新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響により、企業倒産や店舗の閉鎖で解雇・雇い止めされた(見込み)労働者は6万人を突破しています*。
* 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について(9月25日現在集計分) 」
ところが、解雇争議は本来であれば労働組合がその本領を発揮する役割を担っているにも拘らず、コロナ禍の「大失業時代」でも、なかなか労働相談→組合加入につながりません。我が組合は、真に“誰でも一人でも加入でき、闘う”地域合同労組なのですが、連帯共闘関係にある他の地域合同労組でも状況は同じ様子です。
我々のオルグ力不足もあるのでしょうが、現実問題として国内の労働組合の組織率の低下も目を覆いたくなる惨状にあります**。
** 厚生労働省「令和元年(2019 年)労働組合基礎調査の概況」では、2019年の推定組織率16.2%。
一方、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(個別労働関係紛争解決促進法)」(2001年)と「労働審判法」(2004年)の制定以降、集団的労使関係による紛争に比して、労働審判など個別労働関係の訴訟件数は大きな伸びを見せています***。
*** 厚生労働省 透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会「第2回参考資料 労働分野における裁判外紛争解決手続(ADR)等に関する資料」
個別労働関係紛争解決制度や労働審判は、労働組合にとって労働基本権(日本国憲法第28条)である団結権の破壊に他ならず、このような労働政策に対抗できなかったことは痛恨の極みではありますが、数値が示すように労働者個人の意識の変化や労働環境、産業構造の変化などから、これらの制度には一定のニーズがあったことは認めなければなりません。
そこで、これまでの集団的労使関係である労働組合の果たしてきた役割の啓発や未来へ向けた労働組合の在り方を明確に打ち出すヴィジョンなどなど…旧来からの価値観・労働観に縛られない、私たち労働組合の運動的組織的課題は大きいと言えましょう。
しかし、近年では新しい形での団体行動権・争議権の行使=ストライキが注目されています。NEXCO東日本佐野サービスエリアや練馬区の図書館司書、自販機ベンダー、私立学校の教員などの労働者のストライキが、メディアやSNSで大きく拡散され、支持を集めました。また、正規雇用労働者で組織された労働組合だけではなく、非正規労働者やフリーランサー、裁量労働制労働者、ギグ・エコノミー契約している労働者の労働組合も結成されています****。
さて、首題に戻り、予想外の感染症の拡大で、職場の倒産で失職を余儀なくされる労働者は今後ますます増加することが見込まれます。労働者の雇用と生存を守るために、労働組合は如何にその人々を組織化して生活保障を勝ち取る闘いを展開できるか、日本労働弁護団と労働組合による倒産対策学習会がオンラインで開催されます。労働問題を専門とする弁護士と解雇争議を闘う労働組合のコラボレーションに大いに期待したいところです。
以下に概要を転載させていただきますので、ご興味のある方はぜひご参加されてはいかがでしょうか(私も参加したいところですが、諸事情により難しいかも… ; ;)。■
10/21(水) 18:30~「労働組合オルグに学ぶ倒産争議講座」開催します!
新型コロナの感染拡大により、企業倒産が更に増加することが見込まれます。労働者の雇用と生活を護るため、企業倒産の場面で労働弁護士と労働組合が以下に動くか等について、経験豊富なオルグ3名からお話しを聞く倒産対策学習会を開催します!
◇テーマ:「労働組合オルグに学ぶ倒産争議講座~労働弁護士といかに共闘できるか」
◇日 時:2020年10月21日(水) 18時30分~20時
◇開催方法:ZOOM
◇講 師:JAM大阪 狩谷道生さん/出版労連 住田治人さん/東京ユニオン 渡辺秀雄さん
◇参加費:無料
◇申し込み方法:https://bit.ly/2RQBFy0 からお申し込み下さい(お申し込みは学習会開始2時間前《10月21日の16時30分》までにお願いします)。
ご連絡いただいたE-mailアドレスに、学習会開始1時間前くらいまでにDMでzoomの接続先URLを送ります。
…The end