協会からの回答
2022年の三六協定について、当該組合員と我が組合は2021年11月17日付で「三六協定締結に関する意見書」を協会に提出したことは既報の通りだが、2021年12月1日の職員会議「事務局調整会議」で協会から回答があった。
先ず、最初に言っておきたいことがある。
協会がこれまで三六協定を締結せず、協会事務局職員に違法に時間外・休日労働を行わせていたことが、第4回団体交渉で初めて明らかになり、2016年、初めて三六協定を締結した際、第3回団体交渉以降、団交から逃げ続けている末吉事務局長は職員に対して、「協会顧問弁護士のご指摘により」等と嘘を吐き、不誠実且つ誤魔化しも甚だしい対応を行なっていたが、今回は、その回答の内容は兎も角として、当該組合員及び組合名で出された意見書に回答を付記して、全職員に配布した。
これは協会と団交を重ね、協会の不当労働行為を労働委員会で闘って来たことによって得られた前進であり、この度の協会の誠実な対応は素直に評価できるものである。
ただ、“その回答の内容は兎も角として”と述べた様に、一部此れ迄の継続的な意見・要求についての回答については、従来同様殆ど無回答であった。
以下に、長文を避ける為、協会の回答についてのみ記す。*
* 当該組合員と我が組合の意見は、過去の記事「[職場闘争]2022年三六協定締結に向けて、意見・要望を出そう!」を参照のこと。
Ⅰ.時間外労働・休日労働全般 について
1.について
→現状、時間外勤務については時間外勤務命令申請・実績報告書を随時各々の職員が確認できる状態となっておりますし、休日出勤命令につきましても職員が実績を確認することが容易な状態となっております。
2016年以前の三六協定未締結については確かに当協会の不徳の致すところでありましたが、それにつきましては労使協定を初めて締結する際に職員にはその経緯について説明しております。
2.について
→多少の業務の滞りを容認しておりましたが、 確かに、時短措置期間中に一部職員が時短となった所定労働時間を超えて労働することがあったのは事実です。しかし、これは協会運営にあたりやむを得ない勤務であり、当該職員へは事前にきちんと説明した上で行われたものとなっております。
Ⅱ.三六協定届及び特別条項並びに協定書について
1.について
→確かに特別条項の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」に記載された全ての事由が発生して残業が行われたという実績はございません。
しかし、特別条項は、長時間労働をさせようという意図はなく、あくまで事業の存続にかかわるような緊急的な事態が発生した際の対応を想定しての条項です。
規定することが直接就業規則第39 条に違反することにはなりませんし、もちろん時間外労働、休日勤務は極力なくす努力は今後もしてまいります。
上記の内容を踏まえ検討した結果、今回も前回に引き続き、特別条項を盛り込んだ形で締結することといたしました。
2.について
→前述の通り、特別条項は、長時間労働をさせようという意図はなく、あくまで事業の存続にかかわるような緊急的な事態が発生した際の対応を想定しての条項であり、「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」については、「臨時的」とある通り、通常の業務と異なり予見することが難しく、過去に実績が無いからといって今後発生しないとも限りません。
そういった状況を踏まえて検討した結果、職員の皆さまにに配布しました案に記載のと配布しました案に記載のとおりの具体的事由を記載することといたしました。
また、前述の通り「臨時的」なものを想定しており、ご指摘いただいております、労働基準法第36条第条第11項の協定で定める労働時間の延長及項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針にある「恒常的な長時間労働を招くおそれがあるもの」ではございません。
今後も引き続き、就業規則第39条にある通り、時間外労働、休日勤務は極力なくす努力はしてはしてまいります。
3.について
→確かに意見書にご提示いただいている「「モデル就業規則」令和3年4月版」では、時間外働45時間超~60時間以下の場合、割増賃金率は35%となっておりますが、昨年のご要望も踏まえ検討した結果、今回は据え置きとすることといたしました。
4.について
→健康確保措置については、現状において、連続した休暇取得の促進で十分健康確保が可能であると考えております。
そのため、引き続き、限度時間を超えて労働させる労働者については、有給休暇の取得促進を進めてまいります。
5.について
→まず、「協定の有効期間中であっても、協会が本協定に違背した場合、労働者代表の廃棄通告により本協定は失効する」 についてですが、労使協定は、労使間の合意によって定めるものであり、労 働者代表からの一方的な廃棄通告によって失効するものではありません。
