第9回団体交渉において労使合意したことは、
①時間外労働・休日労働について、特に休日労働の割増賃金規定が就業規則等に明記されていないため、就業規則等を整備すること。
②労使協定に必要な労働者代表選出の方法について、公平かつ公正な選出方法とすること。どういう選出方法がいいのか、職員にアンケート調査を行うということを協会は提案したが、それ自体が公平かつ公正さを担保する方法とは言えないため、組合としては受け入れられないことから、組合提案を待って検討・実施すること。
③労使協定が必要な労働条件の変更に関わる事項については事前に組合に連絡すること。
主として以上の3点であった。
しかしながら、2020年3月2日の職員会議「事務局調整会議」では、上記①の休日労働の割増賃金規定を盛り込んだ就業規則等の変更については一切触れずに、現行就業規則にある1日の所定労働時間(7.5時間)を超えた労働時間の時間に対して時間外労働の割増賃金を支払う規定があるにも拘らず、実態として、1日の法定労働時間(8時間)から残業代が発生する仕組みになっており、その未払い残業代を、また、「休日の振替」(休日労働ではない)の取り方によっては、1週の40時間の法定労働時間を超えた場合はその超過分について、いずれも過去2年に遡求して支払う*、という事態になった。
* 1日の未払い残業代の件は確かに第9回団交での組合の指摘ではないが、週の超過勤務については組合からの指摘である。しかし、またしても組合からの指摘によって発覚した事実にも拘らず、末吉の弁では社労士と弁護士に指摘を受けたと事実を隠蔽した。
また、2020年3月12日に派遣労働者の受け入れ延長の労働者への通知と労働者の意見聴取のための労働者代表の選出が、上記③の組合への事前連絡もなく、かつ、上記②で組合が拒否した労働者代表の方法について職員に「アンケート」が強行されたのであった。
これらは第9回団交での労使合意を踏みにじる行為であることは、既に過去記事で報告した通りである。
時間外労働・休日労働について
この件について、本団交でなぜ労使合意を踏みにじる行為を行ったのかについて抗議をし、その釈明を協会に求めたところ、上記①については、第9回団交で指摘を受けた就業規則等の不備は承知している、3月2日の職員会議では就業規則変更は間に合わず、今後、指摘を受けた箇所については、近々に就業規則等に反映する予定である、ということが古屋総務課長から伝えられた。
成る程。ならば包み隠さず、3月2日の職員会議で「お詫び」方々、その様に職員に対して事務局長の末吉が言えばいいではないか。職責放棄し団交からも逃亡しているくらいだから、どの程度理解できているか知らんが。
労働者代表選出を巡って
上記②については、突然、3月12日に職員が会議室に呼び出され、碌に説明もないままに、派遣労働者の受け入れの延長についての労働者代表の意見聴取(意見書)のための労働者代表を選出することになり、組合が拒否した選出方法の「アンケート」実施と、上記③のように、派遣労働者の抵触日は事前に判っていることなのだから、事前に組合に連絡し、時間的余裕をもって行うことを合意していたにも拘らず、協会はそれを無視し強行したことへ抗議し(当日、当該組合員はその場でも抗議したが)、釈明を求めた。
それに対する古屋総務課長の回答は、この件については、派遣会社と派遣労働者、協会の調整に手間取り、また、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)についてよく理解していなかったこと等を述べ、素直に自らの「非を認める」と言っていた。当該組合員もそういう事情があるだろうからと、已む無く容認し、従わざるを得なかったのであるが、大体、前回の三六協定締結の時もそうだったが、いつもバタバタで職員がその趣旨や労働条件・待遇について、よく考え、それに対してどういう意見表明を行うべきかを考える猶予が無い中で、労働者の意見聴取もへったくれもないのである。
その結果が、労働者代表の選出の際に、当該組合員以外の立候補者・水内事業課課長代理と職員Yが「どうという意見はない。みなさんの意見を聞いて意見書を作る」等と誰でも言える様なことを言って、代表選挙を行う羽目になることになるのである。まあ、彼らが解っていようといまいと、その態様から組合員の意見潰しが主目的であることは明らかなのだが。
