2020年3月12日(木)、派遣会社から3年を超えて派遣労働者を受け入れるか、延長の可否を問う、労働者代表の意見聴取の為の労働者代表選出が突然行われた。労働条件・待遇に関わることは前回の第9回団体交渉でも時間的余裕をもってやるように要求したばかりなのにだ。
さらに問題なのは、前回団交で民主的な選挙で代表選出を行うよう、組合と協議するようにということを労使合意したばかりなのに、協会は労働者代表を選出する前にどういう選出方法がいいのかアンケートを行うと突然発表し、職員に挙手がいいか、違う方法がいいかどちらかを選べという事前アンケート(○×式の投票)を強行した。これも第9回団交で、協会提案のその思惑が不純な動機に拠るもので、組合としては到底受け入れ難いことを述べたばかりだ。
協会管理職らは「A 挙手」「B その他」*と記載した用紙を集まった職員に配布し、どちらかに○を付けろと。集まった職員からは「これ名前書くの?」との質問。配布した古屋・三浦の各課長からは「いや、○付けるだけでいいから」と、「筆跡でわかるじゃん」とおちゃらけて笑っている職員も出る始末。あ〜ぁ、第9回団交で下衆な勘ぐりをするのは管理職だけではないのかと頭が痛くなったが、回収も態々、投票箱代用の段ボール箱をその場に居る職員に“空”であることを示すという、手品師宛らのくだらないパフォーマンスを演じてから回収した。
* アンケート用紙には「B」に( )で、投票とかナントカと書かれていたが忘れた。そもそも、アンケートを取ること自体、投票と同じなんだから、2段階方式にする意味が不明である。こういうところに頭が回らないのは単にアレなのか、わざと(準)管理職監視の下、挙手させて威圧しようという思惑なのか、たぶん両方だろう(こちらとこちらの過去記事参照)。
結果は「B」が2票獲得、少なくとも2名は「A」には賛同できないということであったが、多数を占める「A」、即ち挙手で行なうこととなった。この「アンケート」が如何に馬鹿馬鹿しいものであるかは最後に抗議した。
ともあれ、当該としては憤懣やる方無い代物であったが、一応受け入れ、労働者代表選出を行なわざるを得なかった。
これまでの三六協定の労使協定締結やその他就業規則変更の労働者代表の意見聴取もそうだが、何故、派遣労働者を3年を超えて受け入れることに派遣先の労働者から意見を聴取し、その代表の意見書を添付しなければならないのかの説明が全くない杜撰且つ御座成りなもの。そして、このままではこれが一体何を意味するのか、職員の誰も解らないだろうことは想像に難くなかった。**
** 参考までに根拠法令を以下に記す。
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)
第40条の2 派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。ただし、当該労働者派遣が次の各号のいずれかに該当するものであるときは、この限りでない。
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3 派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して労働者派遣(第一項各号のいずれかに該当するものを除く。以下この項において同じ。)の役務の提供を受けようとするときは、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務に係る労働者派遣の役務の提供が開始された日(この項の規定により派遣可能期間を延長した場合にあつては、当該延長前の派遣可能期間が経過した日)以後当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について第一項の規定に抵触することとなる最初の日の1月前の日までの間(次項において「意見聴取期間」という。)に、厚生労働省令で定めるところにより、3年を限り、派遣可能期間を延長することができる。当該延長に係る期間が経過した場合において、これを更に延長しようとするときも、同様とする。
4 派遣先は、派遣可能期間を延長しようとするときは、意見聴取期間に、厚生労働省令で定めるところにより、過半数労働組合等(当該派遣先の事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者をいう。次項において同じ。)の意見を聴かなければならない。
5 派遣先は、前項の規定により意見を聴かれた過半数労働組合等が異議を述べたときは、当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに、当該過半数労働組合等に対し、派遣可能期間の延長の理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならない。
大体、これまで誰も労働者代表に積極的に立候補しようなんて者はおらず、テキトーに「xx君がいいんじゃない」「誰もいないならやりますよ」ってなものだった。これまで、当該組合員は公平・公正な労働者代表選出が行なわれない限り、労働者代表に立候補をすることは、敢えてするつもりはなかった(他にも理由はある)が、ここは自身が代表として選出されるか否かは別として、その本質的な問題点を職員に訴えざるを得ないため、今回は初めて立候補することを決意した。そして、「私が立候補します」と立候補の意思表示をした。
そうしたら、なんと、不利益取扱いと支配介入で我が組合から不当労働行為を申立られている事業課課長代理の水内***が慌てて「じゃあ、私も立候補します!」と。加えて、“頼まれたわけでもなく独自に対応”して組合情宣を監視している職員Yまでも「じゃあ、俺も立候補しますよ!」と、挙手をした。
「じゃあ」って何だよ…。どう考えても、明らかな組合員の意見潰しを狙った策動としか考えられない。
*** 2020年3月12日時点では、まだ労使で和解は成立していない。
事業課課長代理は準管理職なので、水内が立候補する立場にあるのかはそもそも疑問だが、成る程、少なくとも職員Yは管理職的立場ではないので被選挙権は有する。そこで、当該組合員は水内と職員Yにこう質問した。
(当該) 「君達は労働者代表として、協会にどういう意見をもって、交渉し、意見を表明するのか? この場で、他の職員にその意図や意思を明らかにしなければならないんじゃないか?」
(職員Y) 「どうという意見はない。みなさんの意見を聞いて意見書を作る」
(当該) 「どうという意見はない、という文字通りの意味で受け取っていいのか?」
(水内) 「私も同じで、自分の意見はない。みんなの意見を聞いて意見書を作る」
(当該) 「今、みんなの意見を聞く時間もなく代表選出されようとしているんでしょう? 立候補するに当たり、ここで労働者代表として意見を持って、労使交渉に臨むかを言わないといけないんじゃないのか?」
概略こんな遣り取りだったが、そんな漠然とした、誰でも言えそうな理由だと、選挙権を有する他の職員も何を基準として、労働者代表者を選出していいのか判らんだろ。となると、単に個人的な好き嫌いで労働者代表を選出することになる。常識的に考えてそんな選挙あるか?