解釈例規では「法第36条により時間外又は休日労働の協定を行っている事業所において、協定の有効期間内に労働者又は使用者より一方的に協定破棄の申し入れをしても、他方においてこれに応じないときは協定の効力には影響ない。としたものがあります。
次に、「本協定について変更が必要となった場合や疑義が生じた場合は、協会と被用者双方で協議を行い、協会は速やかに改善に努めるものとする。」については、ご要望として承り、今後検討してまいります。
そして、「協会は時間外労働並びに休日労働について、 不断 に削減の努力義務を負う。」 については、前述の通り、就業規則第 39 条に類似の規定がございますので、協定書の条項として加える必要が無いと判断いたしました。
6.について
→「2022 年 12 月 31 日 まで」に訂正いたしました。
Ⅲ.労働者代表選出の在り方について
→職員の代表選出方法については、あくまで管理職を除く職員の皆さんに決めていただくものであると考えております。
と、この様な回答であった。
一部、当該組合員及び我が組合の意見・要求について、誤読や無理解があるが、これは次回の三六協定締結迄に団体交渉でのお楽しみにしておこう。
しかし、労使協定締結や就業規則変更等に係る意見書添付の為の労働者代表選出方法については、相変わらず“職員丸投げ”の態度を変えていないが、これは過半数組合があって、その組合内での代表選出ならまだしも、そうでない場合は使用者側が法令に従い、適正な労働者代表選出の環境整備を行うのが普通である。
これは意見書にも記したことだが、初回の三六協定その他の労働者代表選出では、偶々当時の協会顧問弁護士がそうしただけに過ぎない。より公平・公正な代表選出方法にすればいいだけだ。
嘗てあった様に「誰も立候補しないようなら、私が立候補します」と当該組合員が言った途端、ロクに労働者代表選出への決意や意見もないのに「じゃあ、私も立候補します!」だの「じゃあ、俺も立候補しますよ!」と明らかに組合員の代表選出潰しとしか思えないことをやった輩がいるからねぇ〜。**
この様な悪巧みかと疑念を抱かれない為にも、公示期間を定めて、正々堂々と選挙戦に臨む方が望ましく、それが民主的選挙の基本である。
** 「[職場闘争]第9回団交の労使合意を無視した労働者代表選出〜派遣労働者の受け入れ延長に伴う労働者の意見聴取について〜」を参照。
協定内容について議論し、労働者代表を選出する場で、当該組合員以外の職員からの意見諸々
何故か組合活動に難癖を付けられる
…という訳で、今回もまた、挙手による労働者代表選出になったが、当該組合員は今回は戦略的・戦術的観点から、最初から立候補する気は無かった。ただ、意見書を提出した手前、それについて他の職員にその趣旨については説明し、労働者代表選出の在るべき姿や労働者代表として協会(使用者側)と交渉するに相応しい者についての提案を行うに留めた。
ところが、唐突にある職員(?)が「xxさん(当該組合員のこと)は職場の風通しを良くする為にこういうことをやっているんでしょう?」「それなのに、あなたのやり方は職員の分断させるようなやり方だ」「私は組合ビラで批判された。そういうやり方こそ言論弾圧で誰も何も言えなくなる」云々と言い出し、組合活動が恰も職員の分断を齎している等という暴論は聞き捨てならないので、その場で反論させてもらった。
この職員某のことは組合情宣ビラで批判したことなど無いが、嘗て職場で公然と組合活動を業務妨害と言い放ったことがあり、また、それ以前も組合情宣については苦言を受けたこともあって、使用者側ではないということもあるので、しょうがないから我慢して聞いていたが、流石にこの時ばかりは勤務時間中に他の職員に聞えよがしの組合誹謗発言は看過できず、本組合掲示板ブログで取り上げ、やんわりと批判させてもらったことがある。***
*** 「[職場闘争]7・26協会前&社会福祉士養成所 東京スクーリング情宣行動〜6・6都労委審問報告と社会福祉士養成所のスクーリング参加者に福祉協会の実態を訴える〜」のことで、これを根に持っている様である。
因みに、上記記事と協会顧問弁護士を通じての我が組合への抗議に対する反論や遣り取りを記した
「[職場闘争]“狡兎死して走狗烹らる”は侮辱的な表現か?【前編】〜古典に学ぶ自律的な生き方〜」
「[職場闘争]“狡兎死して走狗烹らる”は侮辱的な表現か?【後編】〜古典に学ぶ自律的な生き方〜」
「[職場闘争]“狡兎死して走狗烹らる”は侮辱的な表現か?【続編】〜古典に学ぶ自律的な生き方〜」
は、本組合掲示板ブログの中でも最もアクセス数の多い記事の一群である。
先ず、「職場の風通しを良くする」については、確かに協会事務局の事務局長末吉やその取り巻きによる職場の専横支配を打破する為の我が組合の目標ではあるが、そこへ至る道筋は幾つもあって、必ずしも穏健な方法ばかりではない。場合によっては“剣”を投げ込むことも行なわなければならないからである。此処でいう“剣”とは、表面的にニコニコと経営やそれに忖度する職員に対して靡く様な甘っちょろい態度は取れないことの謂である。****
