2021年12月31日で、時間外・休日労働に関する協定(所謂「三六協定」労基法36条に基づく)の有効期間が終了する為、2021年11月1日(月)の職員会議(尚、協会では「事務局調整会議」と言っている)で、2022年1月からの新しい協定届案と協定書(協定届に記載されない事項を補足する任意の協定書)案が配布された。
2021年の協定と比べて若干の変更があり、これは我が組合と協会との団交(第9回団体交渉)によって、時間外労働に関しての実態やそれを行う人員が精査されている様なので、前進と言えるだろう。
但し、それ以外は従来と変わらずで、特に職員会議で古屋総務課長は12月1日の職員会議で、労働者代表を選出する(して欲しい…の意か?)とのことだったが、中でも特に、当該組合員は労働者代表の選出方法の見直しを求め、詳細且つ具体的な方法の提案である「公平・公正で民主的な労働者代表選出のための投票方式の提案書」を提出したにも拘らず、従来通り管理職ら立会いの下で挙手で行おうという腹づもりようだ。
真に民主的で公平・公正な方法で労働者代表が選出されるならば、誰が労働者代表に選出されようと構わないが、誰に忖度することなく各職員の自由意志が保障される選出方法でなければならない筈だ。当該団交でも協会はいろいろと言い訳していたが、“組合及び組合員の思い通りにはさせない”という意図が見え見えで、この民主主義の根本を理解できていないが協会のnaiveなところだ。なんせ、O常任理事は第13回団体交渉で、挙手と投票とどちらが民主的な方法か?と問われて、「より民主的っていうのは、確定的には、私からは言えない」と答える有様だからだ。
我が組合はこの手続きの正当性には断固として拘り、しつこく協会に要求していくつもりだ。
それはさて置いて、協会は三六協定締結に際して、11月19日までに全職員に意見を求め(これはこれで良いことで、これも以前に比べれば職員に十分に検討する時間的猶予を与えている)、折角、協会が“懐の深い”ところを見せて(笑)、意見聴取すると言っているので、時間外労働・休日労働について、言いたいことや改善して欲しいことを伝えようではないか。
以下、当該組合員及び我が組合の「三六協定締結に関する意見書」を転載する。
Ⅰ.時間外労働・休日労働全般について
1. 三六協定は法定労働時間を超えて働かせるための使用者の免罰的効力のための労使協定であり、労働者が締結を拒否すれば使用者は時間外労働・休日労働を命じることができない。よって、時間外労働・休日労働を行わせようとするならば、法定労働時間を超えて労働しなければならないこと、さらに特別条項に記載される特別な事情が時間外労働の上限を超えて必要か否かを判断できるよう、職員に現状の時間外労働・休日労働の実績が具体的に示されなければならない。
長らく労使協定未締結のまま時間外労働・休日労働が行われていた協会の労働基準法違反は、2016年の当組合との団体交渉により是正が図られた経緯を踏まえ、その反省に立った上で、職員への正確な経緯と丁寧な説明が必要である。
2. 昨今の新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、協会はそれへの対応のために、職員の労働条件の切り下げを行わず、事務所勤務の際に通常勤務時間の短縮措置(以下、時短勤務という)を行ったことは評価できる。
しかしながら、時短勤務の実施期間にも拘らず、担当課の一部職員の業務過多により、従来通りの時間外労働を余儀なくされている様子が見受けられる。これは通勤時も含め、密集回避による感染予防措置のために行った時短勤務の本来の目的に反するものである。緊急やむを得ない事情があったにせよ、職員の健康維持と安全配慮の観点から、協会は原則として時間外労働を行わないように各担当業務の見直しも併せて行わなければならなかったはずである。又、十分に担当課職員への説明が行われていたのかも明らかにされるべきである。
Ⅱ.三六協定届及び特別条項並びに協定書について
1. 前節Ⅰ.2.において述べたように、2020年以降、協会事務局において時短勤務が行われたが、その際、実績において特別条項の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」が実際に生じたか否かを協会は職員に説明する必要がある。もし、実績としてその必要が無かったのならば、就業規則第39条「時間外労働等の短縮努力」に反する特別条項は極力定めないことが望ましい。
2. 現状(2021年における)の特別条項に比して、この度配布された特別条項の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」が一部具体的な記述になったことは、昨年の三六協定締結の際の当組合の意見書やこれに係る団体交渉での協議を反映させたものとして評価できるが、前項1.においてもなお、今後の業務の見通しを含めて、やむなく特別条項を含めて三六協定を締結しなければならないとしても、三六協定届の「時間外労働をさせる必要のある具体的事由」と然程違いのない事項は省くべきである。