まあ、彼らには自分の意見などそもそもなく、組合員の意見潰しが主目的であるのは明々白々なのだが、それが尚一層明から様に露呈する形となったのだった。
そこで、当該組合員は、「派遣労働者の受け入れにはなぜ3年という有期限が設けられ、延長する場合にはなぜ派遣先の労働者の意見聴取が必要であるか。派遣労働者は短期的で特別なプロジェクトの為の人員不足に対応する補充要員であって、3年を超えて受け入れるということは、事業場において慢性的な人手不足に他ならず、所謂、“雇用の調整弁”として派遣労働者を不安定雇用することなく、正規労働者として雇用すべきであって、その対応策を協会に求める!」との意見を表明した。
これが、派遣労働者を受け入れるか否か、労働者の意見を聴取する趣旨であり、前提となるものだ。
しかし残念なことに、当該組合員の意見に賛同する者はなく(当該組合員が自身に1票)、結局は“何の意見表明もできない”外2人に多くの職員が手を挙げ、1名棄権した結果、職員Yが労働者代表に選出された。
さて、最後に、この馬鹿げだ事前「アンケート」について古屋・三浦に、
「先の団交でアンケート調査は受け入れられないと言ったよな? 組合から公平・公正な労働者代表選出を提案すると言ったばかりだろ。しかも、こんな「A 挙手」「B その他」なんて、其々にどういうメリット・デメリットがあるのかも示さないで、こんな選択肢は二者択一として体を為していない。これには抗議します!」
と割と強い口調で言った。彼らは顔を引きつらせて沈黙していたが、次回団交では徹底的に労使合意不履行を追及しなければならない。しかも、こんなアナクロな方法しか思い付かない協会に心底呆れ、怒りを覚えたのであった。
それにしても、協会職員は皆成人であり、公職選挙で選挙権や被選挙権を有する有権者である。
選挙公約を知り、基本政策を精査して投票しないのであれば、どういう基準で投票しているのか? なんとなく好きだから? テレビに出ている有名人だから?
第9回団交において、常任理事Oが協会顧問弁護士に民主的な選挙をレクチャーしてもらおうと提案していたが、冗談も休み休み言いなさい…何で町の弁護士****にそんなことを教えて貰わなきゃならないんだよ…と思ったが、冗談ではなく、協会職員は本当にそのレヴェルにあるのかと暗澹たる気持ちになった。こんな有様ではO常任理事の団交での発言も、宜なる哉と思わざるを得なかったのである。
**** 身近な弁護士さんは市井の人々にとって大切な存在なので、決して貶してはいないし、蔑む意図は全く無いので誤解無様。
最後に、以前も述べたが、民主主義の要諦は「完全な情報開示」が成された上での「参加と自治」である。本来であれば、労使協定の趣旨を十分に理解した協会職員全員が「我こそは!」と労働者代表に立候補すべきであり、そこで、持論を展開し戦わせた時こそ、アトモスな個人の主張を超え、アレクシ・ド・トクヴィル(Alexis de Tocqueville, 1805-1859)が微妙くも述べた様に、同意と異論を包摂した「自発的結社」即ち民主的社会連帯が開花する。
仮に民主的な体裁を取り繕っていても協議すべき事柄の本質が隠秘され、「自分の意見はない」「みんなの意見を聞いて決める」という選択しようの無い、お任せ民主主義は参加と自治の擬制であり、それこそが協会のみならず、現代日本社会を蝕み、脆弱なものにしているのである。■
…The end