**** 「地上に平和をもたらすために、私が来たと思うな。平和ではなく、剣を投げ込むために来たのである。私が来たのは、人をその父と、娘をその母と、嫁をその姑と仲たがいさせるためである。そして家の者が、その人の敵となるであろう。」─「マタイによる福音書」第10章 34-36節
我々も戦略的に協会と対峙している故、硬軟織り交ぜて職場闘争を闘っているのであって、「やり方」云々については百歩譲って甘受するにしても、「分断」だの「言論弾圧」だのは言い掛かりも甚だしく、この職員某の安全地帯からの物分かりが良さげな“綺麗事”等、自らがどういう立ち位置で此の様なことを言っているのか、無自覚極まりないとしか言い様が無い。
この場で議論しているのは協定内容や如何に労働者代表に委ねるかであって、もし、当該組合員の意見書に批判や意見があるならば、傾聴して、こちらも今後の方針を考える余地もあるが、それには触れずに、組合のやり方どうのという本筋と外れたその立場性(言い換えれば、党派性と言ってもよい)に依拠した言い分は、古い例を持ち出して恐縮だが、評論家・詩人の吉本隆明が忌じくも述べた「関係の絶対性」に中にあり、最早、真理は人間の関係性に規定される相対的なものに成らざるを得ず、これに囚われている限りは了解不可能である。
「マタイによる福音書」を引き合いに出した序でに下記に引用する。*****

吉本隆明「マチウ書試論」──吉本隆明(著)『藝術的抵抗と挫折』未来社 1963
***** 「ここで、マチウ書(当該註: 「マタイによる福音書」)が提出していることから、強いて現代的な意味を抽き出してみると、加担というものは、人間の意志にかかわりなく、人間と人間との関係がそれを強いるものであるということだ。人間の意志はなるほど、撰択する自由をもっている。撰択のなかに、自由の意識がよみがえるのを感ずることができる。だが、この自由な撰択にかけられた人間の意志も、人間と人間との関係が強いる絶対性のまえでは、相対的なものにすぎない。」
「人間は、狡猾に秩序をぬってあるきながら、革命思想を信じることもできるし、貧困と不合理な立法をまもることを強いられながら、革命思想を嫌悪することも出来る。自由な意志は撰択するからだ。しかし、人間の情況を決定するのは関係の絶対性だけである。」──吉本隆明「マチウ書試論」1954
その関係の絶対性=党派性に無自覚では、自由な意思決定など幻想に過ぎず、幻想に基づくお為ごかしな倫理的な議論等、人間関係において了解し得るものではない。
こういう小難しい引用に依拠しなくとも、人の考え方・思想は千差万別、多様性を持つのであって、意見の対立、何が真理かの各々の判断の違いは避けられないものだが、「関係の絶対性」という柵に無自覚に囚われている限り、自由な意見表明と熟議によって乗り越えられることは不可能である。職員某があの場で言っていた“見解の相違”とやらも埋められる訳が無い。
そういう本質的な人間関係と思想・倫理の桎梏は置いておいても、この職員某は「言論弾圧」と難癖付けている割には、その場で自由に意見を表明しているではないのか? 前にも職員会議で好きなこと言ってたんじゃないか? こっちはその場で黙って聞いてやったが。******
****** 「[職場闘争]情宣行動・情宣ビラについて」と「[告知]言論の場は開かれている」を参照。
何にせよ、我が組合に対して言いたいことがあるならば、本組合掲示板ブログのコメント欄は誰にでも開かれているし、投稿は原則公開するので、好きな様に書き込んで呉れ賜え(但し、事実無根の中傷や差別的な書き込みは削除する)。
現状のやり方のデメリットと改善を指摘される
従来通りの挙手による労働者代表選出後、先程取り上げた職員某とは別のある職員から「忙しいから、時間がないから、ということで大事な労働条件についての話し合いを切り上げないで、十分な協議ができる時間を設ける方がいいのではないでしょうか?」という至極真っ当な意見があった。
全くその通りである。
先程の当該組合員のやり方は言論弾圧に等しい、という言い掛かりも甚だしいことを言った職員某は、自由に自分の考えを主張したこの職員の発言をどう思ったのか聞いてみたいところである。
当該組合員の主張を個人的な好悪感情は抜きにして、虚心に理解していただきたい、理解してもらえれば、今は賛意を示してくれなくとも、特定の職員を排除するような職場を改善していかなければという職員が現れることを願う気持ちが芽生えてくれれば…と思い、正直に言って、一人で喋りまくるのはメンタル的に辛く、毎回毎回結構な精神的な消耗戦を強いられる。
しかし、この提案には少しは一部の職員の心にも響くものがあったかな?と、少し救われた思いだった。
残念ながら、この職員の提案はその他職員にスルーされてしまったが、協会には意見表明してくれた職員のこの提案を真摯に受け止め(自分の意見を率直に表明するのは勇気の要ることだ)、数の論理で押し切るようなやり方を改め、少数意見をも汲み取った合意形成を図る為にも、時間的猶予を各職員に与えて議論を深化させる民主主義の基本に立ち返り、その意図が透けて見える職員丸投げではなく、公平且つ公正な労働者代表選出方法に改善する様、我が組合も“しつこく”要求して行きたい。
協会会長の井上さん、どう思います?■
…The end