「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」などの理由から、恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められていない(⇒「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針」平成30年9月7日 厚生労働省告示第323号)。
3. 特別条項にある月45時間を超え60時間以内の時間外労働の割増賃金率は、最低基準である25%を超えてはいるものの、使用者にはこれを引き上げるよう努力義務が求められている(⇒平成21年5月29日 厚生労働省告示第316号)。
よって、「限度時間を超えた労働に係る割増賃金率」は月45時間を超え60時間以内の割増賃金率を、現行の30%から35%に引き上げることを要求する。これに伴い、協定書の第3条の「1年に420時間まで延長することができる。1ヶ月45時間を超えた場合または1年360時間を超えた場合の割増賃金率は30%とする」も「1年に420時間まで延長することができる。1ヶ月45時間を超えた場合または1年360時間を超えた場合の割増賃金率は35%とする」に変更することを要求する(⇒厚生労働省労働基準局監督課「モデル就業規則」令和3年4月版)。
4. 改正労働基準法の趣旨に則り、特別条項の「限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保するための措置」に、⑥のほか、④代償休日・特別な休暇の付与を加えることを要求する。併せて、就業規則第10条に「職員の勤務状況及び健康状態に応じ、その健康・福祉を確保するために、その都度必要と認める期間」等の規定を加えることを要求する。
5. 長時間労働を恒常的に発生させないためにも、協定書には任意の条項として、
「協定の有効期間中であっても、協会が本協定に違背した場合、労働者代表の破棄通告により本協定は失効する。」
「本協定について変更が必要となった場合や疑義が生じた場合は、協会と被用者双方で協議を行い、協会は速やかに改善に努めるものとする。」
「協会は時間外労働並びに休日労働について、不断に削減の努力義務を負う。」
を加えることを要求する。
6. 三六協定届の「協定の有効期間」を1年とするならば、協定書の5.有効期間は「2022年1月1日から2022年12月31日まで」が正しい。
協会の業務内容及び人員配置の変動も考慮し、本協定の有効期間は1年が望ましい。
Ⅲ.労働者代表選出の在り方について
これまでも当該組合員及び当組合が指摘し、又、団体交渉で議題として協議を重ね、当該組合員からも詳細な労働者代表の選出方法を提案してきたところだが、労使協定締結における労働者代表選出は、労働者過半数代表になった者・なろうとした者への不利益取扱いの禁止事項(⇒労働基準法施行規則第6条の2 第3項)もあることから、使用者からの干渉が行われないよう、労働者個々人の自由意志が保障される代表選出方法でなければならない。
管理監督する立場にある者が労働者代表選出の議事進行を取り仕切ったり、関与したり、その場に立ち会うような挙手による選出は、選出過程における同調圧力や私交上の影響を排除できず、公平公正さを欠くため、労働者代表の選出は無記名の投票と投票の秘密が保持される秘密選挙が望ましい方法であることは論を俟たない。これは公職選挙等における投票の秘密(⇒日本国憲法 第15条 第4項)と同様、労使対等原則の下に締結しなければならない労使協定の場合でも、個々の労働者が各々の自由意志によって一票を投じるための選挙制度の基本原則であり、民主的で開かれた良好な職場環境の構築にとって枢要となるものである。
2016年に協会において初めて労働者代表選出が行われた際に、挙手による代表選出方法が採用されたのは、偶々当時の協会顧問弁護士の助言によるものに過ぎない。法令には挙手も例示されてはいるものの、投票も同様に例示されていることから、従前からの慣行に拘泥せず、より望ましい方法に改善すべきである。実務的な面からも、一定期間の時間的猶予を設け、労働者代表の立候補者を募り、その立候補の主旨や主張を周知させ、投票により労働者代表を選出する方法は、業務多忙の中で全職員が一堂に会することによって職員が物理的に拘束される挙手による選出方法の欠点も解消することができる。
労使による選挙管理委員会を設置し、投票の秘密が保障される労働者代表選出を行うために、使用者も必要な配慮と体制を整備すること(⇒「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成30年厚生労働省令第112号)による改正後の労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)」)を改めて要求する。
ここまで詳細な意見書でなくてもよいが、是非、職員諸君の意見書の参考にして頂ければ幸いである。
協会事務局職員諸君! みなさんの意見・要望を協会に伝えよう!■
…The end