その意見書について、南部労組の組合員から「その意見書は出されたのか、みんなの意見を聴取してと言っていたからには、どういう意見書が出されたのか、代表者はどういう意見を出したかみんなに伝えたのか?」との質問が出されたが、これに関しては、協会は3ヶ月経っても、通知書と労働者代表の意見書の周知義務を怠っていたのだった。
労働者派遣法施行規則(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則)には以下の様に規定されている。
(派遣可能期間の延長に係る意見の聴取)
第33条の3 法第40条の2第4項の規定により労働者の過半数で組織する労働組合(以下「過半数労働組合」という。)又は労働者の過半数を代表する者(以下「過半数代表者」という。)の意見を聴くに当たつては、当該過半数労働組合又は過半数代表者に、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
…(略)…
4 派遣先は、前項各号に掲げる事項を、次に掲げるいずれかの方法によつて、当該事業所等の労働者に周知しなければならない。
一 常時当該事業所等の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
二 書面を労働者に交付すること。
三 電子計算機に備えられたファイル、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、当該事業所等に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
…(略)…
これを指摘したのだが、どうやら職員に周知義務を果たしていなかったのは、マジで知らなかった様だ。
本団交終了後、すぐに職場の掲示板に通知書と意見書が掲示されたが、その意見書には、「異議ありません」という項目にチェックが入れられているだけ。当該組合員は労働者代表選出の場で、異議あり!として、
「派遣労働者の受け入れにはなぜ3年という有期限が設けられ、延長する場合にはなぜ派遣先の労働者の意見聴取が必要であるか。派遣労働者は短期的で特別なプロジェクトの為の人員不足に対応する補充要員であって、3年を超えて受け入れるということは、事業場において慢性的な人手不足に他ならず、所謂、“雇用の調整弁”として派遣労働者を不安定雇用することなく、正規労働者として雇用すべきであって、その対応策を協会に求める!」
との意見を表明したのだが、「どうという意見はない。みなさんの意見を聞いて意見書を作る」などと言いながら、当該組合員の意見は無視。当該の意見は少数派だったとは言え、これこれこういう意見が出されたが、多くは異議なしとの意見だったと丁寧に付け加えなければ、選挙公約違反だろう。次回の労働者代表選出の際には個別に追及させてもらおう。
年次有給休暇の取得率など
前回の第9回団交で、新三六協定届の特別条項には「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」で、協会の三六協定届には「対象労働者に2日以上の連続した年次有給休暇の取得を促進」とあったが、年次有給休暇は超過勤務により長時間労働の代償で取得すべきものではない旨の発言を当該組合員が行った後、職員の年次有給休暇取得率を把握しているか?との問いに協会はその場で答えられなかった。持ち帰りの宿題となったこの件は、本団交で協会から回答があり、職員の年次有給休暇の平均取得率は32.9%とのことだった。
「そんなに取っているのかなぁ?」というのが正直な印象だったので、少し詳しく古屋総務課長に聞いてみると、人によってかなりバラツキがあるとのこと。それについては積極的な取得を呼びかけるとの回答だった。
ワーク・ライフ・バランスを図る上で、それは良いことだが、職員間で業務負荷に偏りがあるのではないか?との組合側の質問に対して、O常任理事から協会事業の経営状況について話が上がったので、それについて突っ込ませてもらったトンデモ回答が本団交報告のpart 1である。
その他、団交での労使合意を踏みにじられない様に、今後は合意事項を労使相互で文書で確認することを合意し、概ね1時間半の団交を終えた。
本編はここで終わるが、労使協議により完成度の高い労働者代表選出の選挙管理規程を作成した「ゆにおん同愛会」H執行委員長のお話もあったので、それを含めて、民主的な選挙の基本原則についてepilogueで紹介しようと思う。■
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