締結させようとするものであり、強く抗議する。

6.これまでも指摘してきたことだが、労使協定締結における労働者代表選出は、労使協議の上で代表選出規程を作成して行うべきである。労働者過半数代表になった者・なろうとした者への不利益取扱いの禁止事項(労働基準法施行規則第6条の2 3)もあることから、使用者から干渉が行われないよう、労働者の自主的かつ民主的な選出手続きが担保されなければならない。管理監督する立場にある者が労働者代表選出の議事進行を取り仕切り、管理監督する立場にある者がその場に立ち会うような挙手による選出は公平公正さを欠き、不当なものと言わざるを得ない。労働者代表の選出は無記名の投票と投票の秘密が保持される秘密選挙が望ましい。望ましい代表選出方法について、組合含め各職員と十分に協議する場と時間を設けること。


そして、12月16日に労使協定のための労働者代表選出を迎えることとなった。

To be continued…

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